大学は、思いを抱く人々が集まり、刺激を受け合いながら相互に学び、自らを磨く場です。そこに集う人々の背景や経験、価値観が多様であるほど、生まれる議論は豊かで厚みをもつようになり、現実の複雑な課題を解決する確かな知が育まれます。

早稲田大学は、創立以来、内外の多様な人々に門戸を開いてきました。
2017年に制定した「ダイバーシティ推進宣言」は、その伝統を今日の言葉で言い表し、性別、障がい、性的指向・性自認、国籍、エスニシティ、信条、年齢などにかかわらず、本学の構成員の誰もが尊厳と多様な価値観や生き方を尊重され、各自の個性と能力を十分に発揮できる環境をつくることを、大学の意思として明らかにしたものです。
私は、人の心理・行動に対する環境の影響について研究しています。そこで学んだことは、人の能力は個人の内側だけで決まるものではなく、環境との関係のなかで引き出される、ということです。段差のない通路、障壁のないコミュニケーション、多様な学び方や働き方を認める制度、安心して相談できる窓口。こうした環境が整うことで、一人ひとりの力は発揮されます。ダイバーシティ推進とは、特別なことではなく、すべての人の力がおのずと引き出される環境を、大学全体で知恵を出し合い、整えていくことだと考えています。
本間敬之総長は、学内外の英知を結集し、多様な価値観を力に変えて、世界に貢献するWASEDAを築くことを掲げています。多様性は、その土台となる環境が整うほど、大きな力となって現れます。ダイバーシティ推進室とスチューデント・ダイバーシティ・センターの緊密な連携を軸に、学術院や事務組織をはじめ学内の各箇所と力を結集し、現場の声に学びながら、育児・介護との両立支援、障がいのある構成員への合理的配慮、性の多様性への支援などを着実に進めてまいります。
創立150周年、そしてその先を見据え、学生、教職員、早稲田に関わるすべての方々が尊厳をもって自分らしく力を発揮できる大学、そしてその力を結集し、世界に貢献できる大学をともにつくっていきたいと思います。
早稲田大学理事
(ダイバーシティ推進、学生・教職員健康管理担当)
三嶋 博之(人間科学学術院教授)
2026年9月21日就任
この度、早稲田大学ダイバーシティ推進室の室長を拝命いたしました岩崎でございます。
早稲田大学は、「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という建学の理念のもと、古くから多様な個性と価値観を持つ学生、教職員が集う「進取の精神」に満ちた場として発展してまいりました。2017年には「早稲田大学ダイバーシティ推進宣言」を公表し、一人ひとりが尊厳を重んじられ、その能力を最大限に発揮できるキャンパスの実現に向けて歩みを進めています。

私はこれまで長年にわたり、障がいのある方々の支援に携わってまいりました。その活動を通じて痛感してきたのは、個人の側にではなく「環境の側」にある障壁(バリア)を取り除くことの重要性と、一人ひとりの特性に応じた柔軟なサポートが持つ力です。この視点は、障がいの有無にとどまらず、性別、国籍、文化、性的指向・性自認(SOGI)など、あらゆる多様性を包摂する大学づくりにおいても中核をなすものだと確信しております。
社会構造の変化やグローバル化がかつてないスピードで進む現代において、多様な背景を持つ人々が交わり、互いの違いを尊重しながら対話を重ねることは、大学における「知の創出」と「教育の質向上」の源泉そのものです。
新室長として、これまでの推進室の歩みと成果を引き継ぎながら、すべての人にとっての「障壁」を取り除き、誰もが安心して学び、働くことができる「心理的安全性」に満ちたインクルーシブなキャンパスの構築に尽力してまいりたいと思っております。
ダイバーシティの推進は、早稲田大学を構成するすべての皆様の参加と対話によって成し遂げられるものです。皆様の率直なご意見に真摯に耳を傾け、共に考え、行動するダイバーシティ推進室でありたいと考えておりますので、今後とも、活動に対するご理解とご支援、そして積極的なご参画を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
早稲田大学ダイバーシティ推進室
室長 岩崎 香(人間科学学術院教授)
2026年9月21日就任