Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

スポーツ栄養研究所【第Ⅰ期】
Waseda Institute of Sports Nutrition

【終了】2013~2017年度
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研究テーマ

競技者のための最新の栄養・食事ガイドラインの策定

分野:地域社会

研究概要

競技者が良好なコンディションを維持し、パフォーマンスを向上させるためには、適切な栄養摂取が欠かせないことは周知の事実である。申請者らが中心となり、1997〜1999年には「アスリートの最新の栄養ガイドライン策定に関するプロジェクト研究」(日本体育協会スポーツ医・科学研究)を実施し、2004〜2005年には「アスリートの食事摂取基準量に関するプロジェクト研究」(国立スポーツ科学センタープロジェクト研究)により、最新のエビデンスを踏まえた食事摂取基準量の考え方を提示した。さらに2006〜2009年には「スポーツを行う小・中学生に対するスポーツ食育プログラムの開発」(日本体育協会スポーツ医・科学研究)も実施し、子どもから成人まで幅広い年齢層の競技者を対象としたスポーツ栄養の枠組みを作成してきた。
国際的には2003年に国際オリンピック委員会(IOC)により「IOC Consensus Statement on Sports Nutrition」が提示された。しかし、その基になるデータは欧米人を対象としたものであり、人種や食文化の異なる日本人にそのまま適応できるかは不明な点が多い。エネルギー及び各栄養素の必要量、目的別・競技別・年代別の栄養摂取方法、栄養・食事管理と栄養マネジメントの方法、栄養教育方法などについて、日本人競技者を対象とした更なる研究が必要であり、運動生理学、運動生化学、スポーツ医学、予防医学などの関連分野の研究者とも連携しながら、競技者のためのコンディショニングとパフォーマンス向上に寄与しうる研究成果を出すことが社会的ニーズでもある。
これまでの横断的研究により、競技者の栄養管理及び体調管理を実施する際の課題はほぼ抽出されている。そこで本研究では、競技者が増量や減量を実施した場合あるいは何らかの栄養摂取を行った場合の、身体組成やエネルギー代謝等の変化、内科的・外科的な健康リスクに及ぼす影響、栄養摂取と競技力及びコンディションとの関連について縦断的に検討し、これまでに蓄積してきた横断研究の成果と統合して競技者のための最新の栄養・食事ガイドラインの策定を目指す。また、競技者に対する栄養アセスメントと食事管理方法を確立し、それらの精度管理に役立つ知見もまとめる。
スポーツ栄養学に特化した研究所は我が国初であり、研究成果は早稲田スポーツの強化のために活かすのみでなく、子どもからエリート競技者までを対象とした栄養サポート活動を展開する際のエビデンスとなり、スポーツ栄養学の発展に資するものと考えられる。

研究報告

【2015ー2016年度】
エームサービス(株)との共同研究では、男女アスリートの栄養素等摂取量、食品群別摂取量、栄養素等摂取量に対する食品群別の寄与率について競技タイプ別に検証した。この成果は第62回日本栄養改善学会にて発表した。また、食品摂取頻度についても現在検討中であり、アスリートの食事管理と栄養摂取量評価の方法について研究を進めている。
(株)トップビジネスシステム及び国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究では、高校生~大学生アスリートを対象に食事・食習慣についての調査を実施し、アスリートの栄養評価を従来の方法よりも簡便に評価できる方法について検討を重ねている。  
味の素(株)との共同研究では、女性アスリートの月経状態の違いによるEnergy availability及び血中の各種生化学指標の影響について検討した。データの一部を第4回日本スポーツ栄養学会等にて発表する予定である。別途スポーツ庁より受託している女性アスリート育成・支援事業とも連携し、女性アスリートシンポジウムを2016年12月に共催した。日本人女性アスリートに対するコンディション管理のための科学的根拠が提供できるよう、データ整理中である。
また、アスリートのサポートにおいて栄養アセスメントは重要である。そこで、所員及び招聘研究員全員が著者となり、栄養アセスメントに関する書籍を編集中である(2017年度秋頃出版予定)。2013年度に実施したアサヒ飲料(株)との共同研究の成果は以下の通り掲載された。
長坂聡子、橋本秀紀、坂本静男、田口素子. アスリートの短時間リカバーにおける高濃度糖質炭酸飲料の有用性. Sports Science in Elite Athlete Support 1 (2016) 45-53.
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、本研究所の知見をスポーツ現場に還元し、アスリートの健康管理と競技力向上に生かしていただけるよう、取り組んでいる。

