Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

早稲田環境学研究所【第Ⅰ期】【活動終了】
Institute for Waseda Environmental Science

【終了】2008~2013年度
過去の研究所活動はこちら

研究テーマ

環境政策の意思決定要因分析に基づく高等環境教育プログラムの予備的研究

研究概要

今日、温暖化を始めとする地球環境問題に関心が集まっているが、その解決は詰まるところ持続可能な発展の確保にある。1992年の地球サミットにおいて持続可能な発展は世界の共通理念となったものの、人類社会が益々持続可能性から遠ざかっていることが指摘され、現行の社会経済システムの変革と環境教育の充実は一層重要で切実な課題となっている。
 わが国の大学における環境教育と環境研究の究極目標は、“日本と世界の持続可能な発展の実現”にあり、持続可能社会を実現するリーダーを育成する高等環境教育の充実と、社会経済システム変革への貢献の強化が求められている。しかし、水俣病の公式発見以来半世紀を経ても、環境問題は単なる個別事案のエピソードとしてのみ語られ、歴史的・統一的な視点での評価付けがなされていない。
 本研究所は、政治―行政―企業―市民・NGO/NPO―マスコミ等の様々なセクターの相互作用(環境レジーム)に着目しつつ、環境問題の発生から解決に至るまでを系統的に整理し、新たな環境学の樹立に向けた高等教育プログラム等の予備的な研究を進めるとともに、政治とジャーナリズムの視点に立った、社会経済変革のための環境オピニオンの発信のあり方を研究することを目的とする。

研究報告

※早稲田環境学研究所
2013年10月01日〜2018年09月30日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=7Y&kbn=0&KikoId=01

2011年度
研究報告研究テーマ:環境政策の意思決定要因分析に基づく高等環境教育プログラムの予備的研究
活動報告(2011年4月1日〜2012年3月31日までの期間分)

2011年度においては大学・大学院における高等教育だけでなく、職域教育及び社会人に対する教育の実践的な展開を行った。東京都23特別区の環境部門の職員を対象とした環境レジーム論に関する講演(吉田、友成)、社会人を対象とした温暖化対策レジームに関する講演(吉田)などである。また、これらの講演の機会を捉えて、受講者の環境問題に関する知識や考え方を問うアンケートを実施しており、早稲田生を対象に実施した調査結果と比較して分析を試みた。また成果物としては環境レジーム論を専門とする太田が毎年参加してきた気候変動枠組条約締約国会議(COP)の情報を拠り所にしており、また、温暖化問題を巡る国内世論に及ぼすジャーナリズムの影響に関してはジャーナリズムの専門家である瀬川の知見が強い拠り所となっている。先の東日本大震災によって温暖化対策シナリオが実質的に崩壊したことから、今後の新たな温暖化政策の在り方が大きな議論になっている一方で、国際的にはCOP17を目前に控えて、日本の外交交渉は難しい選択を迫られていると考えられる。このため、引き続き温暖化対策のレジームの変化に注目して研究を進め、中台の取組みを参考にしながら、高等環境教育プログラムの在り方についての検討を深めることとしている。なお、本プロジェクトメンバーが中心となって2008年度から実施してきた全学共通副専攻(旧テーマスタディ)『戦略的環境研究』の履修者も順調に伸びて20名ほどに達している。この体系的環境教育の場を通じて学生の環境意識や環境理解に関する情報を把握分析し、本研究所の活動目標に的確に反映させるべく努力を重ねている。
2010年度
研究報告研究テーマ:環境政策の意思決定要因分析に基づく高等環境教育プログラムの予備的研究
活動報告(2010年4月1日〜2011年3月31日までの期間分)

