Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

ヒューマノイド研究所【第Ⅳ期】
Humanoid Robotics Institute, Waseda University

研究テーマ

人間と共創するロボット技術

分野:科学

研究概要

政府が次世代ロボットの開発や普及促進に向けて「ロボット革命実現会議」を設立し、ソフトバンク社が大量性差型ヒューマノイドPepperを発表するなど、ロボット業界では、2014年に入ってから官民ともに活発な動きがみられる、本プロジェクト研究所も、3期目には、超小型慣性計測装置を販売する株式会社L.P-Researchを起業し、株式会社京都科学と共同開発した患者シミュレーションヒューマノイドの販売を開始するなど、確実に実績を積んできている。そこで、これまでの3期にわたる成果の上に、家庭、医療、災害などのサービス系ロボットのビジネス勃興を支え、世界のロボット産業を研究所人する研究組織として、ヒューマノイド研究所は新たに生まれ変わる。

具体的には、超高齢社会や東日本大震災などの課題先進国における重要課題を対象とし、「(1)人間共存、(2)医療福祉、(3)災害対応」をテーマ対象としえ研究チームを構成し、研究開発を推進する。

(1)人間共存では、本プロジェクト研究所が長年取り組んできている「人間とロボットが共存するための技術」を引き続き開発する。米国では軍事目的のロボット開発に多額の研究資金を投じているが、そのようなロボットでは自動化・無人化が技術の焦点となる。しかし、超高齢化社会においては、高齢者をサポートするロボット技術が必要不可欠であり、人間とロボットの物理的インタラクションを含む人間協調技術を開発することは重要課題である。

(2)医療福祉では、本学が得意とする生体モデリング技術を活用し、医師の手技の巧緻性を評価可能な患者ロボットを開発する。また、高齢者の自立した生活を支援する福祉ロボットを開発する。

(3)災害対応では、原発などの人間が立ち入ることが難しい現場において、既存のインフラや自然を壊すことなく、人間の代替として作業できるロボットを開発する。東日本大震災以後、多くの国家プロジェクトが立ち上がっているが、すでに内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)や戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、福島県の災害対応ロボット産業集積支援事業への採択が決まっている。本プロジェクト研究所が有するハードウェア開発のノウハウや知能化技術などを用いることで、状況が刻一刻と変化する極限災害環境であっても、タフに仕事ができ、我が国や世界の安全安心に貢献できる災害対応ロボットを開発する。

研究報告

【2018年度】
ヒューマノイド研究所は「(1)人間共存(2)医療福祉(3)災害対応」をテーマ対象とし、研究開発を推進している。それぞれのテーマに関して,2018年度は以下のような活動を行った。
(1)幼児・児童とのインタラクションに向けて、注意を引き寄せプレイセラピーにおいて幼児・児童の自己表現を促進することを目的とする球体ロボットを設計・製作した。モータと内部機構でロボット内のばねの圧縮と解放を行い、ロボットを跳躍させる。製作した球型ロボットは無線通信での制御が可能で高さ300㎜、水平距離250㎜の斜め跳躍を実現した。
(2)触診訓練システムの実現に向けて、MR流体を用いた弾性可変機構を有する触診シミュレータを開発した。無水ジェルとセプトンの2種類の溶媒でそれぞれ鉄粉と混合したMR流体を用いて乳房の腫瘤を模擬し、臨床医には「臓器モデルの柔らかさ」、「模擬腫瘍の硬さ」と「腫瘍の弾性可変」の3点で評価された。
(3)内閣府主催プロジェクト「ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジ」の脚型ロボットプラットフォーム「WAREC-1」の更なる改良を行い、遠隔操作と環境認識を用いて(i)平地での車輪駆動による高速移動;(ii)腹ばいによる瓦礫上移動;(iii)ドアの前の障害物(重量40㎏)除去;(iv)ドアの通過;(v)異音検知と(vi)バルブ開閉の一連動作を2018年11月の「ImPACT-TRC第7回フィールド評価会」で実現し、Youtubeで公開された。

【2017年度】
ヒューマノイド研究所は「(1)人間共存、(2)医療福祉、(3)災害対応」をテーマ対象とし、研究開発を推進している。それぞれのテーマに関して、017年度は以下のような活動を行った。
(1)笑いを通じた人間とロボットのインタラクションの実現に向け、ロボットの表情と胸部ディスプレイの表現の矛盾による人間の笑い誘発に取り組んだ。ロボットの胸部に取り付けられたディスプレイで感情を映像で抽象化し表示させ、ボットの顔の表情との矛盾で人間の予想を裏切る「表情と異なる本心」の表現を提案した。評価実験により実験参加者に有意に新鮮な印象を与えることが確認された。
(2)新生児蘇生法のトレーニングシステムの実現に向け、新生児に近い外見を有する気道管理シミュレータを開発した。シミュレータ頭部・胴部の姿勢センサ、口腔のカメラ、喉頭と上顎の圧力センサや肺と胃に装着された換気圧センサなど各種センサを用いて訓練者の気管挿管手技の正誤を判定可能とした。
(3)内閣府主催プロジェクト「ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジ」の脚型ロボットのプラットフォームとなる4肢ロボットWAREC-1を開発・改良し、2足立ち、4足立ちと腹ばいの姿勢遷移及び3肢腹ばいでの移動と残りの1肢に装着されたロボットハンドで工具を用いて重作業(開口トルク90N·mのバルブ開閉)を実現した。

【2016年度】
ヒューマノイド研究所は「(1)人間共存、(2)医療福祉、(3)災害対応」をテーマ対象とし、研究開発を推進している。それぞれのテーマに関して、2016年度は以下のような活動を行った。
(1)笑いを通じた人間とロボットのインタラクションの実現に向け、人間からの刺激の入力に対する面白いリアクションによる人間の笑い誘発に取り組んだ。ロボットのエンドエフェクタの軌跡に一度始点から終点と逆方向に戻る「予備動作」および終点を通り過ぎて戻る「行き過ぎ」を加えることで、エンドエフェクタの軌跡を延長して誇張するアルゴリズムを構築した。評価実験を通じ、実験参加者に有意に面白い印象を与えることが確認された。
(2)静脈注射手技の指導と評価が可能な訓練システムの実現に向け、医師の注射手技状態を認識するシステムを開発した。採血手技を構成する各要素動作を状態とする有限オートマトンによって手技の流れをモデル化、訓練者の手技に対し、画像処理にもとづいた状態遷移を実行することで、注射手技の正誤を判定可能とした。
(3)ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジの脚型ロボットのプラットフォームとなる4肢ロボットWAREC-1を開発し、2点支持でのはしご昇降やがれき路面での腹ばい移動を実現した。これらの研究成果に対して、2016年4月と11月にプレスリリースを実施した。

所長

高西 淳夫[たかにし あつお]( 理工学術院教授)

メンバー

【研究所員】
高西 淳夫(創造理工学部教授)
岩田 浩康(創造理工学部教授)
上杉 繁(創造理工学部教授)
大谷 淳(創造理工学部教授)
菅野 重樹(創造理工学部教授)
石井 裕之(創造理工学部准教授)
大谷 拓也(理工学術院総合研究所次席研究員(研究院講師))
藤本 浩志(人間科学部教授)

【招聘研究員】
西川 員史(パナソニック株式会社)
三輪 洋靖(国立研究開発法人 産業技術総合研究所主任研究員)
DESTEPHE Matthieu(ソフトバンクロボティクス株式会社)
橋本 健二(明治大学機械情報工学科准教授)

連絡先

[email protected]

WEBサイト

http://www.humanoid.waseda.ac.jp/index-j.html

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