【2014年度】
2014年度は次の4つの研究を中心に実施した。
エームサービス(株)との共同研究では、アスリート及び一般男子学生を対象とした食事内容を複数の管理栄養士が栄養分析を行い、分析バイアスについて検討した。成果は第62回日本栄養改善学会にて発表予定である。また、競技特性やニーズの異なるアスリートの食事管理と栄養サポートについても検討中である。
味の素(株)との共同研究「高強度持久性トレーニングが競技者の食欲及び味覚に及ぼす影響」では、運動量が増加するスポーツ選手の夏季合宿宿舎において、味覚と食欲がどのように変化するかについて調査・測定を実施した。第62回アメリカスポーツ医学会等にて発表する予定である。
アスリートのからだづくり(増量)に関する研究では、食事介入により体重及び除脂肪量を増加させ、健康リスクは回避できるプログラムの作成を目指して検討中である。
また、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「次世代農林水産業創造技術」に参画し、シダックス(株)と連携して「高齢者に配慮した時間栄養・運動に基づく次世代型食・運動レシピの開発」においてメニューレシピの設計とマーケティング調査を分担し、食と生活の実態調査を実施中である。

【2013年度】
本研究所は、競技者のための最新の栄養・食事ガイドラインを策定し、現場応用を目指している。設立1年目としてまず、スポーツ栄養関連の論文・参考文献の収集を開始した。本年度前半はエームサービス(株)及びアサヒ飲料(株)と共同研究契約を締結した。エームサービス(株)とは、スポーツ栄養マネジメントの入り口となる栄養アセスメントについて、現状と問題点を抽出し、現場応用を行うための実践研究を開始した。スポーツ栄養に携わる管理栄養士を対象として食事調査の分析値を評価する研究を行った。アサヒ飲料(株)とは、運動後のリカバリーに及ぼす炭酸飲料の効果に着目して共同研究を開始した。大学生競技者を対象として疲労困憊まで運動負荷を行ったのち、1g/kg体重/時間以上の糖質が摂取できる炭酸糖質飲料と無炭酸糖質飲料の飲みやすさについて比較検討した。後半は味の素(株)とも共同研究契約を締結した。日常的なトレーニングが味覚と食欲に及ぼす影響に着目し、先行研究を参考としながら、競技現場で実施可能な官能試験方法と測定項目について議論した。次年度に測定を実施するための準備を進めている。いずれも、研究成果は2014年度の学会で発表予定である。

所長

田口 素子[たぐち もとこ](スポーツ科学学術院教授)

メンバー

【研究所員】
田口 素子(スポーツ科学学術院教授)
赤間 高雄(スポーツ科学学術院教授)
坂本 静男(スポーツ科学学術院教授)
鈴木 克彦(スポーツ科学学術院教授)
樋口 満(スポーツ科学学術院教授)
平田 竹男(スポーツ科学学術院教授)
村岡 功(スポーツ科学学術院教授)
鳥居 俊(スポーツ科学学術院准教授)
宮下 政司(スポーツ科学学術院准教授)
高井 恵理(スポーツ科学学術院助手)

【研究員】
石澤 里枝(研究助手)

【招聘研究員】
髙田 和子(国立健康・栄養研究所栄養教育研究部栄養ケア・マネジメント研究室室長)
髙橋 英幸(国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部副主任研究員)
福 典之(順天堂大学スポーツ健康科学部准教授)
降籏 泰史(味の素株式会社食品研究所専任課長)
大嶋 里美(日本大学「健康科学論」非常勤講師)
佐古 隆之(日本女子大学家政学部食物学科専任講師)
岡本 香(エームサービス株式会社品質管理本部IDSセンター運営企画室)
東田 一彦(滋賀県立大学人間文化部生活栄養学科准教授)
元永 恵子(国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部 契約研究員)
田中 智美

連絡先

スポーツ科学学術院 田口素子研究室
[email protected]

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