21世紀日本におけるジェンダーとセクシュアリティに関する諸問題の研究と大学教育実践の研究
分野:教育、社会システム
21世紀日本におけるジェンダーとセクシュアリティに関する諸問題の研究と大学教育実践の研究
分野:教育、社会システム
ジェンダー研究は、全ての人間を「男/女」に二分化し、両者の関係を序列化し固定化することを問題とし、女性解放の学として生み出された女性学をさらに深化・発展させるものとして、90年代以降盛んになった学際的学問分野である。社会的・文化的につくられた性差としてのジェンダーが今日の不均衡な男女関係の基盤をなすとの認識に立ち、従来女性のみの分野として限定されがちであった女性学を男女両性に開き、相互のダイアローグのもとに男女間の権力関係にまつわる諸問題を解決へと導く道を拓くものと期待されている。ジェンダー研究所はこの時同時にセクシュアリティを射程に必ずおいて研究を進める。
早稲田大学においてもジェンダー関連の講座はすでにさまざまな学部内で「女性学」、「ジェンダー・スタディーズ」等の名でもたれており、その数はますます増える傾向にある。本ジェンダー研究所は、全学副専攻「ジェンダー研究」を開設するなど学内の教育活動への貢献、FDも見据えた実践、研究コミュニティを形成していく。
本研究所の主な目的は、次の通りである。
(1)これまでの男女共同参画推進室との連携を一層深め、各学部においてジェンダー、セクシュアリティ関連の授業を担当している教員がともに集うことで、早稲田大学における多様で充実したカリキュラムづくりのために意見や情報の交換をし合う。
(2)早稲田大学およびその周辺に多数存在する、ジェンダー研究、セクシュアリティに関心をもつ教員や大学院生が集い、さまざまな統一テーマに関して学際的共同研究を行う場とする。
(3)以上によって得られた学問的知見を学内の本学のみならず学外にもアピールすることを通して、早稲田だけではなく広く日本における平等的な男女関係の形成に寄与し、かつ我が国ならびに世界のジェンダー研究およびセクシュアリティに関する研究の発展に役立てる。
【2018年度】
早稲田大学ジェンダー研究所は、『ジェンダー研究21』第8巻を刊行、定例研究会、講演会、シンポジウム等を開催した。
ジェンダー研究所主催のシンポジウムでは、「大学とハラスメント」をテーマとして、ジェンダー研究所の研究員や学外の専門家を迎え、学内の関係機関とも連携しながらこの問題をめぐる学的状況認識と実践的課題の整理を行った。
また、5年目を迎えた学生主体の<ジェンダー・ワークショップ>実行委員会形式で、「全学共通副専攻「ジェンダー研究」全体活動 「何⁉ カフェ」」を開催、「日常の“何”を考える」、「教育の“何”を考える」、「メディアの“何”を考える」合計3回開催した。
本年度は、比較法研究所との共催で「「逃げるは恥だが役に立つ」大分析 <ジェンダー・法・社会>」と題して、学生の参加を募り、フォーラムシアターやポスターセッションに取り組む学生たちを支援した。
<ジェンダー・ワークショップ実行委員会(学生)イベント>
全学共通副専攻「ジェンダー研究」全体活動 「何⁉ カフェ」
「日常の“何”を考える」
2018年12月13日(木)17:00-18:30 @戸山キャンパス31号館103教室 「教育の“何”を考える」
2018年12月21日(金)18:15-19:45 @早稲田キャンパス3号館201教室
「メディアの“何”を考える」
2019年1月10日(木)17:00‐18:30 @戸山キャンパス31号館103教室
<ジェンダー研究所共催講演会>
早稲田大学ダイバーシティ推進室主催公開講演会
「居場所」のない男、「時間」がない女 ―ワークライフアンバランスな日本社会を考える
日時:2018年10月26日(金)16:30-18:00
会場:大隈小講堂
講師:水無田気流(國學院大学経済学部教授)
【2017年度】
早稲田大学ジェンダー研究所では、毎年、年間3回の定例研究会のほか、年1回講演会、シンポジウムを開催、研究ジャーナルとして『ジェンダー研究21』を年1回刊行してきた。
2017年は、「日本軍の戦時性暴力を考える 『慰安婦』被害者宋神道さんのたたかい」と題して、ドキュメンタリー映画の上映と講演会を開催した。
