Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

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ニュージーランド研究所【活動終了】
Research Institute for New Zealand Studies

【終了】2011~2015年度
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研究テーマ

ニュージーランドに関する総合的研究(経済、産業、政治、安全保障、文化、歴史、人口、先住民、風土、国土)

分野:地域社会

研究概要

オセアニア地域に所属し、歴史的にはイギリスとの関係が深いニュージーランドに関して、これまで早稲田大学では、地域研究の対象として専門的に研究する学者は少なかった。例外として、大正期に安部磯雄(1865〜1949)教授(当時)が、キリスト教的人道主義の立場で、ニュージーランドを社会主義の確立した理想郷として研究を行ったことが挙げられる。このように、早稲田大学で研究の蓄積が薄いだけでなく、また日本全体でも研究者の多くないニュージーランドを研究対象として取り上げ、日本との経済的・政治的関係を歴史的に検証すると同時に、今日的な両国間の諸課題についても検討する。
本研究所は、アジア太平洋地域に位置し、日本とも風土的類似点も多く、また民主主義・法治主義・市場経済という共通の価値観を共有するニュージーランドに関して地域的・総合的に研究を行うことを設置目的とする。
本研究所への学外の参加者は、全員が日本ニュージーランド学会(1994年設立)のメンバーであり、歴代の会長・副会長も参加している。従って、研究領域は、理工学系の学問分野を除く人文・社会科学系の全ての分野を包含しており、個別の調査・研究テーマとしては、ニュージーランドの経済・産業・政治・安全保障・文化・歴史・人口・先住民・風土・国土といった、同国に関する全ての側面が対象となる。特に両国が中国、インド、東南アジア諸国など近年発展著しいアジア太平洋地域において果たすことができる多面的な役割について検討することは、同地域の安定と協力関係の進展や、両国の民間レベルでの相互理解と交流関係の強化に質すると思われる。
山岡が現在会長を務める日本ニュージーランド学会では、2008年8月に早稲田大学で駐日ニュージーランド国大使・公使の列席の下に、ニュージーランドから6名の専門的研究者を招聘して、「アジア・太平洋におけるニュージーランドと日本の役割:安全保障・経済・文化交流の視点を中心として」と題する国際シンポジウムを開催した。本研究所は、同種の会議を2012年度中に、ニュージーランドのオークランド市にあるオークランド大学で開催を予定している。そのための準備期間として、2011年度には、個別テーマに関する調査実施、研究会の開催、論文の執筆、内外からの参加者の人選等を行う予定である。2013年度は、研究会の開催の他に、前年度の国際シンポジウムに関する会議録を、英語と日本語の両言語でまとめて出版する計画である。

研究報告

【2015年度】
 今年度のニュージーランド研究所の活動として、第1番目に、早稲田大学のエクステンションセンターでのニュージーランド講座(「ニュージーランドが大好きになる講座」)の開講がある。これは、2012年度の春学期、2014年度の冬学期に続くもので、今回は、2015年4月11日に始まり、6月20日に終わる10回の連続講座となった。9名の講師は、全員が本研究所のメンバーであり、そのテーマは、?「ニュージーランドの概要:山岡道男」、?「世界を先導したニュージーランドの社会政策・社会保障政策:小松隆二」、?「ニュージーランドの就学前教育の流れ:原田壽子」、?「ニュージーランドのツーリズム:岩本英和」、?「マオリ文化と文学:命と共生の思想:澤田真一」、?「ニュージーランドの捕鯨政策の変遷:国際法の視点を中心として:山本英嗣」、?「ニュージーランドの風土と文化:食文化からみるニュージーランド:新井正彦」、?「ニュージーランドの英語:渡辺宥泰」、?「ニュージーランドの対日貿易と日本企業:岡田良徳」、?「まとめ:ニュージーランドの自然:山岡道男」であった。
 第2番目としては、オーストラリア研究所(所長:宮崎里司教授)と共同で、11月3日(火)に、第11回総合研究機構研究成果報告会を開催したことである。テーマとしては、「独立自尊の国ニュージーランドに学ぶ」を設定し、ニュージーランドの非核政策を中心に、日本やオーストラリアとの比較を念頭に置いて、1名の基調講演「ニュージーランドの安全保障と非核・核軍縮政策:冷戦後の世界とオーストラリアとの比較を中心に:上村直樹・南山大学」と、4名の報告者による講演(「ニュージーランドの歴史地震と復興に学ぶ:植村善博」、「ニュージーランドの反核芸術に用いられた広島のイメージ群:サワダ・ハンナ・ジョイ・弘前大学」、「ニュージーランドの非核政策と原発問題:再論:近藤真・岐阜大学」、「ニュージーランドでの非核法政策の成立過程:高橋康昌・群馬大学」)を実施した。
 本年度は最終年度であるが、成果物として、次年度中に、ニュージーランドに関する文献一覧集を、ニュージーランド学会(会長:植村善博・佛教大学教授)と日本ニュージーランド学会(会長:山岡道男)と協力して、出版する計画である。

