Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

交域哲学研究所【第Ⅰ期】【活動終了】
Institute of Interregional Philosophy

【終了】2005~2009年度
過去の研究所活動はこちら

研究テーマ

哲学、倫理学

研究概要

ここにいう「交域」(interregional)とは、「学際」や「比較」とは異なりながら同時にそれらをも含む包括的概念であり、他領域に発見的に関わりつつ視野を広げ、理論的、実践的な諸問題への解答を模索する哲学的営みを示唆している。それは同時に、哲学に本来的に含まれる現実への作用力を明るみに出す試みである。今日、大学での哲学研究は他の研究分野と同様に個別の専門研究に専念して閉じた世界を形成しているように思われる。しかし哲学は他領域から、また社会から孤立して成り立ちうるものではなく、そもそも外部との積極的な関係のうちにしか成り立ちえないはずである。社会における哲学への関心と期待は大きい。それに応えることが哲学研究者に求められている。われわれはこのような理念のもとに、理論的、歴史的な哲学研究と、いわゆる応用的な思考との区別がなくなる地点に立って、哲学的「交差=越境」と現実の諸問題への提言との様々な可能性を探ってゆく。

研究報告

※交域哲学研究所
2010年04月01日〜2015年03月31日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=3G&kbn=0&KikoId=01

2009年度
研究報告プロジェクト最終年度である2009年度は、研究所の基本活動である講演会の開催と紀
要『交域哲学』の刊行を行った。
講演会は、2010年1月29日に、大阪産業大学経済学部国際経済学科教授の水嶋一憲教
授をお招きし、早稲田大学文学部哲学コースと共催で行った。アントニオ・ネグリと
マイケル・ハートによる『〈帝国〉』や『マルチチュード』の翻訳で知られ、グロー
バリゼーションの時代における政治や経済、文化の研究に携わる水嶋教授から、さま
ざまなお話を伺うべく、研究所からは澤里客員研究員が司会として、野内客員研究員
が質問者として講演会に参加した。新幹線の事故で講演者が大幅に遅れて到着すると
いうアクシデントに見舞われたにもかかわらず、20名を超す聴講者が「マルチチュー
ドとコモン」と題された講演に熱心に聴き入った。残念ながら時間の関係で質疑応答
には多くの時間を割けなかったが、多方面にわたる講演内容は、さまざまな領域との
「交差=越境」をめざす交域哲学研究所の5年間のプロジェクトを締めくくるにふさ
わしい、刺激的なものであった。
紀要『交域哲学』の第四号は、野内客員研究員と澤里客員研究員の論文を掲載し、刊
行した。また現在第五号の刊行を準備している。
2008年度
研究報告2008年度は、研究所として、以下二つの活動を行った。
第一に、研究所のホームページで公開している(客員)研究員によるコラムに興味を持っていただいたことから、7月18日に京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センターの研究会に招かれ講演を行った。研究所からは、澤里客員研究員、森客員研究員、野内客員研究員が参加し、「働く」をテーマに、澤里客員研究員と野内客員研究員の理論的な発表の後に、実際に企業経営に携わる森客員研究員による実践的観点からのコメントを経て、多くの参加者と活発な質疑応答を行った。休憩をはさまずに3時間あまり続いた研究会から、客員研究員たちも大きな刺激を受けた。
第二に、今年度の研究所のシンポジウムとして、「写真という問題」と題して、11月25日に森美術館館長の南條史生氏をお招きして講演をしていただいた。研究所からは、増田客員研究員と澤里客員研究員が参加し、両名も写真に関する発表を行った上で、南條氏を含めて熱い議論を繰り広げた。会場は非常に盛況で、30名以上の聴講者が、質疑応答に活発に参加していた。
どちらの活動においても、交域哲学研究所が理念として掲げる「他領域との積極的関係」が実現されたと言え、研究所にとって大きな収穫であった。
なお紀要『交域哲学』第四号も刊行へ向けて準備中である。
2007年度
研究報告2007年度はこれまでの経験と反省を生かして、定期的に研究の場を設けることで、研究活動のさらなる活発化を目指し、複数の研究会を立ち上げた。
具体的には、佐藤所長を中心としたヤスパースの読書会と、野内客員研究員を中心としたナショナリズムをめぐる研究会が定期的に開かれた。前者では『哲学』第三巻「形而上学」を取り上げ、週一度テキストの精読と議論を行った。後者ではアンダーソン、ゲルナー、スミスといったナショナリズムに関する古典的著作から最近の文献までを、月一回一冊ずつ取り上げ、内容の要約の後、討議を行った。それぞれ研究所内部だけではなく外部からの参加者も集い、活発な意見交換がなされた。
また外部へ向けた催し物としては、11月28日にヴィリリオやライアンの翻訳で知られる河村一郎氏を招き、澤里客員研究員と野内客員研究員の三人で「グローバリゼーション・ナショナリズム・暴力」と題するシンポジウムを開催した。グローバリゼーションとナショナリズムの関係、ならびにそれらに伴う暴力という興味深い主題に、20名を超える参加者が耳を傾けるなか、具体的な政治状況をめぐるアクチュアルな話題から、暴力の根源的な意味まで、熱気のある議論が交わされた。
なお研究所の紀要である『交域哲学』第三号も刊行へ向けて準備中である。
2006年度
研究報告 2006年度は、客員研究員が5名から9名に増加したこともあり、活動の中核を担う運営委員の人数に関しても、昨年度の4名から5名へと増員をはかることによって、規模の拡大に対応した。
 当研究所では、昨年度末に紀要『交域哲学』を創刊したが、今年度も引き続き第2号を刊行した。対外活動としては、2006年11月30日に法政大学の財津理教授をお招きし、「映画的イメージの世界でドゥルーズは哲学する」と題する公開講演を実施した。ドゥルーズ研究の権威である財津教授による講演に対する関心は高く、30名を越える聴衆が会場を訪れ、講演後の質疑応答では熱気あふれる議論が展開された。
 一方、毎月1回の研究会も引き続き行われた。研究会の成果として、各研究員による小論が、研究所ホームページ(http://www.waseda.jp/prj-iip)に掲載されているので、ご覧頂きたい。なお、この小論のいくつかに対して、朝日新聞大阪本社より取材の申し込みがあり、客員研究員の田口茂氏が応対した結果、3月17日付大阪本社版夕刊の記事に氏の発言が掲載された。また、今年度末をもって、予定していた研究テーマをひととおり検討し終えたので、来年度は、研究会を複数化するとともに、テーマも多様化することによって、研究活動のいっそうの充実をはかる予定である。

