早稲田大学研究戦略センターは、日本医科大学との連携により、2026年9月4日(金)、「キャリア初期研究者を支える大学の研究環境改革―若手研究者が挑戦し続けられる大学とは―」をテーマに、第5回URA研究戦略マネジメント勉強会(※1)を開催しました。

開会挨拶を行う早稲田大学・若尾真治理事
今回は、全国91機関から273名の参加登録があり、このうち93%を大学・研究機関関係者が占めました。また、参加登録者への事前アンケートでは、本テーマに関して講師への質問が200件以上寄せられるなど、キャリア初期研究者を大学・研究機関としてどのように育成・支援していくかについて、高い関心が寄せられました。
講演に先立ち、早稲田大学の若尾真治理事より開会挨拶を行いました。
■研究室・PI任せから、大学全体で支える環境へ
続いて、早稲田大学研究戦略センターの丸山浩平教授より趣旨説明を行いました。
近年、博士課程学生への経済的支援や若手研究者向けの研究費は拡充されつつあります。一方、博士課程学生やポスドク、任期付教員などのキャリア初期研究者が、研究者として成長しながら将来のキャリアを形成していくためには、研究費などの経済的支援だけでなく、研究能力の向上、メンタリング、研究コミュニティ、キャリア形成などを支える環境も重要です。
日本では、こうした若手研究者の育成やキャリア形成が個々の研究室やPIを中心に行われてきた一方、海外の主要研究大学では、大学の専門組織や研究者自身によるコミュニティなどを通じて、組織的に支援する仕組みが整備されています。こうした事例を踏まえ、研究室・PIだけに委ねるのではなく、若手研究者が挑戦し続けられる環境を大学全体としてどのようにつくるのかという問題提起を行いました。
■ 博士人材を育て、学び続けられる環境をどうつくるか

講演「研究大学における博士人材を取り巻く現状」を行う一橋大学・吉岡(小林)徹准教授
一橋大学イノベーション研究センターの吉岡(小林)徹准教授からは、「研究大学における博士人材を取り巻く現状」と題して、国内外のデータや先行研究をもとに、日本の博士人材のキャリアや研究環境、企業における博士人材の活用、海外の研究大学におけるResearcher Developmentなどについてご講演いただきました。
日本では企業による人材投資や社会人の自己学習が国際的に低い水準にあることも紹介され、博士人材を育成するだけでなく、研究者が研究能力に加えて幅広い能力を継続的に高めていくための環境をどのようにつくるのか、という課題が示されました。
続いて、早稲田大学研究戦略センターの井上素子准教授からは、「早稲田はばたく次世代研究者支援プログラム―キャリア初期研究者が挑戦し続けられる環境を目指して―」と題して、本学における具体的な取り組みを紹介しました。

「早稲田はばたく次世代研究者支援プログラム」の取り組みを紹介する早稲田大学研究戦略センター・井上素子准教授
「早稲田はばたく次世代研究者支援プログラム」は、第一三共株式会社「はばたく次世代」応援寄付プログラムの支援を受けて実施している取り組みです。主要な競争的研究資金に申請し、高い評価を受けながら採択に至らなかったキャリア初期研究者を対象として、研究準備支援費とURAによる伴走支援を組み合わせ、次の挑戦を支援しています。単発の研究費支援にとどまらず、研究戦略やキャリア形成、ネットワーク構築なども含め、若手研究者が継続して挑戦できる研究環境をどのようにつくるかについて紹介しました。
■参加者の問いから考える「若手研究者が挑戦し続けられる大学」

参加者から寄せられた質問をもとに議論を深めたパネルディスカッション
講演後には、早稲田大学研究戦略センターの松永康教授と学校法人日本医科大学研究統括センターの坂井敦URAをファシリテーター、吉岡(小林)徹准教授と井上素子准教授をパネリストとして、約1時間にわたるパネルディスカッションを行いました。
事前に寄せられた約200件の質問は、「研究を支える」「研究仲間をつなぐ」「成長を支える」「キャリアを支える」「制度を整える」「人材戦略を整える」という6つの観点に整理されました。
パネルでは、これらの中から、研究室に偏在する人的ネットワークや初期資金をどのように全学的な資源へとつなげていくか、研究室を越えたコミュニティをどう形成・継続するか、他大学や企業への移動も含めたキャリア形成を大学としてどう支えるか、若手研究者の挑戦を支える人事・雇用制度をどう設計するかなど、参加者から寄せられた具体的な問いをもとに議論を深めました。

閉会挨拶を行う日本医科大学・桑名正隆副学長(研究・産学連携担当)
最後に、日本医科大学の桑名正隆副学長(研究・産学連携担当)・学校法人日本医科大学研究統括センター長より閉会挨拶をいただき、盛会のうちに終了しました。
今回の勉強会では、キャリア初期研究者への支援を、個々の研究者に対する支援策としてだけでなく、若手研究者が自ら学び、人とつながり、新たな経験を重ねながら挑戦し続けられる「大学の研究環境」をどのようにつくるかという観点から考える機会となりました。
早稲田大学研究戦略センターでは、日本医科大学との連携のもと、今後も全国の大学・研究機関の研究者、URA、研究支援者等とともに、大学の研究力向上につながる研究環境と研究マネジメントのあり方について議論を深めていきます。
※1:URA研究戦略マネジメント勉強会とは?
日本医科大学と早稲田大学の協定にもとづき2022年に発足。大学が多様なステークホルダーを巻き込んで社会変革の原動力として成長することを目指し、URAなど研究マネジメント人材自らが戦略的に仕掛けるマインドを磨くための勉強会です。
【開催概要】
■案内
https://www.waseda.jp/inst/research/news/85403
■開催日時
2026年9月4日(金)15:00-17:00
■場所/開催方法
早稲田大学 26号館地下1階 多目的講義室+オンライン
■対象者
全国の研究機関に所属する研究マネジメント人材(URA, 技術職員, 事務職員等)、執行部、研究者、学生・大学院生、等を主な対象としています。
主 催:早稲田大学研究戦略センター/日本医科大学
世話人:丸山浩平、井上素子、松永康、一之瀬貴(早稲田大学研究戦略センター)
坂井敦、松村智裕、國村有弓(学校法人日本医科大学研究統括センター) /日本医科大学事務局研究推進部
【問い合わせ】
研究戦略センター事務局
Email:[email protected] Tel: 03-5286-1975






