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News through 2023

2023年度までのニュース

開催報告:エセックスサマースクール@WASEDA

2020年度、2021年度はコロナ禍のためにそれまで早稲田大学で毎年夏に開催されていたエセックスサマースクールを本学で開催することが叶いませんでした。そのため、オンライン受講を希望する学生にはその受講費を補助する形で、意欲ある大学院生の学びを支援してきました。2022年度は日本国の入国制限緩和を受け、3年ぶりに5回目となるエセックスサマースクール@早稲田を開催する運びとなりました。

開催日:2022年9月12日~22日

  • コース1:Scaling Methods and Ideal Point Estimation by Dr. Royce Carroll (オンライン)
  • コース2 :Introduction to Programming for Big Data and Machine Learning in Social Science by Dr. Matsuo Akitaka(対面授業:早稲田キャンパス3号館)

*コース概要(ESSウェブサイトより)*

コース1:Scaling Methods and Ideal Point Estimation

エセックス大学のRoyce Carroll先生は、直前まで対面授業を実現すべく調整しましたが、ロンドンでのVISA発給手続きが一時停止された影響で、やむなく訪日を見送り、オンラインで授業をすることになりました。このクラスは中・上級者向けで、難易度が高いプログラムながら、丁寧で熱心な指導で終了した受講生の満足度も高いものとなりました。以前にエセックスサマースクールに参加した学生も含まれており、非常に有意義なプログラムであることが伺えます。

Carroll Royce 先生のコメント

“The students at the Waseda-Essex Summer School were highly engaged in the course and it was a rewarding experience to teach them. By the conclusion of the course, it was clear that the students were ready to apply the skills they learned to their research. I encouraged them to look for potential applications in their data and stay in touch with me for advice on how to use the methods. Overall, it was a very enjoyable experience to meet these students and I look forward to future cooperation with Waseda.”

参加学生のコメント

  1. Scaling Methods and Ideal Point Estimationは、データの潜在的なパターンを明らかにする測定法や尺度法について体系的に学ぶことができるコースである。授業はLecture sessionとLab sessionによって構成される。Lecture sessionでは、多次元尺度法や項目反応理論などの分析方法について理論的背景が説明され、Lab sessionでは、Rを使用してこれらの分析を実際に行う。そのため、これらの分析方法に関する理論的な理解と実践的なスキルを同時に身につけることができた。今回はオンラインで開催されたが、事前準備も授業も円滑に進んだ。Carroll先生は、Rのコード、スライド、リーディングなどの配布に加え、授業の録画も共有してくださったため、復習も問題なく行うことができた。またRのパッケージをうまくインストールできない場面もあったが、Carroll先生の迅速な対応のおかげで無事に分析を行える環境を整えることができた。
    修士論文では、有権者の意思決定に対する政治リーダーの影響について分析を行う予定である。今回のコースで学習した分析方法は、政治リーダーや有権者のイデオロギー位置推定を行ったり、政治リーダーのイデオロギーに対する有権者の認識について分析を行ったりする際、非常に有用であると考える。今後、これらの分析方法を活かして、有権者の意思決定についての研究を進めていきたい。(政治学研究科修士1年)
  2. 今回受講したRoyce Carroll先生の”Scaling Methods and Ideal Point Estimation”では、世論調査データに基づいて政党や政治家、さらに有権者自身のイデオロギー的立ち位置を推定する方法を学びました。まず授業では、政党・政治家・有権者のイデオロギー的立ち位置を空間モデルとして考えることの意義を考察しました。続いて、右派対左派という一次元上の位置を考えた時に、有権者が持つバイアスを取り除くことのできる方法としてAldrich-McKelvey (AM) Scalingを学びました。その後AM Scalingの多次元空間における拡張としてBasic Space Scalingを取り上げ、類似性データや連続変数による評価データを分析する手法を学びました。さらに点呼投票などの二択の選択のデータからイデオロギー的立ち位置を推定する方法としてNOMINATEや項目反応理論を学習しました。最後に、これまで学んだ手法をベイズ統計学の枠組みで再検討しました。授業は事前のリーディング課題、講義そしてR言語による分析の実習で構成されており、オーソドックスなものでした。前提知識として最小二乗法およびRの基礎知識が挙げられておりましたが、(ベイズ統計学を含めた)より高度な統計学とRの知識を求めているように思われました。非常に高度な内容なので、やはり講義の前にリーディングは全て読んでおくことをお勧めします。分析の実習では学生が実際に分析を行うというよりは講師がRのコードを解説するという趣きが強いので、教わったコードを受講後に自分で回してみると良いです。最終試験はテイクホーム形式ですが、数日くらいかかる分量でした。非常に重い負担ではありますが、これをこなせば将来の研究に役に立つ最先端の手法を学べること間違いなしです。(政治学研究科博士後期課程5年)

