移民・エスニック文化研究所【第Ⅰ期】
Institute for Migration and Ethnic Culture Studies
【終了】2008~2013年度
研究テーマ
北南米、ハワイ、日本における移民調査及び移民資料の収集・整理・保存と分析。
研究概要
北南米、ハワイ、日本において、ますます存在感を高めている移民および移民の文化を調査研究する。研究対象は、日系を中心としたアジア系移民に焦点を定め、文献調査とフィールドワークを通した広範な研究を継続的に実施することによって、移民研究を洗練、深化させることを目標とする。 当座の具体的な研究対象は、サンパウロとハワイ島ヒロの日系を中心としたアジア系移民に絞り、「ブラジル日本移民史料館」および「布哇日系人会館」との連携の下に調査研究を進める。並行して、現地で不十分な状況で保管されている移民資料の保存・整理・公開に協力する。研究の端緒として、ブラジル・サンパウロのアジア系移民、とくに日本移民の移民史、文化状況の調査・研究に取り組む。 本年、2008年に100周年を迎えたブラジル日系社会において、9万点以上の移民資料を確実に後世に継承する目的で「ブラジル日本移民史料整理・保存・公開プロジェクト」が4月に始動した。本研究所は、発足し次第、他機関との協力も視野にいれながら、同プロジェクトの日本におけるカウンターパートとして活動を開始することになる。
研究報告
※移民・エスニック文化研究所
2013年10月01日〜2017年09月30日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=7L&kbn=0&KikoId=01
2012年度
2012年度は下記の活動を行った。
■研究会・講演会
・12月10日:中谷智樹氏(和歌山県中南米交流協会理事)講演「ヘンリー杉本と北米日本人移民の強制収容所体験」
■調査・研究
・4月29日〜5月5日:UCLA Research Library and Asian American Studies Center. JARP Collectionオーラルヒストリー・データの修復・整理に関する調査及び打合せ。
・8月25日〜9月4日:ブラジル日本移民史料館、サンパウロ人文科学研究資料保存打合せ、パラナ連邦大学学会発表(朝日、小嶋、森本)。
・10月24日〜10月29日:UCLA Research Library および Asian American Studies Centerで JARP Collectionオーラルヒストリー・データの修復・整理に関する調査及び打合せ。
・11月17日〜18日:American Anthropological Association(サンフランシスコ)学会発表(森本、朝日)
・2013年3月3日〜8日:UCLA Research Library and Asian American Studies Center. JARP Collectionオーラルヒストリー・データの修復・整理に関する調査(山崎、八十島、朝日、森本)(29本のオーラルヒストリー・データのデジタル化および高速ダビング、助成金UCLA AASC Geroge and Sakaye Aratani CARE申請、採択される)。
■主な出版物
・鳥越皓之(2012)『水と日本人』岩波書店。
・森本豊富・根川幸男 編(2012)(編著)『トランスナショナルな「日系人」の教育・言語・文化―過去から未来に向って―』明石書店。
・森本豊富(2013)「移民研究の連携―資料収集から活用まで」我部政明・石原昌英・山里勝己編著『人の移動、拡散、融合の人類史−沖縄の経験と二一世紀への提言』彩流社、289 -298頁。
・朝日祥之(2012) 『海外の日本語シリーズ3 サハリンに残された日本語樺太方言』明治書院。
2011年度
2011年度は下記の活動を行った。
■研究会・講演会
12月27日:朝日祥之氏(国立国語研究所)講演「ハワイと北米へ渡った日系移民の音声資料を用いた社会言語学的研究」
■調査・研究
・8月25日〜9月1日:ハワイ島における福岡県人会調査、オアフ島における国際シンポジウムInternational Symposium: Interdisciplinary Approaches to Oral History Data(国立国語研究所主催、ハワイ大学共催)で朝日、森本(コメンテーター)が発表。ハワイオキナワセンターにおいて文献資料整理、書誌情報入力。
・10月12日〜17日:第5回世界のウチナーンチュ大会に参加。ボランティア活動を行う。
・10月28日〜30日:浜松の日系ブラジル人コミュニティ調査(小嶋、森本)。
■主な出版物
・森本豊富(2011) (分担執筆第4部第1章)「移民を研究する−移民調査研究の今とこれから」日本移民学会編『移民研究と多文化共生』御茶の水書房。
・朝日祥之(2011)(論文)「ハワイのプランテーションで作られた接触方言−オーラルヒストリー資料に見られるコイネ−日本語」『日本語研究』。
・朝日祥之(2011)(分担執筆)「北の外地」言語景観の対照(内山純蔵監修,中井精一・ダニエル=ロング編『世界の言語景観・日本の言語景観』)桂書房96-109.
