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令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 受賞コメント

令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、本学から5名の研究者が受賞しました。
科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った研究者を表彰する「科学技術賞(研究部門)」に政治経済学術院の 浅野豊美教授、理工学術院の齋藤潔教授、谷口正信名誉教授、萌芽的な研究・独創的視点に立った研究等高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を表彰する「若手科学者賞」に、理工学術院総合研究所の亀﨑允啓研究院准教授、理工学術院の早水桃子准教授が選ばれました。早水准教授は、2022年4月20日(水)に参加者を限定して文部科学省講堂で行われた表彰式において、「若手科学者賞」を代表して表彰状を授与されました。
以下に、各受賞者のコメントを掲載いたします。

科学技術賞 研究部門

受賞業績:歴史学と紛争解決学を包摂する新領域としての和解学創成研究
政治経済学術院 浅野 豊美 教授

受賞コメント
科学技術賞の受賞、非常な光栄に存じます。今まで出会いお世話になった友人、先輩、諸先生方へ改めて感謝申し上げます。中でも、和解学チームの皆様、この受賞は共同の受賞に他なりません。心より御礼申し上げます。政府による外交のみではない、国民を意識した対話が不可欠の時代に我々は生きています。国際和解学の観点から、民主主義を機能させる土台としての記憶や価値が規範やパワーそして文化一般と絡まり合う現象を、相互に認識し議論の対象とすることは、グローバル時代の創造的社会活動の知的基盤に他なりません。国際和解学会が欧米研究者との協力ですでに設立されており、今年は3度目の世界大会が開かれます。東アジア歴史紛争和解事典も立ち上がりました。さらに、学生諸君に対して、異質な感情との対話をめざす東アジア国際和解映画祭を呼びかけた結果、映画祭も立ち上がっています。国益とパワーや、国内政治情勢の次元に還元されない認識パラダイムによってこそ、ナショナリズムの濫用を防ぐ道が開けることでしょう。ぜひウェブへアクセスください。

受賞業績:回路論的視点に基づく熱システムの統一解析論に関する研究
理工学術院 齋藤 潔 教授

受賞コメント
この度は、栄誉ある科学技術賞 研究部門を頂戴し、大変光栄に存じます。この研究に関係いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
本研究では、流体力学や熱力学をベースとしつつも回路論的視点を導入した熱システムの統一解析論を構築してきました。これにより、複雑な熱システムの理論解析を可能としただけでなく、シミュレーターとして具現化し、多様なシステムの開発支援を実現してきました。
本成果では、熱、電気、動力エネルギー系の相互変換構造まで明示しており、異なるエネルギー系を含むエネルギーシステム群の解析まで可能となります。これにより、今後早急な実現が求められているエネルギーマネージメントシステムやデジタルツイン技術の開発等にも有効に活用されていくものと期待しております。
引き続き、この理論を活用し、持続的な環境エネルギー社会の実現に微力ながら尽力してまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

受賞業績:時系列解析における統計的最適推測論の構築とその応用研究
理工学術院 谷口 正信 名誉教授

受賞コメント
半世紀ほど前、指導教官から多変量時系列解析をやるように言われ、これが生涯のテーマになりました。多次元確率過程の統計学で、最も一般的な設定での統計解析ですので大変難しく当初は苦労がありました。その後は20数年、その最適統計推測論の構築に努め従属標本に対する最適推測論構築への貢献ができました。その後、多変量時系列の最適推測論が、生体・医学データ、また金融・年金積立金運用の分野にも応用できることがわかり、応用分野の方々とも協業が展開でき、最近は自動車産業との協業まで広がっております。また応用することによって理論へのアイデアも得てきており理論と応用が研究の両輪となっています。定年と重なって、今回の受賞になりまして、ここに至るまで多方面からのご支援をいただいたことに厚く感謝しておりますし、定年後も研究継続への啓示と理解しています。今後は、Art 、特に、オペラ、声楽と統計学なるものの研究も進める所存です。

若手科学者賞

受賞業績:建設災害インフラ分野におけるスマートメカノシステムの研究
理工学術院総合研究所 亀﨑 允啓 研究院准教授

受賞コメント
この度は、文部科学大臣表彰・若手科学者賞を賜り、大変光栄に存じます。これまでお世話になりました本学の先生方、官民の研究者の方々、研究室のスタッフ・メンバーに厚く感謝申し上げます。本研究は、国民生活を支える建設・災害対応・インフラ維持分野に知能ロボット技術を導入するため、構成論・計算論・システム論的アプローチを駆使して、人・環境・機械身体・機械知能の各構成要素研究、およびそれらの融合に基づくスマートメカノシステムの体系的設計論を創出したものであります。本研究の成果は、作業の省人化・効率化による当該分野の人手不足解消、作業の高度化自体による事故災害の未然防止、災害復旧・復興の早期化だけでなく、自動化による省エネ化にも大きく貢献するものと期待しております。よりよい生活・社会を築けるように今後一層精進してまいります。引き続き指導・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

受賞業績:生命科学のデータ解析に関わる離散数学の諸問題の研究
理工学術院 早水 桃子 准教授

受賞コメント
令和4年度の文部科学大臣表彰若手科学者賞を頂き、大変光栄に存じます。私の研究活動を支えてくださった全ての方に御礼申し上げます。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で受賞者が一堂に会する表彰式が開催されず、僭越ながら私が98人の若手受賞者の代表として表彰式に出席し、末松文部科学大臣から表彰状を頂く大役を仰せつかりました。私は生物の進化や細胞の分化といった生命現象の記述やデータ解析に関する離散数学の研究をしており、進化の系統ネットワークに関するグラフ理論・アルゴリズムの研究から、一細胞の遺伝子発現データ解析ソフトウェアTreefitの開発に至るまで、幅広い研究テーマを進めておりますが、こういった領域横断的な研究はどうしても理解が得られるまでに時間がかかる性質がありますので、今回このような形で研究を高く評価していただけたことは大変励みになりました。これからも日本の若手科学者の一人として自身の研究に邁進し、生命科学と離散数学が交わる研究領域を自由な発想で開拓して参ります。

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