創造理工学研究科 修士1年 米 波光 MI BOGUANG
- 派遣期間:2023年9月
- 派遣先大学:南洋理工大学
- 派遣先国・地域名:シンガポール
海外派遣を希望した理由
昨今、自然災害や人災の被災者の迅速な救助のために、瓦礫の隙間に進入できる小型ロボットの重要性が高まっています。しかし、遠隔操作可能な小型ロボットを開発するには、高いコストと消費電力が必要です。この課題に対処するため、南洋理工大学の佐藤先生の研究室と早稲田大学の梅津研究室は、昆虫の体内に埋め込んだ電極や電子バックパックを使用して、昆虫を遠隔操作する研究に取り組んでいます。この研究の目的は、低コスト化、低消費電力化を実現し、地震やテロなどの災害時に瓦礫の下敷きになった被災者の捜索と救助を効率的に行うことです。私は2023年4月から梅津研究室に入学し、昆虫サイボーグに関する研究に取り組んでいますが、実験がうまくいかず、研究が順調に進展していませんでした。そのため、南洋理工大学の佐藤研究室で短期留学し、昆虫サイボーグに関する技術を習得しようと考え、今回の海外派遣を希望しました。
- The Hive NTU 外観
- The Hive NTU 内観
- NTU入口
- 南洋理工大学商学院
- シャトルバス
現地での研究内容・成果
南洋理工大学の佐藤研究室の研究員から直接サイボーグに関する技術を学びました。そして、毎日サイボーグの実験を実施し、実験データを分析していました。昆虫をサイボーグに改造する技術を習得し、昆虫を制御する能力が以前より向上しました。
- 南洋理工大学旧跡
学校環境
研究室の雰囲気は非常にリラックスしており、研究室のメンバーもとても親切です。最初に研究室に入ったとき、さまざまな手続きが必要で、研究室のメンバーが熱心にサポートしてくれました。研究に関しては、研究テーマが同じ仲間と相談するだけでなく、異なるテーマに取り組むメンバーとも交流し、アカデミックな雰囲気が広がっています。
- 実験を行うデスク
- 講義棟内で自由にワークできる空間
国際交流
研究室のメンバーには、中国人、ベトナム人、日本人、インド人など、さまざまな国の人々がおり、異なる文化や価値観が存在していて、それが非常に興味深かったです。研究の合間に、研究仲間2、3人で南洋理工大学の食堂や外のレストランでさまざまな国の料理を楽しんだり、経験や感想を共有したりする時間を過ごし、とても楽しかったです。
- シンガポールの地元で有名な料理、チリ・クラブ
- インド料理
住居環境
南洋理工大学から電車で約30分の距離にあるシェアハウスに1ヶ月間滞在しました。シェアハウスの大家さんは中国人で、時折、大家さんの家族と一緒に食事を共にし、果物をごちそうになり、親切に面倒を見ていただきました。シンガポールでは家政婦を雇うことが一般的で、滞在中は大家さんが雇っている家政婦が私の部屋を掃除し、服や靴などを洗濯してくれました。

シェアハウスの窓から見たシンガポールの夜景
周辺環境
シンガポールのチャンギ空港から出ると、周囲に見事な緑地が広がり、道路の両側だけでなく、視界の限りの場所に植物が豊富に配置されており、まさに緑の楽園です。高層ビルが立ち並び、40階や50階建ての建物が頻繁に目に入ります。シンガポールでは電車、バス利用時にICカード(すべて共通)で乗車時と降車時に改札機にタップしてその料金を支払います。全土を網羅している電車やバスを乗り継いで目的地へと向かうことも多いです。例えばA地点からB地点へ行く際に、電車とバスを乗り継いだとして、日本の料金システムだったら電車は電車代、バスはバス代と別々にそれぞれの初乗り料金からの運賃が発生しますが、シンガポールの場合、ルール内の乗り継ぎを行う際にはその旅程トータルの移動距離による料金が課せられるだけなので、そもそも安い公共交通料金がさらに安く利用できる感覚になります。
- シンガポールの象徴的存在、マーライオン
- マーライオンと私
現地の文化など日本との違い
シンガポールは様々な民族、文化、宗教的背景から成る多様な社会であり、そのため島全体の祭りは幅広い人々が楽しめるものになっています。例えば、広大な中国系コミュニティは2月に新年を祝う祭りを催し、5月にはウェーサーカ祭りが行われ、これはシンガポールの仏教徒にとって活気に満ちたカラフルなお祭りです。
また、服装に関しても違いが見られます。日本では原色の服を着る人はあまり見られず、特に冬には黒、茶、グレー、白などの色が支配的です。これに対して、シンガポールでは明るい原色の服を好んで着る人が多く、赤、黄、青、オレンジなどが一般的です。
最後に、シンガポールの雰囲気は日本と比べてより開放的だと感じます。公共の場で露出度の高い服を着る若い女性が多く見られたり、バスの中等で仲良くするカップルが多いのも日本との違いだと感じました。シンガポールもアジアに位置する国ではありますが、欧米の要素が強く影響している可能性があり、多くの外国人が在住していることや、熱帯地域の開放的な文化が影響しているかもしれません。

滞在中に行われていたF1レースでの花火
海外派遣を経て今後の目標
今回の1ヶ月の短期留学を通じて、研究の技術だけでなく、自己認識や将来の進路についても多くの学びがありました。異なるバックグラウンドを持つ人々との対話を通じて、自分自身について深い理解が得られたと感じています。南洋理工大学で様々な国の研究者と交流し、将来の成功を追求するために努力し続けたいと思いました。そのために、研究でよく使用される英語を継続的に学び、言語の壁を克服したいと思います。自分の研究を計画的に進め、大学院を卒業する前に具体的な成果を上げることを目指します。最終的には、専門知識を活かして、日本または他の国で機械分野での社会貢献を果たしたいと考えています。