宇宙科学観測研究所【活動終了】
Institute for Space Science Observation
【終了】2015~2018年度
研究テーマ
最先端観測機器開発による宇宙科学観測
分野:科学
研究概要
本学では、理工学術院に所属する研究者を中心として、国際宇宙ステーションでの宇宙科学観測(CALET:暗黒物質探索、宇宙線加速・伝播機構の解明など)、次世代宇宙科学観測技術の開発(月・惑星探査)、先進的宇宙工学技術による小型衛星(衛星・通信システム実用化)に関する研究・開発が実施されている。これらの研究は理工一体型プロジェクトとして緊密に連携しながら、本学重点領域研究機構「宇宙科学システム研究所」及び私立大学戦略的基盤形成支援事業「先端的宇宙科学観測・技術融合型研究拠点の形成」プロジェクトにより実施されてきた。本プロジェクト研究では、これらの研究をさらに発展させ、「連携協力協定」を締結している宇宙航空開発機構(JAXA)等の外部機関との密接な連携により世界をリードする宇宙科学・技術の推進を確実に実現する事を目的としている。
そのため、これまでの研究組織の中核メンバーを中心にして、特に研究期間内に達しする内容として、次の2つのプロジェクトに焦点を定めて研究成果を挙げるとともに、その後の展開も見据えた次世代宇宙リーダを育成する。
(1)国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」における宇宙線観測(CALET)
本プロジェクトは早稲田大学とJAXAが平成22年に覚書を交わして実施している共同研究であり、「きぼう」船外実験プラットフォームに高精度な宇宙線観測装置を設置して、宇宙・素粒子における最大の謎である暗黒物質、及び未発見の近傍加速源や未知の伝播過程の存在の解明を主要な目的としている。そのため、早稲田大学に設置したWaseda CALET Operations Center(WCOC)において軌道上運用及び科学データ解析を国内外の研究機関と共同して実施する。ISSで観測されたデータは数秒内でWCOCに配信されるためリアルタイムモニターによる運用管制を行うとともに、科学データ解析を実施して成果発信を行う。なお、研究の社会的還元として、ISSで得られたデータをリアルな状態で広報することにより、宇宙科学への関心を高めるとともに、宇宙科学研究者の育成を図ることを計画している。
(2)超小型衛星による小惑星における資源探査・太陽系原始探査
現在申請中の文部科学省「平成27年度宇宙航空科学技術促進委託費」では、「地球近傍の金属等の組成を有する小惑星(例えばM型小惑星)の資源探査・太陽系原始調査」を目標として、基盤技術のいくつかについては実績や整備が進んでいる。この課題は世界的レベルでの宇宙科学・技術の推進を実現するものであり、宇宙航空研究開発機(JAXA)等の外部機関との連携も含めて課題・環境による技術・教育刺激を基盤とした人材育成や研究成果の社会還元を行い、宇宙産業基盤の強化にも貢献することを目指している。
研究報告
【2018年度】
本研究所は、理工学術院に所属する研究者を中心として、国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙科学観測、先進的技術による小型衛星(衛星・通信システム実用化)に関する研究・開発を実施している。 2018年度の活動として主要なものは以下の通りである。
1) 早大-JAXAの共同研究としてISS搭載の高エネルギー宇宙線観測装置(CALET)による、軌道上観測及びデータ解析を日米伊の国際共同研究体制で実施している。2015年8月の打ち上げ以来、観測は継続的かつ安定的に実施されており、研究目的である宇宙線の加速・伝播機構の解明や暗黒物質の探索に必要なデータが順調に取得されている。それらの成果は、国内外の学会や会議において招待講演で発表し、国際的な著名雑誌(Physical Review Letters 120, 261102 (2018)等)に掲載されている。
2) 超小型衛星の開発による小惑星における資源探査・太陽系原始探査について、文部科学省の「宇宙航空科学技術推進委託費-宇宙人材育成プログラム」(平成28−30年度)に採択され、衛星搭載装置の開発を実施するとともに、次世代宇宙開発・利用リーダの実践型教育プログラムを推進した。
3) Xenon Radioation Detectorsの宇宙科学観測への応用に関する国際会議(XeSAT2018)を2018年9月に早稲田大学国際会議場で開催し、国内外から約70名の参加者があり活発に議論が行われた。
【2017年度】
本研究所は、理工学術院に所属する研究者を中心として、国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙科学観測、先進的技術による小型衛星(衛星・通信システム実用化)に関する研究・開発を実施している。 2017年度の活動として主要なものは以下の通りである。
