Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

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CCDL研究所【第Ⅲ期】【活動終了】
CCDL Research Center

【終了】2010~2015年度
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研究テーマ

海外大学との異文化交流実践授業における遠隔教育手法およびシステムの確立と教材の開発

分野:教育

研究概要

ICTを活用した異文化交流実践授業はCross-Cultural Distance Learning(CCDL)と呼び、1999年より実験的に開始し、毎年約3800名の早稲田生が受講している。CCDLは新たな授業形態として、学内外で認められるようになった。しかし、2000年から2010年までのCCDL研究所では交流相手校の開拓とアジアでの知名度を上げること、21世紀にふさわしい教材開発と授業形態の同定に取り組んでおり、実験成果としては「受講生の学習動機が向上する」ことと「異文化ソーシャルスキルが向上する」ことが確認されたのみである。第3次CCDL研究所では異文化交流実践授業で予測される英語力の向上の測定を進めていく。
グローバル化に伴い、世界の共通語として現在世界人口の4分の1の人々が英語を使用しており、2050年には世界人口の半数が英語を使用してビジネスを行う社会が到来するといわれている。非母語話者の英語使用者数の爆発的な増大にあわせ、ヨーロッパでは欧州共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages:CEFR)が提案され、現在43カ国以上の国でCEFRが活用され、現在最も注目を浴びている世界基準となっている。TOEIC,PhonePass,CambridgeESOLが提供する各種の英語テストはCEFRとの相関や測定指数を公表している。この研究班はCEFRに基づきながら、アジア言語話者の話す英語力の能力評価を扱い、客観測定値に基づいた自動判定テストを提案する。客観評価による学習習熟度の科学的規定を進め、科学的根拠に基づいたアジア英語に対する国際基準を確立することが第1の目的である。第2の目的は、「心の科学研究所」のAESOP(アジア口語コーパス班)と連携し、非母語としての英語の多様性(Varieties)の実態を把握し、実践的なアジア版の言語国際基準表を提案し、日本人学習者に適用可能かどうか検証する。アジア人学習者の能力評価は単なる点数表示ではなく、能力内容を提示すべきであるが、反面、数量化をすることで、言語能力評価はより信頼性と妥当性をもつ自動判定が得られる。話し言葉の自動評価は、本研究のように複合領域の研究協力を必要とする。

研究報告

【2014年度】
2014年度は、2013年度に引き続きCCDL(Cross-Cultural Distance Learning)プログラムの更なる充実と、教育効果と質の向上を目指し、主に以下の活動を行った。

1. GEC設置のCCDL科目では、CCDL Teachers Workshopにてアイデアが出された「Multi-cultural class」について、2013年度秋学期のトライアルを経て、2014年度春学期から正規科目へ本格導入した。これまでの早稲田大学対海外大学という1対1の交流ではなく、多国籍の3地点と交流を行うことで、海外学生との異文化交流経験をより充実させ、交流の質と学生の満足度向上に繋がるプログラムとなった。

2. GEC設置CCDL科目の授業後アンケートの設問を検討した。これまで各参加大学にて個別に受講者へのアンケートを実施してきたが、2015年度よりすべての参加大学において共通設問の「Cross-country survey」を行い、更なるプログラム改善を目指す。

3. 2013年度に引き続き、CCDLプログラムをはじめとした語学や数学、統計等の基盤教育におけるレベル分けや授業終了後の効果測定に活用可能な、項目応答理論を実装した新しいテストシステム「e-Testing システム」の構築を行った。主にTutorial Englishの講義終了後に実施される課題(Review Unit Test)のテスト問題を利用した成果測定テスト(CAT)を実現するために、各問題の困難度等のパラメータの算出や、問題の追加、追加した問題の等化などを実施した。
【2013年度】
2013年度は、2012年度に引き続きCCDL(Cross-Cultural Distance Learning)プログラムの更なる充実と、教育効果と質の向上を目指し、主に以下の活動を行った。

1. CCDL科目では、Multi-national classプログラムの開発を行った。これまでの早稲田大学対海外大学という1対1の交流ではなく、3地点交流を行う多国籍クラスとし、同時に2か国との交流を可能とした。より異文化交流経験を拡充させ、交流の質向上に繋げるプログラムとして、秋学期にトライアルを実施した。想定する教育効果が見込め、2014年度から正規導入を行う。

2. サイバーゼミ「World Englishes and Miscommunications」では、モバイル端末を活用した語学学習システムの実証実験を目的に、モバイル端末向けアプリをリリースした。アプリには、同授業を担当する著名な教員の講義を収録、VSS(Voice & Script Synchronizer)技術を活用し、講義を音声とテキストで自動にシンクロさせ視聴できる。また本アプリの手法は、Tutorial EnglishのVSS教材開発に繋がるなど、他科目へも普及・展開されている。

3. CCDL参加科目対象に、ソーシャルスキルや学習動機に関するアンケートを実施した。ソーシャルスキルは、尺度構成調査を目的とし、設問項目を減らした場合の因子構造や、過年度調査との間にみられる整合性の確認など、今後の分析に向けての調査を行った。

4. 早稲田大学と韓国高麗大学によるオンラインプレゼンテーションコンテストを実施した。オンライン制作・投票の仕組みを用いた予選から、予選突破者によるリアルプレゼンテーションを実施する形態で運用し、学生のプレゼンテーションスキルを伸ばす効果を上げた。本取り組みは、その新規性と教育効果が認められ、経産省・文科省後援の第10回日本e-learning大賞において、グローバル人材育成部門賞を受賞した。
【2012年度】
2012年度は、2011年度に引き続きCCDL(Cross-Cultural Distance Learning)プログラムの更なる充実と、教育効果と質の向上を目指し、主に以下の活動を行った。

