Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

社会連携研究所(RBSL)【第Ⅱ期】
Relationships between Societies Laboratory(RBSL)

研究テーマ

大学資源と社会ニーズの連携により人間力・地域力を創造するための方策に関する研究

分野:社会・教育

研究概要

社会連携研究所は、2008年度より、大学の持つ資源と社会のニーズとを「教育」を基軸として繋ぎ、社会に新たな価値を提供できるような「連携の新しいモデル」を創造することを対象として研究活動を行ってきた。
個々の活動を通して明確になったポイントの一つとして、新しいシステムや場の創出以上に、関係者を如何に繋ぐかという視点と、そこに携わる“コーディネーター”としての人材の重要性が挙げられる。ここでは、各制度の優位性という切り口よりは、それらを担う人材育成という側面が浮き彫りになっている。

社会の変化に伴い、社会が求める大学のあり方が変わることは当然であり、それは大学が輩出する人材についても同様である。具体例として、近年、文部科学省をはじめとする関係省庁においても、「グローバル人材育成」というフレーズにまとめられる観点からの動きが顕著である。これは、当然、広く世界で活躍できる人材の育成に焦点を当てているとともに、地域リーダーの育成、更には地域人材の育成にも言及しており、この目標を達成するためには従来と同様の教育方法では通用しないことが指摘されている。
ハーバード大学経営大学院においても“フィールド・メソッド”教授法が導入されるなど、教場に留まらない教育方法が注目されている。また、『データの背後にある現実を理解し、「社会にとって良いことをしているだろうか」と自問自答できるセンスを磨くこと』の必要性も説かれている。

現代の社会において、個と個の関係性の希薄さ、価値観の狭義性、アイデンティティの喪失が浮き彫りにされる中、社会連携研究所では、過去の研究実績を元に、引き続き大学と地域社会との「教育を基軸とする連携モデル」の創造を推し進める。
合わせて「個々の関係性に注視したシステムの構築」、「多様性を生かす場の創出」といった視点から、グローバル人材育成のための教育も研究の対象とし、教養教育の一端を担うであろう、社会・地域をフィールドとする教育メソッドについて検証する。
これにより、多様な文化や異なる価値観をつなぎ調整することのできる“社会のコーディネーター”としてのグローバル人材や地域リーダーを育成するメソッドを、一人ひとりのアイデンティティに焦点をあてて確立することを最終目的とする。
本研究の対象となるステイクホルダーは次の通り。
1)学生、2)教職員、3)地方自治体、4)企業(経営者)、5)地域住民、
6)他の教育機関、7)海外の機関 等

研究報告

【2017年度】
1)地域社会における人材育成の実践
1. 川口市において地域人材育成を目的とした「経営者連携セミナー」を実施した。
2. 墨田区における住民主体の食育活動のコーディネートを行った。
3. 地域企業を発掘し、企業育成を支援するための人材育成を目指す、大阪府主催の地域経済コンシェルジュ養成研修に協力し、地域人材の育成モデルを検証した。
4. 美濃加茂市において地域のキーパーソン育成を目的に、地域人才と学生が連携した新たなまちづくりのあり方を試行した。
5. 前川財団より研究助成を獲得し、公共教育における地域学習の実践方法の確立を目指し、早稲田大学本庄高等学院との協力のもと、地域人材の育成に向けたあり方を検討した。
2)自治体職員の育成
1. 過年度より継続し、佐賀県および本庄市において地域社会と行政組織の関係を踏まえた行政職員の有機的なあり方を問う自治体職員研修を実施した。
3)教育を基軸とする新たな連携モデル創出の試み
1. 過年度より引き続き、早稲田ビジネスネット横浜稲門会と協働し、経営者と学生を対象とした連携モデルを検証した。
2. 実践的な地域における人材育成に関する教育手法の確立を目指し、研究成果の発表による成果の共有と深化を目的として、「墨田区における地域と連携した学生プロジェクトの発表会」と「社会連携事例を検証するためのミニワークショップ」を実施した。

