Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

医療人類学研究所【活動終了】
Institute of Medical Anthropology

【終了】2007~2011年度
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研究テーマ

移民労働者を対象とした医療人類学的研究

研究概要

2008年度
研究報告? 2008年度の活動
 四谷クリニックでの活動訪問、イデンテ財団法人の理事長ジェシス フェルナンデス医師と副理事長のマリア カルメン ガルシア医師の来日やイタリア イデンテ財団開発研究の副理事・多文化クリニックのカリタスそうせつしゃのリカルド クロサンテ医師の来日における文化や医療そして移民問題に関しての協議会等を行い、医療人類学における有意義な協議会を行った。
 
? スペイン語のヘルスケアマニュアル
 医療マニュアルは、作成中である。
 成人病予防に重点をおき、患者自身が医療用語彙を翻訳そして学べることを目的に二ヶ国語を使用し、また漢字にはフリガナを付けて作成している。

? 現地調査
 群馬県と埼玉県で、医療を追及するラテンアメリカ人の患者・医療通訳者そして医療従事者からの視点における現地調査を行った。以下が現地調査の大まかな要約である。
 
●医者の冷たい態度と理屈的で十分な説明のない診療
●スペイン語における表現で日本語に訳すことができなく、異なる処方を受け、症状が治らない
●問題点は言葉の壁以外に、ペルー人がもつ自己主義的な態度。
●15年〜20年日本に滞在しているにも関わらず日本語が話せない。
●診療しないで、薬のみを処方される
●患者が気にすることに関して医者は、無関心

 現地調査を通して疾病を包括する表現法に関して医師と南米移民患者との間に以上の文化的の行き違いが垣間見られた。
2007年度
研究報告本研究所の活動開始は、客員研究員であるDr. Marisa Tsuchidaの滞在許可が6月に交付されたために、実質的活動は7月から始めた。研究趣旨に基づいて初年度は、関東近県にみられる外国人労働者の実態調査の一環である彼らのヘルスケアーの実態調査を試みた。調査地域は、近年外国人労働者人口が増加している群馬県伊勢佐木市と埼玉県本庄市に絞って予備調査を行った。これら地域へのアクセスは、本学への南米出身留学生たちの情報と彼らによって作り上げられた実際的な社会的関係(ネットワーク)に助けられて、当調査ティームは問題なく地域集団との接触およびインタビュー調査を行う事ができた。社会人類学的調査方法(参与観察)とIT communicationによる濃密な現地調査とデータ収集によって、これらの地域に在住している外国人労働者の生活実態:国籍、職種、ビザの種類、扶養家族数、滞在年数やヘルスケアーについて基礎調査を行った。特に、日本の健康保険(国民健康保険を含む)の加入しているかどうか、未加入の理由、年間の保険利用回数、医療サービスが必要になった病名、地域に伝統的治療師(healer)の有無や伝統的治療薬(folk medicine)などを抽出する事が出来た。統計資料を含めた詳細な報告書は近日中に当研究所のホームページへ掲載する予定である。

研究報告

研究概要:近年の少子化現象に伴って、本邦において3K(危険、汚い、きつい)を担う移民労働者の増加が、日本社会へ色々な社会問題を提起している。しかし、移民労働者への医療サーヴィス(保険)制度については全然表面に出てきていないが、実は彼らへの医療サーヴィスの欠落は、とても大きな問題として地域社会レベル(例:本庄市周辺)で議論されている。例えば、本学本庄キャンパス周辺には約3000人近い南米からの日系移民労働者が、3Kの仕事に携わっているが、彼らへのインタビュー調査では、不法労働者は皆無に近くほとんどが就労ヴィザを保持して健全な市民生活者として地域社会と融合しながら生活をしているが、ひとたび病気にかかったら健康保険に加入していないために、高額な治療費を支払うことになるので売薬ですますことが多いようである。彼らのほとんどは、契約労働者であるために、雇用者(企業)は、厚生年金や社会保険に加入していないのが実情である。従って、理論的には移民労働者は、国民健康保険へ加入せねばならないが、加入者はほとんど見られない。日本人でも国民保険料を(一月1万3,3千円)支払えない人びとの増加は社会問題になっている今日、ましてや低賃金の移民労働者には、経済的に加入できない例が多くみられる。つまり、彼らの収入は日本人よりも少なく、支出は日本人並みという不合理な経済的ギャップがみられる。
このような経済的・社会的状況だけではなくて、日系移民の病に対する考え方や生活習慣などの違いから、日本人医師との意思疎通がなかなか困難な場合が多々あるようである。文化的多元的な南米社会とやや一元的文化社会の日本との社会的行動様式の違いや病気についての具体的表現の異なることからの誤解や、日本人医師からの外国人患者拒否や嫌悪といった状態を解決してゆくために、研究所が認可された時点で、ローマにあるIdente Missionaries 財団の援助により日系ペルー人医師を招聘して、日本人医師(中村教授および若杉教授)と共同で医療に関す南米バージョンの作成や日本人地域社会との融合を制度的に創り上げる方法論を社会人類学的に研究して、その成果を移民労働待遇改善に関すアドボケイターとしての役割をも視野にいれながら、ゆくゆくは移民労働者用のクリニックへの道を探るための研究を目的としている。

所長

ロバーツ グレンダ S[ろばーつ ぐれんだ S](国際学術院教授)

メンバー

顧問
菊地 靖(St.John’s University:Adjunct Professor)

研究所員
ロバーツ グレンダ S(国際学術院教授)
西村 正雄(文学学術院教授)
加納 貞彦(国際学術院教授)
松本 充司(理工学術院教授)
勝間 靖(国際学術院教授)
若杉 なおみ(政治経済学術院教授(任期付))

招聘研究員
中村 安秀(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
Tsuchida Marisa(日秘ポリクリニック内科医師)
杉原 正子

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WASEDA University

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