Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

ベトナム総合研究所【第Ⅱ期】
Waseda University Vietnam Reserch Institute

【終了】2009~2014年度
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研究テーマ

「東アジア共同体」の形成におけるベトナムの戦略的位置づけに関する総合的研究

分野:社会システム

研究概要

近年、東アジア地域においては経済の相互依存の度合いが一層高まり、今まで「事実上の経済結合(de facto integration)」とも呼ばれていた経済圏が重層的に結ばれているFTA(自由貿易協定)を通じて「制度的な経済結合(de jure integration)」に変化してきている。しかし、この巨大経済圏がすなわち「東アジア共同体」と呼ばれるわけではない。歴史的に東アジア諸国間では対立があり、経済の発展状況もまちまちであるからである。
このような現状の中で、ベトナムの果たしうる役割は極めてユニークなものである。ベトナムは、「漢字・儒教文化圏」に属してきた北東アジアの国であると同時にASEANのメンバーでもある東南アジアの国でもある。日越関係は長期にわたって良好である。中国、韓国も一応平穏な関係にある。
本研究では、「東アジア共同体」の形成という文脈の中でベトナムが果たす戦略的な役割について、経済学、地理学、歴史・文化の三つの視点から総合的に検証することを目的とする。日中韓という大国の中で、共同体の形成のためにベトナムはどのようなことを期待されるのか、あるいは日本はベトナムに対してどのような外交戦略を持つべきか考察し、日越両国の戦略に対する提言をまとめる。

研究報告

【2014年度】
2014年度の定例研究会は4回開催され、ベトナム総合研究所の研究員および外部招聘講師による報告が行われた。2014年度の報告課題は、「メコン圏経済の新展開とベトナム」、「タイからみた日本企業とベトナム」、「中越関係の歴史的構造と最近の南シナ海紛争」、「漢字文化圏とベトナム」であった。研究会と同日に開催された総会では、第2期の研究活動の総括と、第3期の研究計画について議論した。
また、ベトナム総合研究所の研究プロジェクトの一つとして2011年度から2013年度にかけて実施してきた文部科学省科学研究費補助金(基盤研究B)「経済発展と国内・国際労働移動に関する調査研究:ベトナムを中心とした東アジアの動態」(研究代表者:トラン・ヴァン・トゥ)の研究プロジェクトの成果出版の準備を進めており、2015年6月にトラン・ヴァン・トゥ、松本邦愛、ド・マン・ホーン編著『東アジア経済と労働移動』(文眞堂)が出版されることになった。

【2013年度】
2013年度は、トラン所長を研究代表者として獲得した文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)「経済発展と国内・国際労働移動に関する調査研究:ベトナムを中心とした東アジアの動態」の最終年度であり、研究成果の取りまとめが活動の中心となった。本プロジェクトはベトナム総合研究所構成員を中心に各国の専門家が参加しており、「国内労働移動の問題」、「国際間労働移動の送出国の問題」、「国際間労働移動の受入国の問題」の3グループに分かれて研究を進めた。2月には早稲田大学においてシンポジウム「東アジア経済と労働移動」を開催し、研究成果を公表した。今後は研究成果をより広く社会に還元するために、報告書を書籍として出版する予定である。

【2012年度】
2012年度は、定例活動として3ヶ月に1回開催の総会を開き、構成員および外部招聘講師による報告が行われた。2012年度の報告課題は、「GMS開発における中国の参与、問題点と展望」、「ベトナムの東遊運動と日本」、「ベトナムソフトウエア産業の現状と課題に関して」であった。
2011年度からは、トラン所長を研究代表者として文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)「経済発展と国内・国際労働移動に関する調査研究:ベトナムを中心とした東アジアの動態」を取得し、研究所構成員が分担研究者となり、労働移動研究班を研究所の下部組織として立ち上げた。2012年度の研究は、対象国をベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、台湾、日本とし、基礎的な文献整理・データ収集と、それに基づく詳細な調査項目の検討と各対象国での一次調査を行った。3月にはベトナム・ハノイにおいて各国の専門家を交えた中間報告会議を開催した。研究成果は、2013年度に東京でシンポジウムのかたちで報告され、出版物にまとめられる予定である。