特筆すべきは、海外の高等教育における実情との比較を通して早稲田大学、高等教育機関におけるジェンダー教育の意義を明確にするため、『なぜジェンダー教育を大学でおこなうのか -日本と海外の比較から考える』(青弓社、2017年6月)を刊行したことである。これは、2016年12月に開催した国際シンポジウム「高等教育とジェンダー」の成果をもとに、カナダ、フランス、中国からのゲストの協力を得てまとめたものである。このほか、『ジェンダー研究21』vol.7を刊行している。
を刊行した。
【2015年度】
1.シンポジウム
「卒業生が語る 早稲田でジェンダーを学び、いま、社会人として」
11月28日(土)14:45‐16:15、会場:8号館308教室、共催:GEC
渡邊萌香(14 年度法学部卒、副専攻「ジェンダー研究」初年度修了者、神奈川県藤沢市役所職員)
田口嵩人(11 年度教育学部卒、教育学研究科在籍、早稲田大学本庄高等学院非常勤教員)
藤田裕喜(07 年度法学部卒、NPO 法人レインボーアクション代表理事・事務局長)
2.学生参加型ワークショップ+ポスターセッション
10月30日(金)18:15‐20:30 、場所:3号館709
3.研究会
(1)7月定例研究会
7月18日(土)13:00‐16:30、会場 : 8号館 404教室
熱田敬子(文学学術院非常勤講師)「香港雨傘運動の中の性/別(ジェンダー)と国境を超える政治」
豊田真穂(文学学術院教授)「アメリカ占領下の日本における人口政策と性/生殖の管理」
(2)3月定例研究会
16年3月3日(土)13:00‐17:00、会場: 33号館第10会議室
安野直(文研修士課程2年)「リュドミラ・ウリツカヤ短編作品における同性愛表象と「ソ連国家」」
矢田陽子(招聘研究員、文学学術院非常勤講師)「スペイン映画「Volver 帰郷 (2006)のジェンダー表象分析」
4.紀要・書籍の刊行
紀要『ジェンダー研究21』vol.5刊行
小林富久子/村田晶子/弓削尚子(編)『ジェンダー研究/教育の深化に向けて―早稲田からの発信』彩流社刊行(16年3月)
5.その他
推進室主催の講演会、学生団体「ダイバーシティ早稲田」主催のトークセッションの後援。
村田 晶子[むらた あきこ](文学学術院教授)
【顧問】
小林 富久子(早稲田大学名誉教授)
【研究所員】
村田 晶子(文学部教授)
金井 景子(教育学部教授)
木村 晶子(教育学部教授)
矢口 徹也(教育学部教授)
豊田 真穂(文化構想学部教授)
松前 もゆる(文化構想学部教授)
國弘 暁子(文化構想学部准教授)
森山 至貴(文化構想学部准教授)
由尾 瞳(文化構想学部准教授)
熱田 敬子(文化構想学部講師(任期付))
高井 詩穂(文化構想学部講師(専任))
弓削 尚子(法学部教授)
ローリー ゲイ(法学部教授)
棚村 政行(法学部教授)
鈴木 理恵子(法学部准教授)
ゲイル カーティス アンダーソン(社会科学部教授)
松永 典子(教育学部准教授)
村上 公子(人間科学部教授)
矢内 義顯(商学部教授)
ロバーツ グレンダ S(大学院アジア太平洋研究科教授)
【招聘研究員】
石崎 裕子(早稲田大学非常勤講師)
伊藤 めぐみ(早稲田大学非常勤講師)
中山 信子(翻訳家、映画評論家)
望月 雅和(東京大学先端科学技術研究センター協力研究員、現代QOL研究所主席研究員/教育研究局長)
森脇 健介(東京農業大学、聖学院大学、白梅学園大学非常勤講師)
木村スティーブン 千種
高柳 聡子(早稲田大学非常勤講師)
LEVY CHRISTINE(ボルドーモンテーニュ大学教授)
HENNINGER ALINE(フランス国立東洋言語文化学院)
安部 芳絵(工学院大学准教授)
新井 浩子(早稲田大学非常勤講師)
鈴木 裕子(執筆業)
近藤 牧子(早稲田大学非常勤講師)
HANSEN Gitte Marianne(Newcastle大学准教授)
中村 采女(早稲田大学名誉教授)
齋藤 久美子(早稲田大学エジプト学研究所招聘研究員)
浅倉 むつ子(早稲田大学名誉教授)
畑 惠子(早稲田大学名誉教授)
矢内 琴江(福井大学教職大学院特命助教)
神谷 悠一(LGBT法連合会事務局長)
酒井 順子(オーラル・ヒストリー研究者)
文学学術院 村田晶子
E-mail:[email protected]