仕事の引き継ぎや休み中の仕事の対応など
川端:業務の引継ぎや休み中の仕事のことなどお伺いできますか。
中村:年度を越えて繰り越した有休があったため、最初の1か月は育休、2か月目は有休を利用しました。2か月通して休むことも、考えましたが、後任の負荷を考え、2か月目は何日か出勤日を設けるなど、弾力的に出勤することで業務が滞らないように配慮しました。短期的に作業負荷の高い業務があったので、早めに課長に相談し、後任者のスキルを勘案しながら、フォロー体制を整えました。業務メールも、必要に応じて携帯に飛ばしてもらいました。業務メールは見るようにしようとしましたが、実際には乳飲み子を抱えた状態ではパソコンを開けなかったので、携帯で見られるようにしたことは正解だったと思います。子供を寝かしつけたら自分も眠ってしまいますので、寝かしつけてから仕事することはできませんでした。
川端:育休と有休を合わせて取得するというのは、いい方法ですね。有休を利用している期間は必要に応じて出勤できるようにすることで、取得する側と職場双方に安心感があります。取得に際して生じる心理的なハードルも下がります。ある調査によると、育休を希望する男性が取得しなかった理由の上位が「仕事が忙しく、代替要員がいない」「収入が減る」といったことなのですが、有休を上手に利用することで、こういった不安が軽減され、育休が取得しやすくなりますよね。実は私も、昨年中村さんから有休を組み合わせて取得したという話を伺ったことで、育休取得のハードルが下がったのを覚えています。また、長期で有休取得することは、育児・介護を抱えていない職員に対する有休取得の動機付けにもつながっていくのではないかと思います。休みを取りやすい職場ほど、育休取得がしやすいという調査結果もあります。
小川:育休取得前は自分が不在にすることで、仕事が回らなくなるのではないかという不安がありましたが、休んでみると、案外仕事は回っていました(笑)。また、私が休む間は職場の優秀な後輩が自分の業務を肩代わりしてくれるわけですが、その仕事の捌き方を見て、これまで自分は勝手に仕事を増やしてしまっていたのではないか、と思いました。自身の業務の洗い出しをする良い機会にもなりました。
長尾:困ったことが起きたら、基本は管理職に判断を仰ぎますので、それ以外の通常業務の部分については、もともと代替えが効きやすい職場環境でした。休業中の業務メモは事前に作成し、必要な場合は電話対応をしましたが、メールはほとんど見ませんでした。最初の1週間こそメールを見ましたが、次第に育児がメインの生活になり、仕事のことを考える時間は減りました。実際メールをチェックしなくとも、業務上、支障はなかったようです。
休職中のエピソード
川端:育児休職中のエピソードなど伺いたいと思います。私の場合、子どもが夜泣きをしたときに自分もあやすようになり、当然寝不足になって、日中寝ている妻の気持ちが前よりもわかるようになったり、おむつを何度も替える経験を通して拭き方ひとつですぐに皮膚がかぶれることに気付いたりしました。多くの気づきがありました。
長尾:平日朝夜と週末だけの育児では、子供とべったり遊ぶ時間が作れないですし、どうしても休日は受け身になってしまっていましたが、平日、丸1日あると自分から積極的に、濃密に遊べると実感しました。外出することも多くなりましたが、外に出て遊ぶと、肉体的には疲れますが、精神的なストレスが取れますね。
小川:私の場合は、保育園のお迎えの時、他の子どものお迎えがお母さんばかりの中、自分だけ父親が迎えに来てくれるので、上の子はそれがうれしかったらしく、とても喜んでいたのを覚えています。
中村:育休を取った時、上の子どもが2歳で、とても手がかかる時期でした。魔の2歳児、イヤイヤ期と言われる時期で、夫婦二人でフル回転で、私はもう、本当に悪戦苦闘しながら、ようやく育児・家事をこなしました。妻がひとりでこなすことは、難しかっただろうと思います。ただし、気を付けなければならいのは、家事や育児をしたからと言って、女性の負担が男性以下にはなりませんので、「どや顔」はしないということです(笑)。
※座談会③に続きます。
※記事の内容は座談会当時(2017年6月)のものです。
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