1. CCDL科目に、早稲田大学に在籍する留学生をProgram Assistant(PA)として参加させ、異文化交流の機会を拡充する取り組みでは、2011年度のトライアルで教育効果と履修者の満足度の向上が見られたため、本年度は全クラスに正式導入した。加えて、本年度の国際教員ワークショップでの要望を受け、2クラスでテレビ会議を2回に増やし、運用面や満足度の検証を行った。

2. サイバーゼミ「World Englishes and Miscommunications」では、大学を代表する本取り組みを広く発信することを目的に、モバイル端末向けアプリの開発を行った。このアプリでは、授業で利用しているアジア各国の著名な教員の講義を、講義動画の音声とテキストを自動でシンクロさせて視聴できる。本年度はデモ版を開発し、2013年度のリリースに向けてアプリ構築を進めた。

3. 2011年度に引き続き、CCDL参加科目を対象に、ソーシャルスキルや学習動機に関するアンケートを実施した。本年度の分析では、CCDLの学習効果に重要となる学生自身の学習動機の高さには、担当教員と学生の関係や環境が大きな要因となることが判明した。今後、学生の動機づけを高める方略を探るために、「英語学習そのものに対する動機づけ」といったより広い意味での動機づけ調査を行っていく。

4. 一般的な英語能力を測定するシステム「WeTEC」に替わり、Tutorial EnglishやCCDLの成果測定を行うことのできるWebテストシステム開発に取り組んだ。これまでに得られたTutorial Englishのデータを再計算し、各回のレッスンで求められるスキル(CanDo)の習得をテストで自動判定し、フィードバックする機能の実装を目指している。
【2011年度】
2011年度も、2010年度に引き続きCCDL(Cross Cultural Distance Learning)プログラムの教育内容のさらなる充実を図るため、またCCDLプログラムによる英語力向上の測定に向け、主に以下の活動を行った。

1. 東日本大震災の影響で前期の授業回数が2回減じたことを受け、海外大学との交流機会の確保のため、BBS(電子掲示板)を併用して交流回数を補う方法を模索した。BBS交流に一定の効果が認められたため、授業回数・交流回数が元に戻った後期授業に於いてもBBSを活用し、交流の質の拡充を図った。

2. 「CCDL(Cross-Cultural Distance Learning)」科目については、かねてより海外提携大学の学生とのチャット交流5回、TV会議交流1回の計6回の遠隔交流回数が少ないとの指摘が受講生からあった。授業満足度の向上を図るため、早稲田大学に在籍する留学生をPA(Program Assistant)として採用し、遠隔交流が終了した授業後半にディスカッションパートナーとして参加させ、異文化交流の機会を増加させる取り組みを2クラスにて行った。

3. サイバーゼミ(World Englishes and Miscommunications)では参加大学の拡充の活動を行い、マカオ大学・武漢大学(中国)、ナンヤン工科大学(シンガポール)の新規参加が決まった。2012年2月16〜23日には、授業総括の「7th Waseda-RELC Student International Workshop」をシンガポールSEAMEO RELCにて開催し、9大学から担当教員および学生計28名が参加した。期間中にはシンガポール稲門会の現地で働く2名の校友との交流の機会も設けた。

4. CCDL実施授業を対象に、学生のモチベーションや学習に対する動機に着目した授業アンケートを実施し、自発的な学習動機が高い学生ほどCCDLによる学習効果が高い傾向が見られることを解明した。今後は、学習者の動機付けといった新たな観点から、CCDL授業改善の提案ができるよう検討を行う。

【2010年度】
2010年度は、CCDL(Cross Cultural Distance Learning)プログラムの質の向上ならびに拡充、またCCDLプログラムによる英語力向上の測定に向け、主に以下の活動を行った。

1. 2010年9月10〜11日には、海外大学のCCDL担当教員を早稲田大学に招き「CCDL国際Workshop」を開催した。CCDL授業品質向上に向けた相互理解を深めたほか、JACET(大学英語教育学会)にて研究発表を行い、学外への学術的知名度向上に取り組んだ。

2. 2010年6月,11月には、異文化交流実践講座の授業総括として「CCDL国際学生会議(CCDL International Students Forum)」を開催した。同授業に参加する海外5大学と同時接続し、授業で得られた成果を総括するとともに学生の理解度の定着を図ることができた。

3. 2011年2月11〜15日には、「6th Waseda-RELC Student International Workshop」をシンガポールSEAMEO RELCにて開催し、9大学から担当教員および学生計32名が参加した。期間中にPAAL(環太平洋応用言語学会)と共催で「World Englishes国際シンポジウム」を開催した。

4. 「遠隔交流マッチング支援システム」を開発し、早稲田大学教員のCCDL授業実績と交流相手大学の情報集約を進めた。CCDL授業実績を広く周知するデータベースとなるほか、早稲田大学との交流を希望する海外大学教員との交流マッチングを促進する狙いである。

所長

近藤 悠介[こんどう ゆうすけ](グローバルエデュケーションセンター准教授)

メンバー

【研究所員】
鈴木 利彦(商学学術院准教授)
澤木 泰代(教育・総合科学学術院教授)
花光 里香(社会科学総合学術院准教授)
近藤 悠介(オープン教育センター准教授)
吉田 諭史(グローバルエデュケーションセンター助教)
石井 雄隆(大学総合研究センター助手)

【招聘研究員】
大矢 政徳(目白大学講師)
大和田 和治(東京音楽大学音楽部准教授)
根岸 純子(早稲田大学オープン教育センター非常勤講師)
上田 倫史(駒澤大学講師)
森山 淳子(千葉大学国際教育センター英語特任助教)

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