Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

多民族・多世代社会研究所【第Ⅱ期】
Institute for Multi-ethnic and Multi-generational Societies

【終了】2011~2015年度
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研究テーマ

日本の地域社会における多民族社会(多文化社会)・多世代社会システムの構築

分野:地域社会

研究概要

多民族・多世代社会研究所が、2006年度から5年間継続して実施してきた滞日ムスリムに関する研究は、一定の成果を上げてきた。しかし依然として、滞日ムスリムの抱える問題は日本の地域社会との良好な関係形成によってしか解決できないこと、また日本社会や日本人が抱くイスラーム・イメージのネガティブな側面は解消されていないこと、といった課題を滞日ムスリム社会は抱えている。さらに同研究所の滞日ムスリム調査やプロジェクトの存在も広く知られるようになり、滞日ムスリムや研究者のみならず、メディアへの情報提供という点でも重要な役割を果たしている。
そこで、新規プロジェクトにおいては、滞日ムスリム研究に特化した研究計画を当初から立案して、日本全体を対象とする研究を実施する。滞日ムスリム社会としては、永眠の地としての基地取得問題、次世代教育問題などをかかえ、日本の地域社会との良好な関係作りも課題となっている。各地の地方自治体との共同研究を模索しながら、日本人の地域社会と滞日ムスリム社会を含めた新たな地域社会のあり方を焦点として、「多文化共生施策」立案に資するような研究成果を産出することを課題とする。

研究報告

【2014年度】
本年度は、これまでの滞日ムスリム調査研究における、在日ムスリム調査、全国モスク調査、全国モスク代表者会議、各地でのインタビュー調査の成果などを総合して、全国各地に所在するモスクの現状と、滞日ムスリムの生活世界の現状をまとめる作業をおこない、その成果を発表した。第一は、『日本のモスク:滞日ムスリムの社会的活動』(店田廣文著、山川出版社、2015年3月)である。それに加えて、文化庁の依頼にもとづき「日本のイスラーム:ムスリム・コミュニティの現状と課題」(店田廣文・岡井宏文著、『宗務時報』119号、2015年3月)を執筆し、全国のイスラーム関係団体の宗教法人化と一般社団法人化の現状についても報告した。これに関連して、文化庁委託の宗教法人事務担当者研修会において、日本のモスクと住民意識に関する講義を実施した(山梨県甲府市、店田廣文、2014年8月)。
この他、滞日ムスリムと日本社会との交流を意図して、滞日ムスリムの協力のもと、2008年度より継続して全国モスク(マスジド)代表者会議を開催しており、第7回の会議では「ヤングムスリムの将来設計 ―学ぶ・はたらく・生きる―」(2015年1月31日)と題して、早稲田大学アジア・ムスリム研究所と協力して開催した。今回の会議の直前にISをめぐる事件が勃発し、本会議では、滞日ムスリムとISに関する課題も取り上げられ、報道のあり方も議論となった。
2015年度からは、研究課題として「滞日ムスリムの生活世界の変容とムスリム・コミュニティの持続的発展」を掲げ、新たな調査企画のもとに滞日ムスリムに関する調査研究を継続する予定である。

【2013年度】
本年度も滞日ムスリム調査研究を、科研費補助金およびイスラーム地域研究機構研究助成を受けて実施した。
2009年度より継続している課題である、日本人住民の対イスラーム・ムスリム意識を探る調査研究については、2009年度の岐阜市調査、2011年度の富山県射水市調査、2012年度の福岡県福岡市調査を実施し完了した。これら3つの調査ではいずれもイスラームやムスリムへのネガティブ・イメージが確認されたが、福岡市調査の分析では住民意識にメディアの報道が大きく影響していること、他方で地域住民と滞日ムスリムとの直接的接触による意識の変化もうかがわれた。福岡市調査の分析結果については、日本中東学会年次大会において研究発表を5月に実施した。また初めての試みとして福岡モスクにおいて滞日ムスリム向け報告会を7月に実施し、ムスリム側の意見も聴取した。なお研究メンバーの岡井宏文(イスラーム地域研究機構研究助手)は文化庁委託の宗教法人事務担当者研修会において、日本のモスクと住民意識に関する講義を実施した(同年6月)。
この他、滞日ムスリムと日本社会との交流を意図して、滞日ムスリムの協力のもと、2008年度より継続して全国モスク(マスジド)代表者会議を開催しており、第6回の会議では「地域社会とモスクの将来像」(2014年2月9日)と題して、早稲田大学アジア・ムスリム研究所と協力して開催した。なお、研究所HPには、日本のモスク・リストの最新版や報告書等をアップしているが、年度末に射水市調査報告書の英語版を公開したことを付記する。