2010年度
国際会議「トランスナショナルな「日系人」の教育・言語・文化−過去から未来に向って−」及び会議開催に向けた調査研究を下記の内容で実施した。
・事業実施期間:調査プロジェクト:2010年4月1日〜2011年3月
・調査地域:日本国内、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、カナダ、ハワイ、米本土など
・国際会議開催:2011年3月5日〜6日(早稲田大学小野梓記念講堂)
会議では、基調講演者としてドン・トシアキ・ナカニシ(UCLA)を招き“Transnational Nikkei: Exodus, Return and Realignments”という演題で講演いただいた。また、パネル・ディスカッション:「北南米・ハワイにおける日本語・日系人教育の現状と課題」では、海外から日本語・日系人教育に関わりの深い研究者3名を招聘した。その他、部会?「日系人」の絆と教育―ブラジルの事例から部会、? 南米「日系人」の教育・文化の今とこれから部会、? 移民資料のアーカイブ化と発展的利用に分かれて発表した。総括討議では今後の課題についても議論した。さらに、根川氏・渡辺氏の戦前・戦中期ブラジルにおける「日系」移民子弟教育関係の写真展示とともに、日系ブラジル人カメラマンのヒカルド・ヤマモトの「移動の中の子どもたち」をワセダ・ギャラリーで同時開催した。国際会議開催に際しては、日本移民学会の共催、国際交流基金、放送文化基金、早稲田大からの助成、駐日ブラジル大使館、早稲田大学人間総合研究センターの協力を得た。
2009年度
2009年度は、研究所として下記2件の外部資金に採択され活動を開始した。これらの活動をもとに、 2010年度も継続して調査研究を行う予定である。
1.国際交流基金知的交流会議助成プログラム「子どもの移動と教育―戦前・戦中期ブラジル日系移民子弟教育と在日ブラジル人児童・生徒の教育の状況比較研究」
本研究所の研究員と外部の研究者を含めた共同研究として、日本国内、ブラジルにおける調査、中間報告会を実施した。2011年3月5日〜6日に、海外から講演者を招待して国際会議(早稲田大学小野記念講堂)を実施するとともに、ワセダ・ギャラリーにおいてブラジル日系人関連の写真展を開催する予定である。
2.放送文化基金21年度助成・援助「ブラジル移民史料館所蔵レコード・フィルムの修復、保存と内容分析に関する研究」
本研究は、ブラジル日本移民史料館所蔵史料のレコードとフィルムの中から史料的価値の高いものを、前者については本研究所員3名の非接触技術による修復とデジタル保存を、後者についてはNHKアーカイブスセンターの協力による修復とハイビジョン保存を目的に予備調査を実施した。2010年度に本格的に作業に取りくむ予定である。
また、2010年3月7日に研究会を開催し、上記2件の基金に関する報告と、下記の3件の発表を行った。
発表(1)根川幸男(ブラジリア大学)「国際交流基金知的助成プログラム研究プロジェクト「子どもの移動と教育」とブラジル日系教育に関する現地調査の成果」
発表(2)中谷智樹(和歌山市民図書館)「移民資料収集の現状と今後」
発表(3)霜山文雄(NHK ライツ・アーカイブセンター)「NHKアーカイブセンターにおけるデジタル映像処理と放送文化基金プロジェクト」
2008年度
2008年10月に本研究所が発足して以来、2009年3月までに次のような活動を行った。
1.会合・研究会の開催(3回)
○第1回研究会
日時:2008年10月29日(水)午後6時〜8時
場所:所沢総合事務センター分室(高田牧舎ビル3階)
報告事項
・申請から発足に至るまでの経緯説明(中村茂生)
・ブラジル日本移民史料館プロジェクト(北岡タマ子)
・立教大学ラテンアメリカ研究所プロジェクト(資料:「ブラジル日本
人移民100年の軌跡」
協議事項
・幹事、運営委員の選出
○第2回研究会
日時:2008年12月20日(土)午前10時〜午後12時30分
場所:所沢総合事務センター分室(高田牧舎ビル3階)
内容:遠山緑生(嘉悦大学講師・情報メディアセンター長)講演
「移民『写真』資料のデジタルアーカイブ構築とその研究・教
育利用の可能性」
○第3回研究会
日時:2009年2月14日(土)午前10時〜午後12時
場所:所沢総合事務センター分室(高田牧舎ビル3階)
内容:根川幸男 客員研究員(ブラジリア連邦大学准教授)報告
「戦前・戦中期ブラジル日系移民教育史関係資料をめぐる研
究の可能性」
2.史料館所蔵資料(レコード等音声資料)
山崎、及川、武岡研究員によって史料館所蔵レコード数点の非接触デジタル化が試みられ、読み出しに成功した。その成果は、修復された音声記録の再生も含めて第2回研究会において発表された。
所長
森本 豊富[もりもと とよとみ](人間科学学術院教授)
メンバー
研究所員
森本 豊富(人間科学学術院教授)
山崎 芳男(理工学術院教授)
鳥越 皓之(人間科学学術院教授)
楊 立明(国際学術院教授)
バーダマン ジェームス マニー ジュニア(文学学術院教授)
及川 靖広(理工学術院教授)
竹中 宏子(人間科学学術院准教授)
招聘研究員
根川 幸男(ブラジリア大学外国語・翻訳学部准教授)
渡辺 伸勝(武庫川女子大学附属中学校・高等学校英語科非常勤講師)
小嶋 茂(東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターフェロー)
ISHI Angelo(武蔵大学社会学部准教授)
中村 茂生(立教大学ラテンアメリカ研究所研究員)
中谷 智樹(和歌山県中南米交流協会理事)
朝日 祥之(大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所時空間変異研究系准教授)
連絡先
早稲田大学人間科学学術院
森本研究室
〒359-1192 所沢市三ヶ島2-579-15
Tel/Fax: 04-2947-6789
E-mail : [email protected]