【2014年度】
今年度のニュージーランド研究所の活動として、早稲田大学のエクステンション・センターでのニュージーランド講座(「ニュージーランドが大好きになる講座」)の開講がある。これは、2012年度の春学期に続くものであったが、今回は冬学期での開講であったために、2015年1月10日に始まり、2月7日に終わる5回だけの講座となった。5名の講師は、全員が本研究所のメンバーであり、そのテーマは、(1)「ニュージーランドの概要:山岡道男」、(2)「ニュージーランドの司法制度:山本英嗣」、(3)「ニュージーランドの英語:渡辺宥泰」、(4)「ラグビーからみるニュージーランドの風土と文化:新井正彦」、(5)「ニュージーランドのツーリズム:岩本英和」である。次年度(2015度)は、10名のメンバーで春学期での開催を予定している。
次に、日本におけるニュージーランドに関する文献集の作成に向けて、ニュージーランド学会(会長:植村善博・佛教大学教授)と日本ニュージーランド学会(会長:山岡道男)の協力の下に、文献一覧を作る計画を立て、資料収集に入っている。出来れば、出版のための助成金を申請して、書籍として出版したいと考えている。
最後に、研究所のメンバーによる個人研究としては、下記が挙げられる。
論文:山本英嗣「ニュージーランドの移民政策序説」『日本ニュージーランド学会誌』、日本ニュージーランド学会、第21巻、2014年6月、40~50頁
論文:澤田真一「ニュージーランド文学におけるポストコロニアル・アイデンティティの形成:より高次の調和を求めてのIhimaeraによる脱植民地化の過程」『日本ニュージーランド学会誌』、日本ニュージーランド学会、第21巻、2014年6月、3~13頁
講演記録:「日本人なまりの英語を聞き分ける:ニュージーランドでの調査」 『世界諸英語に関する理解を深めるための映画英語教育』 京都府立大学文学部欧米言語文化学科、 2015年3月、12~21頁
エッセイ:山岡道男「アジア化するニュージーランド」『東日本大震災後の公益学と労働運動』、現代公益学会編、第2輯、2014年9月、53~54頁
エッセイ:山岡道男「ニュージーランドでの日々の出来事」、『日本ニュージーランド学会誌』、日本ニュージーランド学会、第21号、2014年6月、55~59頁
エッセイ:山岡道男「トゥイ(Tui)の話など」『WAIHEKE(ニュージーランド協会ニューズレター)』ニュージーランド協会、2014年7月号、2014年7月、1~4頁
次年度は、本研究所での活動が最終年度となるために、先に記した書籍(ニュージーランド文献集)の出版と、国際シンポジュームの開催を企画している。

【2013年度】
2013年度は、所長の山岡道男が1年間の特別研究期間に当たり、1年間にわたりニュージーランドのオークランド市にあるオークランド大学で在外研究を実施したために、当研究所としての活動は特になく、次年度(2014年度)における書籍の出版へ向けて、各個人による調査・研究が活動の中心となった。
所長の山岡は、オークランド大学ビジネス・スクールの附置研究所である、ニュージーランド・アジア研究所に訪問学者の資格で滞在し、ニュージーランドに関して様々な研究を実施した。その研究成果としては、直接ニュージーランドと関係する論文は、下記の2点であり、また評論は4点がある。
・論文:「パーソナル・ファイナンス・リテラシーの国際比較:ニュージーランドと日本の予備的考察」『日本ニュージーランド学会誌』、日本ニュージーランド学会、第20号、2013年6月、42-53頁
・論文:「1929年の京都会議と1931年の上海・杭州会議に参加したニュージーランド女性:エイダ・ベラ・ヘイ(コッカー)の生涯」『渋沢研究』、渋沢研究会、第26号、2014年1月、3-12頁
・評論:「ニュージーランドでの在外研究を始めて」、『朝河貫一研究会ニュース』、第81号、朝河貫一研究会、2013年6月、6-8頁
・評論:「ニュージーランドでの自動車免許の取得」、『WAIHEKE(日本ニュージーランド協会ニュースレター)』、日本ニュージーランド協会、2013年6月号、2013年6月、2-3頁
・評論:「10年後のオークランド大学滞在で思うこと」、『日本ニュージーランド学会誌』、日本ニュージーランド学会、第20号、2013年6月、78-80頁
・評論:「ニュージーランドでの『ファイナンシャル・リテラシー・サミット』に参加して」、『クレジット・エイジ』、第391号、共同通信出版社、2013年9月、18-21頁

