2022年12月26日に、諏訪 敦氏 (武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授) をお招きし、府中市美術館で開催中の諏訪敦展「眼窩裏の火事」(2022年12月17~2023年2月26日)にちなむトークイベントを早稲田大学国際文学館にて実施いたしました。
1945年に哈爾浜の日本人収容所で没した画家自身の祖母を描いた絵画をめぐる思考に迫りました。早稲田大学高等研究所・副所長(文学学術院・教授)山本が聞き手をつとめ、芥川龍之介「歯車」、『平家物語』、高村光太郎「生命の大河」などいくつかの文学作品との接点をひもとき、絵画と文学という視点から、画家諏訪敦とその作品への問いを投げかけました。その一つ一つに丁寧に真摯に応えてくださる諏訪さんの、絵画作品のみならず、言葉づかいの精緻さを認識する機会ともなりました。
国際文学館という場所の、ヒューマンスケールな空間が、諏訪氏の静かな中にも熱量のある語り口と親和性が高く、来場者にもオンラインの参加者にも、濃密な2時間を提供することができました。聞き手の山本の専門は日本中世絵画史ですが、現代作家の作品に内在する歴史的また文学的なコンテクストを見出す作業は極めて刺激的で、改めて各時代、地域、社会、また人間にとって絵画とは何かという根源的意味を問い直す有意義な経験でした。
会場やオンライン参加者からは、諏訪氏にとっての「美」にいかなる基準があるのか、また「取材」というプロセスは諏訪氏の画作においてどのような位置づけであるのかといった質問が寄せられ活気あるあっという間の2時間でした。
イベント概要
- 司会:山本 聡美(早稲田大学高等研究所 副所長/文学学術院 教授)
- 登壇者:諏訪 敦 (武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授)
- 日 時:2022年12月26日(月)15:00~17:00
- 会場&申込み:早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)地下1階ラウンジ
- 開催方式:対面/オンラインのハイブリッド
- 言 語:日本語
- プログラム:15:00~15:10 趣旨説明:山本聡美
- 15:10~16:10 トークセッションHARBIN 1945 WINTER:諏訪敦
- 16:10~17:00 ディスカッション(Q&A): 諏訪敦/山本聡美
- 主 催:早稲田大学 高等研究所
- 共 催:早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)
- 早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点