Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

保険研究所【第Ⅱ期】
Insurance Institute of Waseda University

【終了】2010~2014年度
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研究テーマ

新時代の保険制度および保険業

分野:社会システム

研究概要

既存の保険制度および保険業は、急速に進行している少子高齢化・グローバリゼーション・異常気象現象などによる自然災害の多発などに、十分に対応していない。これらの保険制度を取り巻く環境の変化に対応できる保険制度および保険業の構築が急がれる。本研究では、次の分野についての研究を行う。

(1)自然災害と保険
異常気象の要因もあって、自然災害が世界的に多発しており、巨額の損害が発生している。観測史上最大の規模(マグニチュード9.0)を記録した「東日本大震災」(2011年3月11日)は、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。我が国の地震保険制度は、一定の役割を果たしているが、震災による損害の対策としては十分とはいえず、将来に発生する可能性のある震災を含む巨大な自然災害に対して、総合的かつ体系的な対策が急がれている。

(2)少子高齢化と保険業
少子高齢化によって既存の保険市場は縮小しているが、一方では高齢化による医療保険・年金関連の市場は拡大すると予測される。この少子高齢化は、保険制度と保険経営を大きく変化させるものである。また、この変化に対応して消費者を保護するための法的な整備も急速に行われている。これらの保険市場の変化とそれに対応するための保険業のあり方についての研究を行う。

(3)グローバリゼーションと保険業
保険業は、ヒト・モノ・カネと情報の国際的な流動化によって、国家や地域の境界を越えて、世界的な規模で密接に影響し合っている。各国の多くの保険会社は、少子高齢化によって国内市場が縮小しているため、海外での事業展開によって、活路を見出そうとしている。この保険業の国際展開のためには、各国における保険業を巡る問題点や制度を明らかにする必要がある。国際比較研究を通じて、各国の保険制度およびそれに関する問題点を明らかにする。

(4)少子高齢化・グローバリゼーションと社会保険
少子高齢化による社会保険の財政問題に対応するため、年金受給開始年齢の引き上げ、医療保険の給付の削減(自己負担率の引き上げ)などが行われている。しかし、一方では、少子高齢化に対応できる社会保障の充実化が求められている。また、グローバリゼーションなどによる労働人口の国際的な移動が加速化している。この際の公的年金などは、国家間の協定などによって国際的な通算などが行われているが、日本とアジアの各国間の年金などの協定が十分ではない。これらの問題について、国際比較の方法などにより、その問題点と解決策を明らかにする。

(5)リスクマネジメントと保険
企業の会計不正などの不祥事を防ぐための各国の法律の制定(アメリカのSOX法、日本の金融商品取引法・会社法)などが影響し、リスクマネジメントに関する企業の取り組みであるERM (Enterprise Risk Management)が急速に普及している。これらは、一部は既存の保険制度を代替するものであるが、保険制度の枠を超えて発展しているものである。これらの企業のリスクマネジメントは、国際標準(ISO31000など)が発表されているが、各国の文化や商慣習によって、その実践方法が異なる可能性が高い。これらについて、国際比較などを通じて、各国における企業リスクマネジメントの実態と保険による対応を明らかにする。

(6)グローバリゼーションと海上保険
海上保険は、最も歴史のある保険であるとともに、その生成時から、複合性・国際性といった特徴を有し、各種の利益や危険を対象とし、国際的取引に対する仕組みを整備している。海上保険は、国際的な経済活動を支える重要な制度としてグローバリゼーションの進展のなかでますます重要となっている。海上保険の理論研究を深めるとともに、グローバリゼーションの進展に伴う諸問題について研究していく。

研究報告

【2010年度】
2010年度は、AIGエジソン生命が商学学術院に対して行った寄付にもとづく、3つの事業(学部寄付講座、大学院寄付講座、研究助成)のうち、研究助成に対し、積極的に協力した。
第1に、前所長は、5月7日、「生命保険主力商品の動向について」と題する公開セミナーの講師を務めた。聴講者はおよそ70名であった。質疑応答を含め2時間、有意義なセミナーを開催することができた。
第2に、6月15日に早稲田大学国際会議場 井深 大記念ホールで開催された「第18回 産研アカデミック・フォーラム」への貢献である。同フォーラムは、「生命保険市場としてのアジア」と題して、中国、韓国からも保険学者を招き、それぞれ自国の生命保険市場の展望と課題について講演を行った。日本に関しては、前所長が最近のデータをもとに、生命保険市場の現状、課題等を検討した。講演後のパネルディスカッションでは、中出 准教授の大変的確なコーディネートの下、フロアーからの質問に答え、またそこで出された問題について講師同士の議論を行った。都合4時間にわたる「長丁場」であったが、聴講者の「感想アンケート」からも、大変充実した内容であったとの好評を多数得ることができた。

所長

李 洪茂[り ほんむ](商学学術院教授)

メンバー

【顧問】
大谷 孝一(早稲田大学名誉教授)

【研究所員】
李 洪茂(商学学術院教授)
中村 信男(商学学術院教授)
中出 哲(商学学術院教授)
森平 爽一郎(商学学術院教授)
小倉 一哉(商学学術院准教授)

【招聘研究員】
KWON, W.JEAN(Professor, the School of Risk Management, St.John’s University, New York, USA)
Jung, Hongjoo(Professor, SungKyunKwan University, Korea)
安井 敏晃(香川大学経済学部教授)
恩藏 三穂(高千穂大学商学部教授)

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WASEDA University

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