2010年度も2009年度に引き続き、北京大学?境科学与工程学院の叶、梅、王教授との情報交換を行い、中国政府の温暖化対策の戦略と、大学院生に対する温暖化政策に関する教育について相互の理解を深めることができた。北京大学?境科学与工程学院では文理融合を目指した大学院であるが、文理の勢力(人数的バランス)が拮抗しており、また、理系では公害対策や環境観測に重点が置かれて、文系では政策・行政・経済・環境管理といった近接する領域の教員が厚い層をなしているために、理系と文系の学生がそれぞれのアイデンティティをもちうることを知らされた。2010年度には、これまでの研究員の知見の蓄積を踏まえて、松岡と吉田が執筆した日本の温暖化対策と国際協力に関する二本の論文が、国連大学出版から刊行されたClimate Change and Global Sustainability: A Holistic Approachに掲載されている。さらに、2010年度からは、大学・大学院における高等教育だけでなく、職域教育及び社会人に対する教育実践の機会を得ることができた。すなわち企業人が多く参加する工学系学会会員を対象とした現代環境論の態様に関する講演を行い、関係者との討論に臨んだ。その他、前年度までに引き続き、テーマスタディ「戦略的環境研究」の実施を通じて全学学生の環境・サステイナビリティ学へのアクセスを支援した。
2009年度
研究報告研究テーマ:環境政策の意思決定要因分析に基づく高等環境教育プログラムの予備的研究
活動報告(2009年4月1日〜2010年3月31日までの期間分)

 2009年度には、前年度に引き続き地球温暖化政策の国際動向を、COP15での交渉を中心にフォローするとともに、京都議定書採択以降にわが国が進めてきた温室効果ガス削減に係る各種施策の分野別、手法別の効果を評価した。また、特に中国に関してはエネルギー効率の大幅向上を標榜する温暖化政策について中国科学アカデミーとの意見交換を行う機会を3回得た。さらに、8月に早稲田大学学生と北京大学学生が交流しつつ、北京―東京を2週間にわたって視察し、両国の環境政策と環境事情を学ぶ授業に同行する機会を得たので、これを活用して、日中の効率的なエネルギー利用、環境上健全な廃棄物処理の実態、環境NPOの活動の格差が学生に与えた環境認識の変化について考察した。
一方、2009年下半期には、中国北京大学?境科学与工程学院、台北市立教育大学環境教育與資源研究所及び国立台北科技大学環境工程與管理研究所の3大学の環境系大学院における、教育プログラムとカリキュラムを調査し、総合大学(北京)と単科大学(台湾2大学)における環境教育の特徴を比較する作業を行った。
以上の活動を通じて得られた情報に基づき、持続可能な開発のための高等教育プログラムのあり方を検討することとしている。
2008年度
研究報告 2008年度下半期は、国(文部科学省、環境省)の国際環境リーダー育成プログラム構想を踏まえて、アジア諸国の持続可能な社会形成に向けた高等環境教育のコンテンツの収集に着手した。特に、いま大きな曲がり角に差し掛かっている地球温暖化政策を題材としてとりあげ、洞爺湖サミット後の中期目標の設定に向けた国際政治の流れや、オバマ政権誕生がもたらす影響、また、それに呼応した国内の行政過程の詳細な追跡を開始した。
 わが国のマスコミの温暖化報道は、IPCCの一連の第4次報告書が2007年2月から11月にかけて発表された、洞爺湖サミットで環境が重要なテーマになると見込まれたことから、同サミット終了までの1年半にわたり、かつてないほどに熱を帯びた。しかし、政府が提唱する環境と経済は両立するとするキャンペーンと相俟って、市民の温暖化に対する意識は、問題の深刻さを素通りしてエコブームに流れ、企業による環境ビジネスの喧伝が目立つ結果となった。一方、温暖化への適応(adaptation)研究が注目され始めた。今後の高等環境教育を充実させるためには、温暖化政策と市民意識との相互作用の歪みやゆらぎを是正し、温暖化政治の本質を見抜く教育プログラムの構築が求められている。

所長

吉田 徳久[よしだ とくひさ](理工学術院教授)

メンバー

顧問
原 剛(毎日新聞社客員編集員、元早稲田大学アジア太平洋研究科教授)

研究所員
吉田 徳久(理工学術院教授)
友成 真一(理工学術院教授)
太田 宏(国際学術院教授)
瀬川 至朗(政治経済学術院教授)

連絡先

大学院環境・エネルギー研究科
吉田 徳久

(本庄キャンパス)
〒367-0035 
埼玉県本庄市西冨田1011
IOC本庄早稲田 94号館 B205
Tel/Fax: 0495-24-6049

(東京連絡所)
〒169-0051 
東京都新宿区西早稲田1-1-7 
早稲田大学28号館 402号室 
Tel/Fax: 03-5935-6683

E-mail : [email protected]

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