コース2: Introduction to Programming for Big Data and Machine Learning in Social Science

エセックス大学の松尾先生には近年の社会科学において重要度が増しているビッグデータ分析や機械学習に必要なプログラミングについて教えていただきました。受講生の関心も非常に高く、最先端の手法を知る松尾先生から直接指導を受ける良い機会となりました。政治学のみならず経済学を専攻する学生が多く参加していたことからも、社会科学の幅広い分野において必要とされていることがうかがえる授業となりました。

松尾晃孝先生コメント

このコースの目的は、統計言語Rを使って、大規模なデータを取得し整備すること、そして、機械学習の手法を使ってデータからどのようにして知見を得るのかを学ぶというものでした。主要なトピックは、tidyverseを使って様々な形式のデータ形式にアクセスし処理を行う方法、ウェブからデータを取得する方法、そして、機械学習の基礎とRを使った実践です。クラウドの計算環境がより重要になっていることを意識して、クラウドサーバでRを使う方法を学ぶことからこのコースを開始しました。

比較的少人数のコースでしたが、受講者の皆さんは熱心で、その意欲の高さは、最終日に行われた試験の成績となって現れたと思います。また、オフィスアワーで受講者たちと、このコースの内容をどのように研究に応用していくのかを話したのは、興味深い体験でした。

授業でも述べたように、私のコースは、社会科学を専門とする人たちが、Rを使ってデータサイエンスをするための第一歩として設計しました。ここで学んだことが、実際のデータ分析に活用できることを期待しています。さらには、専門分野やデータ分析の手法をより深く学ぶために、海外の大学への留学を考えるきっかけとなれば嬉しいです。

参加学生のコメント

  1. This course has great content about statistic and data science. It also teaches the students about useful R code. The examples on the lecture are from actual project, so it is a great opportunity to learn about the real application. The content of machine learning and web scraping is useful tools when handling the data. I will see this as a good starting point to dig into the computer science and apply it to my own research. (政治経済学部3年)
  2. It was a very educating introduction course, and the teacher is very nice. I also felt the pace was quite fast, and some coding methods were difficult for me to understand. I think I can utilize the machine learning and web scrapping techniques in my research. For example, I am curious about what makes people support their autocratic regimes, so I can gather data from online to analyze netizens’ comments and posts, etc.(政治学研究科修士1年)

授業の最後に受講生と記念写真  右端:政治経済学術院 ESS@WASEDA担当日野愛郎教授

感染拡大を予防する必要から、学生との懇談会等を開催することはできませんでしたが、早稲田側コーディネーターの日野教授も参加し、記念写真で締めくくりました。

エセックス大学との協働プログラム

エセックス大学側からCarroll先生と松尾先生、早稲田側から拠点メンバーでもある政治学研究科長の多湖教授と日野教授が参加し、来年度以降のエセックスサマースクール@WASEDAの取り組みや今後の教育事業展開について協議を行いました。今回の総括として、プログラムの責任者でもある日野教授から寄せられたコメントをご紹介します。

今年度は3年ぶりにEssex Summer School @ Wasedaを開催することができました。渡航制限が続く中、参加者は日本で学ぶ学生に限られるなど様々な制約はありましたが、対面とオンラインを織り交ぜて、最先端の分析手法を学ぶ有意義な機会となりました。受講料の補助など様々なご支援をくださった現代政治経済研究所、そして、政治経済学術院の先生方、ならびに関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。Essex Summer Schoolは1967年より続く欧州で最も伝統のある社会科学のサマースクールの1つで、56回目を迎えた今年も50ヵ国から500人を超える学生がデータ分析の手法を学びました。Essex Summer School @ Wasedaは、イギリスに行かずとも早稲田大学において同様のデータ分析のトレーニングを受けることができるよう、2016年よりSGU実証政治経済学拠点が中心となり行われており、今年で5回目を数えました。サマースクールの全授業が終了した後に、来年度以降のプログラムについて意見交換がなされました。現地のエセックス大学では50近くの多種多様な分析方法に関する授業が提供されており、社会科学における分析手法が日進月歩で開発され、かつ多様化する状況に鑑み、方法論教育について連携を深める意義は少なからずあるように思われます。今年の受講生に蒔かれたデータ分析の種がそれぞれの研究を通して芽吹き、2年のブランクを経て再開できたEssex Summer School @ Wasedaが今後の方法論教育の発展につながることを期待しながら、6回目となる来年度の準備を進めたいと思います。

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