2017年7月31日、早稲田大学SGU実証政治経済学拠点は高等研究所との共催にて、Cass Business School (City, University of London) より、投資理論を専門とする若手経済学者であるAneel Keswani准教授をお招きし、“Lazy investors, Lazy fund managers, Lousy performance: National Culture and Mutual Fund Management” と題された研究報告会を開催し、商学学術院の宮島英昭教授が司会を務めました。
研究報告会において、Keswani准教授は、ISCTE Business SchoolのMiguel氏、ESSEC Business SchoolのRamos氏との共同研究の成果を発表しました。国際比較の結果、権力との距離感(power distance)や、不確実性に対する忌避度(uncertainty avoidance)といった各国の文化の違いによって、過去の投資ファンドのパフォーマンスとそのファンドに流入する資金やファンドの手数料との関係が変化することが報告されました。国の文化によって、企業や投資家の行動に影響が出るという事実は、近年実証研究が進んでいる分野ですが、Keswani准教授の研究は、投資ファンドの資金の流れにも文化が影響を与えることを示したという点で興味深いものでした。
研究報告会中には、Keswani准教授と本学教職員による熱気を帯びた意見交換が行われ、その様子を学生達が熱心に耳を傾けていました。
この研究報告会に加えて、Keswani准教授には、大学院経営管理研究科のMSc in Financeコースの授業として、”Asset Management”の夏期集中講義を8月4日から9日にかけて全5日の日程でご担当いただき、MScだけでなく、MBAコースの履修生も交えて講義や、ケースに基づいた活発な討議が行われました。特別講義を履修した学生からは、英国のビジネススクールでのファイナンス講義経験が豊富なKeswani准教授の講義は、内容が豊富で大変有意義だったとの声が聞かれ、講義時間終了後にも、学生と討議が続く活気溢れる授業となりました。