【2016年度】
1)地域社会における人材育成の実践
1.2013・2014・2015年度に引き続き、川口市での地域人材育成を目的とした「経営者連携セミナー」を実施した。
2.墨田区における住民主体の食育活動のコーディネートを行い、「食で育む」という基本理念の共有と、「ミクロ」な主体が活動に参加しつづける意味の掘り下げを試行した。
3.2014・2015年度に続き、地域の企業を発掘し企業の育成を支援するための人材育成を目指す、大阪府主催の地域経済コンシェルジュ養成研修に協力し、地域人材の育成モデルを検証した。
4.美濃加茂市において地域のキーパーソン育成を目的に、学生と地域人才のコラボによる新たなまちづくりのあり方を試行した。
2)自治体職員の育成
引き続き、佐賀県、本庄市において、「マクロ」な行政組織における「ミクロ」な行政職員のあり方を問う自治体職員研修を実施した。
3)教育を基軸とする新たな連携モデル創出の試み
早稲田ビジネスネット横浜稲門会との協働で、2014・2015年度に続き、経営者と学生がフラットな関係性での対話・交流の機会を持つことで、互いの成長につなげるという連携モデルを検証した。本連携モデルは、全学における校友と学生とのセッションの原型となっている。
4)出版
社会連携推進室(現教育連携課)が創設し実施したIPPOプログラムを、「社会連携教育」の観点から整理し、このプログラムに関わった大学職員と学生と地域の方々の活動の記録をインタビューを元に本として出版した(『ワセダ発!ぶつかる社会連携~大学職員による教育プログラム~』2016年11月、水曜社)。出版にあたっては、鎌田総長からも「発刊に寄せて」の一文をいただいた。

【2015年度】
1)地域社会における人材育成の実践
1.2013年度、2014年度に引き続き、川口市での地域人材育成を目的とした「経営者連携セミナー」を実施した。
2.内閣府・墨田区主催の第10回食育推進全国大会において、食育をツールとして行政と住民の新たな協働モデルづくりを進める墨田区の「すみだ食育goodネット」を主体とした活動に助言し、全国大会当日のパネルディスカッションおよびワークショップ実施の監修・コーディネートを行った。
3.2014年度に続き、地域の企業を発掘し、企業の育成を支援するための人材育成を目指す大阪府主催の地域経済コンシェルジュ養成研修に協力し、地域人材の育成モデルを検証した。
2)自治体職員の育成
1.引き続き、佐賀県、本庄市において自治体職員研修を実施。
2.佐賀県庁の職員のメンタルヘルス向上のための調査研究を継続実施し、報告書をまとめ佐賀県に提示した。
3)教育を基軸とする新たな連携モデル創出の試み
1.東京商工会議所中野支部との連携で、大学と地域社会とが教育を基軸とした連携により新たな価値を創出する試みとして2014年度から取り組んでいる「社長みつちやく観察図鑑」プロジェクトを2015年度も行い、新たな社会連携のモデルを創出する実験と検証を行った。
2.早稲田ビジネスネット横浜稲門会との協働で、2014年度に続き、経営者と学生がフラットな関係性での対話・交流の機会を持つことで、互いの成長につなげるという連携モデルを検証した。
3.社会連携推進室主催の「第2回早稲田大学社会連携セミナー」に後援として、セミナーへの助言およびワークショップセッションのコーディネートを行った。

【2014年度】
(1)地域社会における人材育成の実践
1.2013年度に引き続き、川口市での地域人材育成を目的とした「経営者連携セミナー」を実施した。
2.2015年度に墨田区で開催される食育推進全国大会の開催に向けて、住民主体で活動する墨田区のすみだ食育goodネットに協力することにより、行政と住民の新たな協働モデルづくりを提唱し推進した。
3.地域の企業を発掘し、企業の育成を支援するための人材育成を目指す大阪府主催の地域経済コンシェルジュ養成研修に協力し、地域人材の育成モデルを検証した。

