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極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功

極超音速実験機のマッハ5燃焼実験に成功
~時速約5,400 kmで飛行する極超音速機の実現に向けた貴重なデータを取得~

発表のポイント

  • 国内初の極超音速実験機を用いたマッハ5(音速の5倍に相当する時速約5,400km)燃焼実験に成功しました。
  • 極超音速旅客機の実現に必要な主要技術を、マッハ5での飛行環境を模擬した試験で実証し、実用化に向けた貴重なデータの取得に成功しました。

学校法人早稲田大学(所在地:東京都新宿区、理事長:田中愛治)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)、東京大学、慶應義塾大学との共同研究において、JAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)のラムジェットエンジン試験設備を用いて、我が国で初めて、極超音速実験機を用いた音速の5倍(時速約5,400km)に相当するマッハ5燃焼実験に成功しました。
本実験により、将来期待される太平洋を2時間で横断できる「極超音速旅客機」や、高度100km程度に到達する「スペースプレーン」の実現に向けた、貴重なデータを取得しました。
※ 早稲田大学の研究代表者は理工学術院 佐藤哲也教授です。

(1)本研究による開発状況および実験内容について

日本が先行して研究開発を進めている極超音速空気吸込みエンジン技術について、本研究では、マッハ5環境下で飛行実証し、機体とエンジンを一体として制御する機体/推進統合制御技術の構築を目指しています。

早稲田大学、東京大学、慶應義塾大学とJAXAとの共同研究チームは、観測ロケット等による飛行実証を見据えた極超音速実験機の設計・製作を行い、音速の5倍(時速約5,400 km)に相当するマッハ5飛行環境を模擬した燃焼実験※1を実施しました。早稲田大学では、本研究の取りまとめと、極超音速気流を吸い込む空気取入口の設計・解析を担当しました。今回製作した実験機の特徴・新規性、実施した実験内容は次の通りです。

極超音速飛行では、機体とエンジンの相互干渉が非常に強いことが大きな特徴です。飛行マッハ数や機体の姿勢によって機体に形成される衝撃波が変化し、エンジンに取り込まれる気流の状態が大きく変わります。また、エンジンの推力は機体の運動に直接影響を与えるため、機体とエンジンは互いに強く結び付いたシステムとして振る舞います。このため、極超音速機では、機体の空力設計、エンジンの燃焼設計を個別に行うのではなく、一体のシステムとして取り扱う「機体/推進統合設計・制御」が必要になります。

本研究では統合的設計を行い、極超音速飛行環境においても安定したエンジン作動と機体制御が可能となる構成として、必要最小規模である全長2mの極超音速実験機を実現しました。その際、マッハ5の飛行状態では空気の圧縮加熱によって機体周囲の空気温度が1,000℃ 程度に達します。このような高温環境に対応するため、耐熱材料と遮熱構造を組み合わせた軽量耐熱構造として設計し、高温環境下でも機体および内部の電子機器が正常に動作できる構造を構築しました。

上述の極超音速実験機を用いた実験にあたっては、JAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)のラムジェットエンジン試験設備を使用して、マッハ5の飛行状態を模擬した極超音速風洞での燃焼実験を実施しました。具体的な実験項目及びその様子は以下の通りです。

① 極超音速実験機の燃焼実験(試験設備でマッハ5飛行状態を模擬)ⒸJAXA

② ラムジェットエンジンの燃焼作動ⒸJAXA

③ 実験機の耐熱性能の測定ⒸJAXA

④ 実験機の操舵翼の動作ⒸJAXA

(2)本実験の成果と今後の展開

今回の実験によって、これらの空力、推進、構造の統合設計の妥当性を確認することができました。さらに、耐熱構造の設計解析手法を検証するための機体表面温度分布の計測や、水素燃料を用いるラムジェットエンジンの排気が地球環境に与える影響を調べるための排気温度場の計測等を実施し、将来の極超音速機の実用化に向けた基礎データを取得しました。

本実験結果を踏まえて、極超音速実験機を観測ロケット等に搭載してマッハ5程度の飛行実験の実施を構想しています。極超音速飛行技術が確立されれば、太平洋を2時間で横断できる「極超音速旅客機」や、高度100km程度に到達する「スペースプレーン」の実現につながることが期待されます。

(3)研究助成

研究費名:科学研究費補助金 基盤研究(S)
研究課題名:観測ロケットを用いた極超音速フライトテストベッドの構築と機体推進統合制御の実証
研究代表者名(所属機関名):佐藤哲也(早稲田大学)

(4)用語解説

※1 風洞実験
航空機などの模型を風洞装置内に設置して、模型周囲に実際の飛行状態を模擬した空気流を流すことで、飛行状態で起きる現象を調査するための実験。

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