7/11(月)に環境・エネルギー経済学を専門とするハワイ大学マノワ校の樽井礼教授による 「ハワイの再生可能エネルギー政策」についての講義が開催されました。講義はオンラインとのハイブリッド開催で行われました。
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講義では、まず、ハワイ州における再生可能エネルギー関連政策の動向を米国や日本と比較しながら解説されました。州の裁量の大きさや電源構成、再生可能エネルギーの導入状況・目標といった内容が扱われました。特に、ハワイ州では家庭の屋根等に設置する小規模分散型の太陽光発電の役割が大きいとのことでした。
次に、ハワイ州における政策の特徴、日本との違いについて解説されました。小規模分散型の太陽光発電が普及している背景として、再生可能エネルギーへの投資に対する税額控除等が充実していることが指摘されました。また、再生可能エネルギー目標が州レベルで設けられているとのことでした。
続いて、再生可能エネルギー政策の課題について、経済学的な視点から解説されました。再エネ導入目標と炭素税導入とでは格差に対する影響が異なること、化石燃料利用への課税や省エネ促進策は補助金政策に比べて費用対効果が大きいこと、脱炭素を促進するためにはカーボンプライシングが必要であることなどが指摘されました。また、太陽光発電の普及に伴う”Duck Curve”問題、省エネによる電力産業への影響、再生可能エネルギーへの補助による所得格差の拡大、カーボンプライシングの設定によって所得分配が変わりうるといった課題があることも解説されました。
講演終了後、会場・オンラインの参加者から講師への質疑応答が行われました。会場では20名が参加、そしてオンラインからも37名が参加し、双方から活発に質問が投げかけられ、有意義な議論が行われました。
最後に、講師と会場参加者で記念撮影を行い、講演は盛況に終わりました。

講義後参加学生集合写真(撮影の時のみマスクを外しています)
樽井教授を招聘した有村教授は、2022年4月に環境経済・政策学会会長に就任しました。本学におけるカーボンニュートラルの実現を牽引する研究者であるにとどまらず、低炭素社会の構築・地球環境にとって最適な社会デザインの構築を目指しています。
有村教授の最新インタビュー「カーボンプライシングの効果検証により、低炭素社会の構築を目指す」は早稲田学報8月号に掲載されています。