Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

紛争交渉研究所【第Ⅲ期】
Center for Negotiation and Dispute Resolution Research

【終了】2015~2020年度

研究テーマ

交渉・紛争処理に関する理論研究と医療者・企業人らを対象とする教育プログラムの開発

分野:教育

研究概要

本研究所は、交渉及び紛争処理の研究の推進、および教育プログラムの開発を行い、さらにその成果を本学学生および社会に向けて提供していくことを目的とする。

(1)交渉および紛争処理の過程と構造についての理論的研究
 ブリティッシュ・コロンビア大学を中心とする日本、中国、インド、インドネシアを含む「紛争行動と社会システム」に関する国際共同研究(第2期)の取り纏めを行う。具体的には英文での共同研究論文集を刊行する予定。

(2)機能的な紛争処理システムに関する実践モデルのデザイニングと提言
 この領域では、医療事故をめぐる裁判外紛争処理、医療機関と被害者との交渉過程の分析をもとに、紛争処理モデルの設計を課題としてきたが、既に着手しつつある震災後の補償をめぐる紛争処理システム、企業内の紛争管理システムの理論研究を課題に付加し、新たに取り組んでいく。

(3)理論的研究成果に基づく、教育プログラムの開発と提供
  a)法専門家の継続教育のための紛争処理技法トレーニングの開発整備
  b)医療事故紛争領域での医療者向け紛争管理技法教育プログラムの開発整備
  c)企業内の関係コンフリクト処理のための教育プログラムの開発

  以上により、一方で理論的な研究を深めつつ、教育や社会連携的活動へと還元することで、理論と実践を架橋した社会に応答的な研究推進を行っていく。

研究報告

【2019年度】
 2019年度は、医療紛争時のピアサポートのシステムにつき、海外での調査やシ研究会での検討、国内医療機関での調査研究などを行った。マスコミへなどでも、この取り組みについて取り上げられている。
 このほか、本研究所で蓄積し構築してきた医療メディエーションのモデルが海外でも関心を集めており、台湾を中心に国際的な交流活動も定期的に行ってきた。2019年には合同シンポジウムを台北にて共催し、和田と招聘研究員永尾が招かれ、発表を行った。その成果は、『医療溝通橋梁:医療争議処理模式与訴訟外解決機制』として、台湾にて出版されている。また、タイでも所長の和田が講演を行うなど交流を深めつつある。
 ビジネス交渉関係では、早稲田アカデミックソリューションおよび海外取引に関わる企業から招聘研究員を迎え、国際ビジネス交渉事案および弁護士業務、さらには国・行政の関与の影響とあり方を分析するほか、交渉に関わるコミュニケーション、とりわけ質問力養成の研修プログラムを作成、法科大学院での授業などに取り入れた。さらに、2019年からは、国連安保理事会北朝鮮制裁委員会専門パネル委員である竹内舞子氏を招聘研究員として迎え、外交をめぐる紛争交渉過程についての分析的研究に着手した。
 いずれも紛争過程の研究、交渉関係の研究という視点から、他の研究計画と交流しながら、対象、理論的視点に関して一貫した体系的な関与を行ってきている。これらテーマは、それぞれ個別性を有しているが、その根幹に紛争理論、交渉理論との関りが通底しており、この共通プラットホームとしての理論についても、検討を継続している。

【2018年度】
 2018年度は、継続中の医療事故の関わった加害者側医療者の心理、そのサポートシステムの研究を進め、国内で複数シンポジウムを開催した。次年度は、国際シンポジウムを早稲田にて開催の予定である。このほか、本テーマについては厚生労働科研が内定しており、研究グループに数名の所員が参加している。また、厚労省より新たに重症患者への救急対応時、および臓器移植の意思決定支援に関するメディエーター育成プログラム作成への協力依頼があり、検討を進めている。東日本大震災の補償交渉の過程についての理論的および実践的な観点から研究、および学生の参加を含む取り組みも継続して行った。このほか、ADR手続き主宰者の技法について、質問力トレーニングなどの教育プログラムの開発・検討、および国際取引交渉過程の構造についての実証的データに基づく事例分析も行ってきている。次年度も,こうした研究を継続的に実施していく予定である。

【2017年度】
 2017年度は次の様な研究活動を行った。1)医療事故の関わった加害者側医療者の心理、そのサポートシステムの現況について海外でのインタビュー調査、国内でのシンポジウムを行った。医療事故に際しては、遺族はもちろん、事故に関わった医療者も、強い心的ストレスを感じ、離職や時には自殺につながることもある。こうした”Second Victim”の救済のためのシステムが海外では発展しており、これの我が国への導入可能性を模索した。2)東日本大震災の補償交渉の過程について、その被害実態と請求の根拠について、理論的および実践的な観点から研究を行った。また、学生の参加など、教育的意義についても努力を試みた。3)ADR手続き主宰者の技法について、質問力トレーニングなどの教育プログラムの開発・検討を行った。4)さらに国際取引に関しての交渉過程の構造についての実証的データに基づく検討も行ってきている。次年度も,こうした研究を継続的に実施していく予定である。

【2016年度】
 2016年度、紛争交渉研究所では、下記のテーマを中心に研究に取り組んできた。
 まず、本研究所で開発が進められた医療メディエーター養成プログラムについて、これにより育成された人材を配備する病院に厚労省より診療報酬が提供されているが、新たに医療界からも招聘研究員を迎え、医療事故発生時の遺族及び医療者双方へのケア提供のためのピアサポートプログラムの開発に着手している。また、久保田教授を中心に日本の企業等が海外に進出する場合の様々な契約交渉過程について検討を進め、こちらも招聘研究員を新たに迎え一定の実践的戦略モデルの構築へ向けたプロジェクトにも着手している。これらに加え、原発被害者と補償をめぐる紛争交渉に関する検討も、須網、和田二より継続的に取り組んでいる。
 これらの活動については、海外での学会発表(Law and Society Association Annual Meeting, New Orleans および Asian Law & Society Association Meeting, Singapore)を含め各地での発表など社会的アピールを行った。

所長

和田 仁孝[わだ よしたか](法学学術院教授)

メンバー

【研究所員】
和田 仁孝(法学学術院教授)
石田 京子(法学学術院教授)
久保田 隆(法学学術院教授)
須網 隆夫(法学学術院教授)

【招聘研究員】
伊東 美晴(株式会社早稲田大学アカデミックソリューション取締役)
金子 怜司(株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)
鈴木 有香(明治大学兼任講師)
竹内 舞子(国連安保理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員(核問題担当))
武田 智行(弁護士)
永尾 るみ子(イムス富士見総合病院看護師、日本医療メディエーター協会研究員)
中村 芳彦(法政大学大学院法務研究科教授)
鷁田 えみ(株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)
山本 真由美(有限会社ミスエッセンス社長)

連絡先

[email protected]

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/cro/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる