Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

オーストラリア研究所【第III期】
Institute of Australian Studies

【終了】2012.10-2017.9

研究テーマ

オーストラリアおよびその近隣領域における、多文化主義、ローカリズム、先住民に関する、社会学的、文化史的、芸術的視点からの総合研究と、「オーストラリア学」教育のためのコンテンツ・教材開発

研究概要

本研究所では、社会学、言語、文化芸術、教育、アボリジナルスタディーズ等の学際的なアプローチにより、APECの同盟国として、近年わが国とのパートナーシップを深めるオーストラリアを浮かび上がらせる。これは、わが国におけるオーストラリア研究が政治・経済の分野からのアプローチのみに偏っていることへの反省、また、早稲田大学が擁するオーストラリア研究者が上記の分野で日本におけるリーダーシップを担っているという得難い特色を有するためである。オーストラリア研究は当然近隣諸地域との関連抜きでは成り立たないのは自明である。本研究所では、ひとつの英国植民地から分離したニュージーランドの歴史・文化に関しても、研究の視野におさめる(オーストラリア・ニュージーランド歴史研究プロジェクト)。加えて、先住民研究は、先住民に対する教育政策、先住民の芸術による自己表象、先住民と日本人とのインターカルチュラル・プロジェクトなどに関する研究を行うため、シンポジウム、ワークショップなどを開催する。

四半世紀の伝統を誇る「日豪合同セミナー」(主催:日豪合同セミナー実行委員会、後援:オーストラリア大使館)を、オーストラリア研究テーマカレッジ、全学共通副専攻のための主要な課外教育プログラムと位置づけ、分科会講師の派遣や運営作業の分担など、研究所として積極的に参画する。テーマカレッジの実績のもとに開始されたオーストラリア研究全学共通副専攻は、日本の大学教育において初めて、オーストラリア研究が「副専攻」に認定された画期的なものであり、実際、副専攻修了要件を満たした学生が卒業している。
上記と関連し、現在独自のカリキュラムとして学生に周知しているわけではないが、国際教養学部(SILS)で行っている、1年間交換プログラムで、オーストラリアの大学に留学する学部生の多くが、テーマカレッジ・テーマスタディの「オーストラリア研究」を受講していることを強調したい。今後は、こうした情報をSILSだけではなく、全学的にも広報し、留学準備講座として位置づけられるように、カリキュラムの改編に着手していきたい。

今後は、オーストラリア研究所研究員全員が、最新の研究成果をもとに授業を展開しているが、さらなる充実をめざし、大学レベルでの教育メソッド、教材の開発研究を行うとともに、在日オーストラリア大使館、豪日交流基金と連携をはかり、教育研究プログラムを充実させる。また、早稲田大学のオセアニア地域における協定大学との、研究者間交流を進める。

大学におけるオーストラリア研究についての教育プログラムの開発・実施のための研究を行う。具体的には、?2013年に設置予定の国際コミュニケーション研究科において、国際学術院所属の研究員を中心に、オーストラリア研究のプログラムを展開するが、その教材や教育方法を開発する。「オーストラリア研究」副専攻およびテーマカレッジについて、教材や教育方法を開発する。高校生向けのオーストラリア学入門書(環境・言語文化・先住民・芸術などのテーマで)の編纂・出版を行う。

2016年の日豪友好条約締結40周年記念「日豪交流年」で、国際研究集会を開催し、研究員、招聘研究員、大学院生を中心にシンポジウム、ワークショップその他を開催する。

「日豪合同セミナー」の運営に参画し、分科会の開催を行い、研究成果を社会還元する。オーストラリア研究所編の研究書シリーズの続巻、映画についての入門書について刊行。

東京芸術劇場『ミス・タナカ』公演、越後妻有のオーストラリア・ハウスでのワークショップ、シンポジウムへ参画し、オーストラリア芸術の受容に関しての研究を進める。

研究報告

【2014年度】
1、研究員を主体に、若手研究者を多く執筆者に迎えた『映画で知るオーストラリア』を刊行した。本書は代表的映画作品10編について分かりやすい解説をしたもので、オーストラリア研究入門、オーストラリア映画案内の二つを兼ね備え、大学の教科書や中高生の豪州研修旅行の準備学習などで今後活用されることを目的としている。
2、日本人捕虜集団脱走事件(カウラ事件)70周年を記念して、カウラ事件についての著作のあるジャーナリストの土屋康夫氏を迎え、カウラでの日豪交流行事と、カウラ事件だけではなく旧日本軍によるシドニー湾攻撃に関わる日豪間の和解といった歴史的背景についての講演会を主催した。
3、日豪合同セミナーに研究員を派遣し、「舞台から考える日豪の戦争〜『フローティング・ワールド』再考」分科会を行った。
4、澤田敬司研究員が、共著により『オーストラリア先住民と日本:先住民学・文化・表象』(山内由理子編、御茶の水書房)を出版した。
5、研究員・招聘研究員が共同で、15年度にオーストラリア学会と共同で、早稲田大学で開催予定のリーディング+シンポジウム「演劇からみるアンザック神話〜The One Day of the Year」のための研究を行った。
6、プロジェクト研究所である、ニュージーランド研究所と、15年度共同開催予定の、「大震災後の日本とニュージーランド(復興過程の現状と今後の展望)」
(総合研究機構による助成金採択)の準備検討会議を開催した。

【2013年度】
1、オーストラリア学会との共催による、同学会「関東例会」として、2014 年1 月25 日に本学で研究会を開催した。発表は、秋元大輔氏『人間の安全保障アジェンダ:オーストラリアと日本』、塩原良和氏『自由と放置のはざまで:オーストラリアの庇護申請者政策における「コミュニティ・ベース」アプローチと新自由主義』、コメンテーターを井上浩子氏がつとめた。参加者十余名のあいだで活発な議論が行われた。
2、本研究所員を中心とした執筆陣による単行本、『映画で知るオーストラリア』の執筆・編集作業を行った。本書は、2014年9月に刊行されることになっている。
3、澤田敬司研究員が、第34回日豪合同セミナーの講師として、「オーストラリアのミュージカルへの招待」の講演を行った。
4、2013年12月、オープン教育センターとの共催で、大隈講堂小講堂において、オーストラリア先住民ミュージカル『ザ・サファイアーズ』の上演(日本初演)と、講演会「歌うこと、踊ることの意義:『ザ・サファイアーズ』のバックグラウンド」、学生・一般参加者を交えてのディスカッションを行った。企画全体のクオリティに、各方面から高い評価を得た。

所長

宮崎 里司[みやざき さとし](国際学術院教授)

メンバー

【研究所員】
宮崎 里司(国際学術院教授)
澤田 敬司(法学学術院教授)
ストックウェル グレン(法学学術院教授)
川上 郁雄(国際学術院教授)

【招聘研究員】
樋口 くみ子(東洋大学非常勤講師)
嶋津 拓(大東文化大学国際交流センター特任教授)

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