1) 早大-JAXAの共同研究としてISS搭載の高エネルギー宇宙線観測装置(CALET)による、軌道上観測及びデータ解析を日米伊の国際共同研究体制で実施している。2015年8月の打ち上げ以来、観測は継続的かつ安定的に実施されており、研究目的である宇宙線の加速・伝播機構の解明や暗黒物質の探索に必要なデータが順調に取得されている。それらの成果は、国内外の学会や会議において招待講演で発表し、国際的な著名雑誌(Physical Review Letters 119.181101 (2017)等)に掲載されている。
2) 超小型衛星の開発による小惑星における資源探査・太陽系原始探査について、文部科学省の「宇宙航空科学技術推進委託費-宇宙人材育成プログラム」(平成28−30年度)に採択され、衛星搭載装置の開発を実施するとともに、次世代宇宙開発・利用リーダの実践型教育プログラムを推進している。
3) 超小型衛星の技術開発の一環として、早大発のWASEDA-SAT3をISSから射出する実験を実施したほか、次期小型衛星の開発に着手している。
【2016年度】
本研究所は、理工学術院に所属する研究者を中心として、国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙科学観測、先進的技術による小型衛星(衛星・通信システム実用化)に関する研究・開発を実施している。 2016年度の活動として主要なものは以下の通りである。
1) 早大-JAXAの共同研究としてISS搭載の高エネルギー宇宙線観測装置(CALET)による、軌道上観測及びデータ解析を日米伊の国際共同研究体制で実施している。2015年8月の打ち上げ以来、観測は継続的かつ安定的に実施されており、研究目的である宇宙線の加速・伝播機構の解明や暗黒物質の探索に必要なデータが順調に取得されている。それらの成果は、日本物理学会(2017年3月)や国際会議(CERN)での招待講演で発表している。
2) 超小型衛星の開発による小惑星における資源探査・太陽系原始探査について、文部科学省の「宇宙航空科学技術推進委託費-宇宙人材育成プログラム」(平成28−30年度)に採択され、衛星搭載装置の開発を開始するとともに、世代宇宙開発・利用リーダの実践型教育プログラムの作成に着手している。
3) 超小型衛星の技術開発の一環として、早大発のWASEDA-SAT3をISSから射出する実験を2017年1月に実施し、衛星の性能評価を行なっている。
【2015年度】
本研究所は、理工学術院に所属する研究者を中心として、国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙科学観測、次世代宇宙科学観測技術の開発(月・惑星探査)、先進的技術による小型衛星(衛星・通信システム実用化)に関する研究・開発を実施している。 2015年度の活動として主要なものは以下の通りである。
1) 2015年8月19日に「こうのとり5号機」によりCALETが打ち上げられ、宇宙線の研究や暗黒物質の探索を主要な目標としてISS軌道上での観測が開始された。このプロジェクトは早大とJAXAの共同研究であり、2年間(目標5年)の観測が予定されている。本研究所では、早稲田大学CALET運用センターを設置して、筑波宇宙センターと共同して、観測運用及び科学データ解析を実施している。初期的な成果として、ISSにおける電子の「集中豪雨」を観測し、宇宙天気予報への貢献も期待されている。(発表論文:Geophysical Research Letters 10.1002/2016GL068930)
2)月・惑星探査における研究の進展としては、月探査プロジェクト「かぐや」で得られた「ガンマ線分光計」のデータ解析が進み、その成果が国際会議や査読雑誌で発表されるとともに、次期計画であるSLIMでは「能動型蛍光X線分光計AXS、火星衛星探査機のガンマ線・中性子分光計を搭載に向けて開発している。さらにジオスペース衛星「ERG」では、粒子検出器HEPe-Lの開発が実施されている。
3)本研究所の社会への広報活動とて、2016年3月16日に公開セミナー「最先端観測機器開発による宇宙科学観測」を開催した。
■最先端観測機器開発による宇宙科学観測 http://www.waseda.jp/wpnc/news/assets/uploads/2016/02/space0315.pdf#search=
所長
鳥居 祥二[とりい しょうじ](理工学術院教授)
メンバー
【研究所員】
浅岡 陽一(理工学術院主任研究員(研究院准教授))
天野 嘉春(理工学術院教授)
小澤 俊介(理工学術院次席研究員(研究院講師))
嶋本 薫(理工学術院教授)
鳥居 祥二(理工学術院教授)
長谷部 信行(理工学術院教授)
宮下 朋之(理工学術院教授)