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2023年度までのニュース

開催報告:国際ワークショップ 「宋代の仏教信仰と日中文化交流」

2022年12月22日(木)、早稲田大学と寧波大学連携による国際ワークショップ宋代の仏教信仰と日中文化交流」が、Zoomと対面(学内者のみ)のハイブリッド形式で開催されました。当日は、対面とZoom併せて67名の参加者を得て、中国の研究者2名と日本の研究者1名が報告を行い、日中の大学院生3名がコメントを行いました。宋代の仏教信仰をめぐる国際交流が日中の地域史的展開にどのような影響を与えていたかについて、活発な議論が行われました。

寧波大学との連携ワークショップは、2019年度に寧波で開催された国際シンポジウム「グローバルな視点からの浙江地域と日本の文化交流史」に始まり、コロナ禍による中断を経て2021年度に国際ワークショップ「文学にみる港の歴史・記憶」としてハイブリッドで再開されました。第3回目となる今年度は中国から龔纓晏先生をお迎えして、対面開催復活へ向けての第一歩となりました。本学文学学術院教授で同大学総合研究機構奈良文化研究所長の川尻秋生氏からの開会の挨拶のあと、寧波大学教授で浙東文化研究院首席専家の龔纓晏氏より趣旨説明が行われ、宋代における浙江地域と日本は仏教を通じた密接な交流があり、文化交流史としての研究意義が大きいこと、また文化交流史を今日において両国で研究し、交流することの意義が強調されました。

龔纓晏教授(寧波大学)

最初の報告では、寧波大学仏教文化センター主任の尚永琪先生氏が、諸説ある優塡王栴檀瑞像の中国への伝来について、諸史料の詳細な比較分析や真偽の評価を通して、「奝然が模刻した清涼寺の桜桃木栴檀瑞像の原像は梁武帝の時代に扶南より請来された」とする解釈を提示しました。真容の再現、像の移転の経緯、さらに像を見分けるための特徴として、立像、衣紋袈裟や裾に着目して整理し、これまで解明されていなかった初期模刻の経緯、系統および特徴について明らかにしたうえで、その基準と限界とを論じました。

次に龔纓晏氏より、日本の東福寺栗棘庵所蔵「輿地図」の由来をめぐって、その研究状況と諸説の真偽についての詳細な検討が行われました。その結果、栗棘庵「輿地図」は明代古地図のなかでは歴史と地理的情報が最も豊富な地図であり、南宋の石刻地図の拓本であることが論証されました。海のシルクロードを通して中国から日本に伝わった栗棘庵「輿地図」は、中日文化交流の象徴的な産物であるため、両国の学者の連携により今後一層の詳しい解明が必要であることが強調されました。

左:龔纓晏教授(寧波大学 )、右:田中史生教授(早稲田大学 )

最後に、本学文学学術院教授の田中史生氏より、薩摩塔と中国石塔の銘文の比較検討を通じた、薩摩塔信仰の背景についての報告が行われました。薩摩塔は、13~14世紀を中心に九州西部に分布した石塔であり、長崎県平戸市志々木神社中宮にある一基のみが銘文を持っていることが示されました。その銘文は鎌倉末期の日本社会に広く流布した『法華経』に基づく現世利益を願う願文であること、また薩摩塔と関係が指摘される中国石塔も、現世利益的信仰と結びついていたことが論じられ、中世の日中をつなぐ薩摩塔信仰の主体は、日本を生活基盤とした中国系商人であることが論証されました。

報告終了後、浙江大学歴史学院教授で寧波大学浙東文化研究院学術委員でもある王海燕氏の司会のもと、尚報告に対しては本学院博士課程の龔凱歌氏が、龔報告に対しては本学院博士課程の伊丹氏が、田中報告に対しては寧波大学院修士課程の李媛氏が、それぞれコメントを行いました。大学院生らのフレッシュな視点からのコメントや質問を受け、報告者の先生方からは熱を帯びた応答がなされ、活発な議論へと発展しました。コメントとリプライの終了後は、文学学術院教授で同大学総合研究機構日本古典籍研究所長の河野貴美子氏の司会のもと、会場とオンライン双方からの活発な全体討論が行われ、会は盛況のうちに幕を閉じました。

 

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