未利用熱を蒸気として再利用する蓄熱輸送システムの社会実装へ
東京大学・高砂熱学工業と共同で実証を開始
早稲田大学理工学術院の中垣隆雄研究室は、東京大学未来ビジョン研究センターおよび高砂熱学工業株式会社と共同で提案した「未利用熱からの蒸気回生が可能な蓄熱輸送システムの実証」が、環境省の「令和8年度 廃棄物焼却施設の熱回収利用高度化実証事業」に採択されました。期間は2026年7月から2029年3月までを予定しています。
本事業では、工場や廃棄物処理施設等で発生する低温排熱を、吸着材である「ゼオライト」に蓄熱して輸送し、離れた熱需要先で蒸気として再利用する設備・システムの開発および実証を行います。これにより、これまで有効利用が難しかった未利用熱の活用範囲を拡大し、地域を越えたエネルギー利用や脱炭素社会の実現への貢献が期待されます。
研究成果を社会実装へ
中垣研究室と東京大学未来ビジョン研究センターはこれまで、蓄熱輸送によって蒸気を回生・供給する技術について共同研究を進めてきました。さらに、2024年度から2025年度にかけては、高砂熱学工業を含む3者で環境再生保全機構(ERCA)の研究推進費による共同研究を実施し、実証機を用いた検証を進めてきました。
共同研究では、未利用熱をゼオライトに蓄熱して搬送し、必要な場所で蒸気として利用する技術の実現可能性を確認しました。今回の環境省事業では、その成果を発展させ、商用規模へのスケールアップおよび社会実装に向けた実証に取り組みます。
実証事業の概要
事業名:令和8年度 廃棄物焼却施設の熱回収利用高度化実証事業
採択テーマ:未利用熱からの蒸気回生が可能な蓄熱輸送システムの実証
実施期間:2026年7月~2029年3月
実施体制:
研究代表者 高砂熱学工業株式会社
研究分担者 東京大学未来ビジョン研究センター
研究分担者 早稲田大学理工学術院 中垣 隆雄研究室
教員コメント
今回の採択は、これまで東京大学および高砂熱学工業との共同研究により積み重ねてきた成果を、社会実装へと発展させる重要な一歩です。
現在、多くの産業施設や廃棄物処理施設では未利用熱が十分に活用されないまま排出されており、熱をゼオライトに「蓄えて運ぶ」という新しい技術により、エネルギー利用の時間的・空間的な制約を超えた活用可能性を検証してきました。本事業では、高圧蒸気を連続的に供給可能なシステムの商用規模での実証を通じ、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、未利用エネルギーの新たな活用手法として早期の実用化に期待しています。
早稲田大学理工学術院創造理工学部教授
中垣 隆雄







