本講演会は本学高等研究所研究プロジェクト「人新世と人文学:Humanities in the Anthropocene」セミナーシリーズ第7回公開講演として企画されました。
国内外から21名の参加者を得、講演後には活発な議論が行われました。
本講演では、日本現代文学を専門とするChristine Marran氏をお迎えして、石牟礼道子の作品における「列島」の概念について講じていただきました。
石牟礼道子『花の億土へ』(藤原書店、2014年)を入り口に、同書において展開された“Archipelagos” (列島、諸島、島の連なり)という概念をひもときつつ、日本列島を取り巻く、災害や公害という痛みを伴う歴史とその語りを通じて人新世を捉える方法を獲得しようと試みる内容でした。詩人であり文芸評論家であるエドゥアール・グリッサン(Édouard Glissant, 1928-2011)の「群島的思考」に関する研究との接点にも論及するなど、エコクリティシズムを越える新たな批評理論の確立を目指す刺激的な講演となりました。
司会は、近現代文学における美学的分析を専門とするDematagoda Udith氏(早稲田大学高等研究所・講師)が担当しました。
参加者の鳥羽耕史氏(早稲田大学文学学術院教授・日本近代文学)、小松佳代子氏(長岡造形大学教授・美学)による質問が寄せられ、活発な議論が展開できました。
イベント概要
- 日 時:2022年11月5日(土)10:00~12:00
- 会 場:Zoomによるオンライン開催
- 司会
DEMATAGODA, Udith,(早稲田大学高等研究所 講師)
山本 聡美(早稲田大学高等研究所 副所長/文学学術院 教授) - プログラム
10:00~10:05 開会挨拶(山本 聡美)
10:05~11:35 講演 Analyzing Archipelagos in the Work of Ishimure Michiko (Christine Marran )
11:35~11:40 休憩
11:40~12:00 質疑応答・討議 - 対 象:教員・研究者・大学院生