【2012年度】
本年度も滞日ムスリム調査研究を、科研費補助金およびイスラム地域研究機構研究助成を受けて実施した。
2009年度より継続している課題である、日本人住民の対イスラーム・ムスリム意識を探る調査研究については、2009年度の岐阜市調査、2011年の富山県射水市調査に続いて、2012年度は福岡県福岡市において「外国人住民との共生に 関する意識調査」を実施した。326人から有効回答を得て、2013年5月に第1次報告書『外国人住民との共生に関する意識調査・福岡市報告書』として完成し、現在印刷中である(報告書は、ホームページに公開予定である)。これまでと同様に、イスラームやムスリムへのネガティブ・イメージが確認されたが、更に先行する調査も含めて、詳細な分析を実施する予定である。また初めての試みとして福岡市において住民向け報告会を2013年夏に計画している。なお射水市調査については、日本中東学会年次大会において研究発表を2012年5月に実施した。
第二の課題として、滞日ムスリムと日本社会との交流を意図して、滞日ムスリムの協力のもと、2008年度より全国モスク代表者会議を開催している。第1回 「日本のムスリム・コミュニティを語る」(2009年2月11日)、第2回「日本におけるムスリム・ネットワークと日本人ムスリム」(2010年3月7日)、第3回「日韓ムスリム・コミュニティの現状と展望」(2011年3月6日)、第4回「東日本大震災と被災者支援活動」(2012年2月12日)、そして第5回「食を語る」(2013年2月10日)を、アジア・ムスリム研究所と協力して開催した。来年度も継続予定である。

【2011年度】
本年度も滞日ムスリム調査研究を、科研費補助金およびイスラム地域研究機構研究助成による調査と連携して実施した。
今年度の研究の柱とした第一の課題である、日本人住民の対イスラーム意識と対ムスリム意識を探る調査研究については、2009年度の岐阜市調査に続いて、2011年10月から11月にかけて富山モスク周辺地域の住民を対象として、富山県射水市において「外国人に関する意識調査」を実施した。340人から有効回答を得て、第1次報告書を作成中であったが、2012年4月に『外国人に関する意識調査・射水市報告書』として完成し、現在印刷中である(報告書については、研究所ホームページに公開予定である)。岐阜市調査結果と同様に、イスラームやムスリムへのネガティブ・イメージが確認されたが、改めて異なる地域特性とムスリムとの関係を有する福岡モスク(福岡県福岡市)周辺を対象として、2012年度に同様の調査を実施する予定である。
第二の課題として、滞日ムスリムのネットワークに関連する研究を滞日ムスリムの方々の協力を得て、2008年度に開始し、第1回全国モスク代表者会議「日本のムスリム・コミュニティを語る」(2009年2月11日)、第2回「日本におけるムスリム・ネットワークと日本人ムスリム」(2010年3月7日)、第3回「日韓ムスリム・コミュニティの現状と展望」(2011年3月6日)、そして第4回「東日本大震災と被災者支援活動」(2012年2月12日)を、アジア・ムスリム研究所と協力して開催して、支援活動を通して課題となった日本社会との関係を含めて滞日ムスリム・ネットワーク研究を継続した。

所長

店田 廣文[たなだ ひろふみ](人間科学学術院教授)

メンバー

【研究所員】
店田 廣文(人間科学学術院教授)
臼井 恒夫(人間科学学術院教授)
小島 宏(社会科学総合学術院教授)
浦野 正樹(文学学術院教授)

連絡先

[email protected]

WEBサイト

http://imemgs.com/

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