【2010年度】
早稲田大学ベトナム総合研究所は2004年10月に設立されたプロジェクト研究所である。2009年9月末日に5年間の活動期間を終え、10月からは構成員メンバーを一部変更して、新たに同名のベトナム総合研究所として出発した。活動期間は2014年9月までの5年間である。2009年度末現在の研究メンバーは16名である。
2010年度は、定例活動として3ヶ月に1回開催の総会を開き、構成員および外部招聘講師の報告が行われた。テーマは、「ベトナムの労働市場」「東アジアの産業発展地図の最新状況やベトナムの問題」「南シナ海をめぐる国際関係」等である。
また6月には前年度に東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)より委託を受けた研究に関し「東アジア新情勢とベトナム産業の国際競争力強化戦略についての政策提言―中国の台頭、ベトナムの対応と日越協力―」と題する報告をまとめ、6月にハノイで行われたセミナーで発表するとともに、報告書を提出した。
さらに、前年度までの5年研究をまとめるかたちで、構成員が分担執筆者となり、早稲田大学ベトナム総合研究所編『東アジア新時代とベトナム経済』(文眞堂)を出版した。また、これまでの研究を発展させ新しい研究を開始するため、文部科学省科学研究費補助金基盤(B)に応募した。研究テーマは「経済発展と国内・国際労働移動に関する調査研究:ベトナムを中心とした東アジアの動態」である。

【2009年度】
早稲田大学ベトナム総合研究所は2004年10月に設立され2005年度から実質的な活動を開始した。2009年9月末日に5年間の活動期間を終え、10月からは構成員メンバーを一部変更して、新たに同名のベトナム総合研究所として出発した。活動期間は2014年9月までの5年間である。2009年度末現在の研究メンバーは16名である。
2009年度は、定例活動として3ヶ月に1回開催の総会を開き、各構成員の方からそれぞれの報告が行われた。この報告は、当総研は研究活動の5年間の活動成果として、各構成員が分担して一冊の書物にまとめられる。
2010年1月からは、国際機関である東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)事務総長の打診を受け、ベトナム政府に向けて、越中貿易に関する政策提言を取りまとめる作業を行った。提言は、ERIAからの委託研究という形で行われ、研究成果・提言は2010年度にハノイで行われるセミナーにおいて発表されるとともに、ERIAに報告書を提出する予定である。

所長

トラン・ヴァン・トゥ[とらん・ゔぁん・とぅ](社会科学総合学術院教授)

メンバー

【研究所員】
トラン ヴァン トゥ(社会科学総合学術院教授)
白石 昌也(国際学術院教授)
劉 傑(社会科学総合学術院教授)
島 善高(社会科学総合学術院教授)
本多 美樹(社会科学総合学術院准教授(任期付))

【招聘研究員】
荒川 研(三菱商事株式会社業務部顧問)
関根 栄一(株式会社野村資本市場研究所研究部主任研究員)
DO MANH HONG(桜美林大学経済・経営学系専任講師)
西 晃((株)沖電気カスタマアドテックサービス品質・技術本部技術企画部部長)
松本 邦愛(東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野講師)
保倉 裕(株式会社アールケー・エキセル代表取締役社長)
大場 由幸(クロスボーダー・ジャパン株式会社代表取締役社長)
鹿間 雄一(三井物産株式会社情報産業本部ITサービス事業部主管)
松本 清(特定非営利活動法人ネットワーク日本理事事務局長)
武田 悠貴彦(株式会社アストミルコープ代表取締役)
冨田 晶子(日本貿易振興機構(ジェトロ)千葉貿易情報センター)
池部 亮(福井県立大学地域経済研究所准教授)

連絡先

社会科学総合学術院 トラン・ヴァン・トゥ研究室10階1022号室

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