追記:当研究所では、2005年10月7日、ドイツ・マインツ大学のアン
    ドレアス・チェザーナ教授を招いて公開講演会を開催したが、
    ここでの講演を含む、チェザーナ氏による6つの日本講演の
    記録が収められた著作が刊行された。以下に書名を掲げて
    おく。

     アンドレアス・チェザーナ著(沼田裕之ほか訳)
    『地球時代を生きる感性―EU知識人による日本への示唆』
    東信堂
2005年度
研究報告 当研究所は、研究員四名、客員研究員四名の構成で発足した。その後一名の客員研究員が加わり、来年度はさらに三名の客員研究員の加入が確定している。
 当面、通常の活動は所長と運営委員である四人の客員研究員が核となる体制をとった。
 あらかじめ定めた研究テーマに沿って、毎月一回の研究会を開いて研究発表、質疑、議論を重ねる形で、基本的な研究活動が続けられている。
 研究所独自のホームページ(http://www.waseda.jp/prj-iip)を開設し、そこに研究会の成果を各担当者の小論文の形で掲載できるようになった。その具体的内容についてはホームページを御覧いただきたい。
 対外活動にも力を入れ、二〇〇五年十月七日、ドイツ・マインツ大学のアンドレアス・チェザーナ教授を招いて公開講演会を開催した。講演題目は「間文化的哲学――文化的偏見からの思考の自己解放のために――」。その内容は近く書物の一部として公表されることになっている。
 目下「交域哲学研究所紀要」刊行の準備を進めている。

所長

佐藤 眞理人[さとう まりと](文学学術院教授)

メンバー

研究員
佐藤 眞理人(文学学術院教授)

研究所員
佐藤 眞理人(文学学術院教授)

研究員
那須 政玄(社会科学総合学術院教授)

研究所員
那須 政玄(社会科学総合学術院教授)

研究員
丸野 稔(文学学術院教授)

研究所員
丸野 稔(文学学術院教授)

研究員
御子柴 善之(文学学術院教授)

研究所員
御子柴 善之(文学学術院教授)

客員研究員
河合 孝昭(鎌倉女子大学非常勤講師)
田口 茂(山形大学准教授)
増田 靖彦(早稲田大学文学学術院非常勤講師)
澤里 岳史(早稲田大学文学学術院非常勤講師)
伊野 連(横浜商科大学非常勤講師)
森 幸久(?ハビタス代表取締役)
本郷 均(東京電機大学工学部准教授)
野内 聡(早稲田大学文学学術院非常勤講師)
小林 邦輝

連絡先

文学学術院、佐藤眞理人研究室
03-5286-3639
Email: [email protected]

WEBサイト

http://www.waseda.jp/prj-iip

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