また個人研究として、メンバーの1人である弘前大学の澤田真一准教授は、下記の論文を執筆した。
・論文「イヒマエラとマンスフィールドによる「文学的対話」:パール・ボタンの誘拐をめぐるふたつの物語」『南半球評論』、オーストラリア・ニュージーランド文学会、第29号、2013年12月、33~45頁

【2012年度】
今年度のニュージーランド研究所の活動としては、2つの大きなイヴェントを開催した。1つ目は、早稲田大学のエクステンションでのニュージーランド講座(「ニュージーランドが大好きになる講座」)の開講である。春学期の4月14日に始まり、最終回である第9回目の6月16日には、イアン・ケネディ駐日ニュージーランド大使を招聘して講演会を開催した。8名の講演者の内で7名は、本研究所のメンバーであった。そのテーマは、(1)「ニュージーランドの概要:山岡道男」、(2)「日・ニュージーランドの交流;160年の歴史:遠藤哲也」、(3)「世界を先導したニュージーランドの社会政策・社会保障政策:小松隆二」、(4)「ニュージーランド英語の諸相:渡辺宥泰」、(5)「ニュージーランドの女性と子育ての支え合い:原田壽子」、(6)「ニュージーランドの風土と文化;ラグビーからみる世界:新井正彦」、(7)「ニュージーランドのツーリズム:岩本英和」、(8)「ニュージーランドの行政改革と経済の進展:樋口清秀」、(9)「ニュージーランドと日本との関係:イアン・ケネディ大使」である。
2つ目は、12月3日と4日に、ニュージーランドのオークランド大学で開催された国際会議である。主催者は、本研究所のほかに、オークランド大学ニュージーランド・アジア研究所(ヒュー・ウイットカー所長・オークランド大学教授)と日本ニュージーランド学会(山崎俊次会長・大東文化大学教授)の3組織であった。本研究所からは、(1)「170年に及ぶ日・ニュージーランドの国際関係:遠藤哲也」、(2)「日本とニュージーランドのパーソナル・ファイナンス教育:山岡道男、マイケル・キャメロン(ワイカト大学教授)」、(3)「ニュージーランドから日本は何を学ぶか:小松隆二」の3名が報告をし、また、開会の挨拶を山岡道男が、また閉会の挨拶を山崎俊次が行った。

【2011年度】
ニュージーランド研究所は、2011年度から発足した新しい研究所ではあるが、その母体となったのは、日本ニュージーランド学会(1994年発足)の主要なメンバーであり、日本におけるニュージーランド研究を推進している研究者集団である。
2011年度の主要な活動は、2011年11月16日に、「アジア太平洋地域の過去・現在・未来:ニュージーランドと日本」というテーマで、オーストラリア研究所と共同で開催した第7回総合研究機構研究成果報告会である。ニュージーランドと日本は、昨年の2月と3月に、それぞれ大きな地震に見舞われ、試練の時を迎えているという共通点がある。
同シンポジウムでは、基調講演として、「日本とNZ:震災からの復興における両国の協力」というテーマで、イアン・ケネディ駐日ニュージーランド大使が、また第1報告として、「2011年クライストチャーチ地震による建物被害と地域性」というテーマで、植村善博・佛教大学歴史学部教授)が、第2報告として、「日本におけるニュージーランド研究と早稲田大学」というテーマで、小松隆二・慶應義塾大学名誉教授が、第3報告として、「ニュージーランドと日本の経済政策・外交政策の展望」というテーマで、ヒュー・ウイットカー・オークランド大学商学部教授が報告を行った。
この報告内容に関しては、『プロジェクト研究』第7号に掲載されている。

所長

山岡 道男[やまおか みちお](国際学術院教授)

メンバー

【研究所員】
山岡 道男(国際学術院教授)
眞野 芳樹(商学学術院教授)
篠原 初枝(国際学術院教授)
樋口 清秀(国際学術院教授)

【招聘研究員】
淺野 忠克(山村学園短期大学准教授)
阿部 信太郎(城西国際大学経営情報学部准教授)
岡田 良徳(大東文化大学経営学部教授)
澤田 真一(弘前大学人文学部准教授)
原田 壽子(立正大学名誉教授)
山崎 俊次(大東文化大学外国語学部教授)
渡辺 宥泰(法政大学グローバル教養学部教授)
小松 隆二(慶應義塾大学名誉教授、白梅学園理事長)
山本 英嗣(東京外国語大学非常勤講師)
新井 正彦(江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授)
岩本 英和(城西国際大学観光学部助教)
植村 善博(佛教大学歴史学部教授)

連絡先

[email protected]

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