先史考古学研究所【第Ⅲ期】
Institute of Prehistoric Archaeology
【終了】2011~2016年度
研究テーマ
世界的な視野から考察する日本先史社会の研究
分野:文化
研究概要
今までの研究成果を通じて、代表者が推進してきた「民族考古学」的方法が縄文社会研究の正当な方法論として一般に周知されてきた。2015年までの研究では、「縄文土器型式」が成立する社会的背景や製作者の行動的側面の研究を進展させてきた。その最後の課題として、土器の「型式変化」の課題が残されている。それについては従来の学説を覆す民族誌の事実を多数発見しており、今後は5年間をかけてパプアニューギニアの現地調査を継続し、その証明に当たる予定である。
縄文土器型式は、一定の地理的範囲に居住する多くの土器製作者すべてによって改変されると信じられてきたが、民族誌調査では、土器型式の変化を主導する一人の製作者がおり、その人物が型式変化において重要な役割を演じていることが判明した。しかも、単に制作技術が断然優れているという技術的要因もさることながら、その人物が持つ地域社会のリーダーとしての宗教儀礼観や世界観が土器型式の改変に当たって重要な意味を持っていることが解っている。縄文土器の型式変化を考える上で、この民族誌的事実は重要な意味を持っているので、亀ヶ岡式土器の型式変遷の実相と照合しながら、縄文式土器の型式変化について考えていく。また親族組織の変化や出自体系の変化が土器型式の変化とどのように関連するのかについて、縄文中期の加曾利E式土器、環状集落との関係を明らかにする計画である。
所長
高橋 龍三郎[たかはし りゅうざぶろう](文学学術院教授)
メンバー
【研究所員】
高橋 龍三郎(文学学術院教授)
近藤 二郎(文学学術院教授)
寺崎 秀一郎(文学学術院教授)
工藤 元男(文学学術院教授)
田畑 幸嗣(文学学術院准教授)
城倉 正祥(文学学術院准教授)
【招聘研究員】
坂口 隆(北海道大学埋蔵文化財調査センター特定専門職員)
柳澤 清一(千葉大学文学部史学科教授)