(2)自治体職員の育成
1.引き続き、佐賀県、本庄市において自治体職員研修を実施。
2.佐賀県庁の職員のメンタルヘルスプロジェクトも、職員のメンタルヘルス向上のための調査研究を継続実施している。

(3)教育を基軸とする新たな連携モデル創出の試み
1.大学と地域社会とが教育を基軸とした連携により新たな価値を創出する試みとして、東京商工会議所中野支部との連携により、「社長みつちやく観察図鑑」プロジェクトを実施。大学資源である学生が、中野区の地域企業経営者に密着、同行し、自分と他者との違いから見出す個々の関係性の中から、新たな社会連携のモデルを創出する実験と検証を行った。
2.早稲田ビジネスネット横浜稲門会との協働で、経営者と学生がフラットな関係性での対話・交流の機会を持つことで、互いの成長につなげるという連携モデルを検証した。

【2013年度】
2008年10月に創立した社会連携研究所は5年間の設置期間の活動をもって一旦の研究成果を検証した。2013年10月から引き続き、大学の持つ資源と社会のニーズとを「教育」を基軸として繋ぎ、社会に新たな価値を提供する「連携の新しいモデル」を創造することを目指した研究活動を継続している。
(1)地域社会における人材育成
1.「ひとづくり」が経営の本質であることをコンセプトとした経営者連携セミナーを川口市と協働して実施した。川口市内の事業経営者をつなぎ、経営者同士の連携を深めることで相互の成長を促すプログラムとし、その効果を検証した。
2.食育によって人を育てることを目指す墨田区との試みとして、「すみだ食育推進リーダー育成講習会」を受託し実施した。

(2)自治体職員の育成
1.佐賀県、本庄市、西東京市において自治体職員研修を実施。地域独自の資源や人材を活かした地域づくりが求められる中、それぞれ地域の経営を担うのは自治体職員であることをコンセプトとしたプログラムとしている。
2.2009年より覚書を締結し取り組んでいる佐賀県庁の職員のメンタルヘルスプロジェクトでは、組織内コミュニケーションの改善を図ることで、職員のメンタルヘルス向上を実現するための調査研究を継続実施している。

所長

友成 真一[ともなり しんいち](理工学術院教授)

メンバー

【研究所員】
友成 真一(理工学術院教授)
井上 和久(理工学術院助教)
大鹿 智基(商学学術院教授)
橘 孝博(高等学院教諭)
露木 和男(教育・総合科学学術院教授)
本田 恵子(教育・総合科学学術院教授)
柳谷 晃(高等学院教諭)

【招聘研究員】
井坂 康志(ものつくり大学特別客員教授、ドラッカー学会理事)
大森 昭生(共愛学園前橋国際大学学長・国際社会学部教授)
風見 敏男(株式会社ドリコムベスト代表取締役)
坂井 孝行(新潟市役所)
里見 哲也(元サンデンホールディングス株式会社執行役員・グローバルセンター長)
杉田 定大(一般財団法人日中経済協会専務理事)
関川 弘子(早稲田こどもフィールドサイエンス教室講師・小中学校理科講師)
曽根 公毅(早稲田大学アカデミックソリューション・チーフコーディネーター)
髙木 直二(明治大学サービス創新研究所客員研究員)
坪田 秀子(お茶の水女子大学非常勤講師)
二宮 崇
藤田 淑郎(AGSシステムアドバイザリー株式会社エグゼクティブスペシャリスト)
三木 佑二郎(ワイズ総研代表理事)
吉田 正博(一般社団法人永続的成長企業ネットワーク代表理事)
高野 光司(早稲田大学非常勤講師)
秋元 祥治(特定非営利法人G-net代表理事、岡崎市ビジネスサポートセンターセンター長)

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