ユビキタスヘルスリサーチ研究所【活動終了】
Institute of Ubiquitous Health Research
【終了】2004~2008年度
研究テーマ
ユビキタス情報社会における医療介護福祉情報システム、医療介護福祉経済・制度
研究概要
先進国では少子高齢化の時代を迎えて、医療介護福祉にかかる経費が増大の一途をたどっている。あわせて人々の生活の質(Quality of Life)の向上へ向けて各種の施策が検討され実施されている。一方、情報通信の分野では、いつでも、どこでも、というユビキタス情報社会の実現に向けて研究開発が進められている。このような状況の中で、医療介護福祉へのユビキタス情報技術の応用を、その基盤となる制度や経済性をもとに国際的な視野をもって研究する必要性が高まっている。
本プロジェクト研究所では、以下の二区分の課題に総合的に取り組むことを目的としている。
(1)ユビキタス情報社会における医療介護福祉情報システム
医療・介護・福祉分野における情報システムのあり方
ユビキタス・ケア・ノート、地域医療介護情報システム、安否確認システム等を例題とした具体的問題点の明確化と解決方法
自治体、NPO等と組んだ実証実験の実施
標準化、セキュリティ
(2)ユビキタス情報時代における医療介護福祉経済・制度
医療介護福祉関連情報システムのビジネスモデルと経済性
介護保険制度のさらなる発展とそれを支える社会的仕組み、情報システム
少子化対策としての育児・家事支援制度のあり方とそれを支える情報システム
研究報告
2007年度
研究報告 ユビキタスヘルスリサーチ研究所としての2007年度の活動として特筆できるのは、早大キャンパスがある埼玉県本庄市で、「地域の医療と健康を考える会」を、本庄市民、群馬大学医学部酒巻哲夫教授、同医学部学生と協力して立ち上げ、月1回の例会を継続して開催していることである。
「地域の医療と健康を考える会」
趣旨
現代の地域社会は少子高齢化、過疎化、医療・福祉格差など様々な課題に直面し、そのあり方を問われている。
本会では、地域住民と各種専門組織(病院、医院、市役所、その他)との間をとりもち、かつ地域住民間の健康・医療面での情報交流を促進することにより、地域住民の健康や医療に関する安心感を醸成し、地域社会・地域住民をエンパワーしていくための「仕組み」を話し合う。 また、大学院学生をメンバーに加えることによって、将来地域で活動する人材を育成することも目的とする。
2007年度の活動経過
・第1回会合(2007年6月9日土曜日)於:早稲田大学本庄キャンパス
議題:会の設立総会、参加者の所信表明、町中保健室(武村氏)
・第2回会合(2007年7月28日土曜日)於:早稲田大学本庄キャンパス
議題:地域の健康と医療への思い(酒巻教授)
健康とコミュニケーション(林田氏)
彩北ネットワー ク10の狙いと活動紹介(篠原氏)
ユビキタスケアノートプロジェクト(大浦氏、田中氏)
・第3回会合(2007年9月1日土曜日)於:本庄市市民プラザ
議題:今後の方向性について、老テク研究会活動などを通して地域の健康と医療について思うこと(近藤氏)
・第4回会合(2007年10月6日土曜日)於:本庄市佛母寺
議題:FOMAテレビ電話機能を使った日韓交流(近藤氏)、
「生まれ育った町 本庄」における活動紹介(宮里氏)
『ICTは市民にとってどの様に役立つか』(瀧澤氏)
寺院におけるコミュニティとしての役割・今昔(竹沢氏)
・第5回(2007年11月3日土曜日) 於:早稲田大学本庄キャンパス
議題:「難病患者団体による 難病患者の為の 難病患者支援活動」について(大木氏)、
『ICTは市民にとってどの様に役立つか(その2)』(瀧澤氏)
・第6回(2007年11月8日土曜日) 於:早稲田大学本庄キャンパス
議題:パソコン楽習館における高齢の方々の活動について(東氏)
老テク研究会の活動の紹介(近藤氏)
・第7回(2007年12月8日土曜日) 於: 早稲田大学本庄キャンパス
議題:地域の高齢者のパソコン学習 (東氏)
高齢者である自分が今度は講師でパソコン学習会を開催
(金井氏、87歳)
同上 (三木氏、79歳)
地域の地震に関する記録を収集して冊子を作成(清水氏、
83歳)
・アクティブ・シニア・ネット・フォーラムの開催(2008年2月16日)
議題:俳句の吟行旅行を、写真と俳句の文字を入れて作成する(若宮氏)
早大本庄キャンパスと早大西早稲田キャンパスをTV講義システムで接続し、シニアのためのパソコン教室(上級版)を行う。
(参加者 本庄 51名、西早稲田 35名、合計 86名)
・第8回(2008年3月29日、土曜日) 於 早大本庄キャンパス
議題:地域医療に関するフリーディスカッション
今まで話題になった「仕組み」の例
・ 街中保健室
・ 映画鑑賞と健康の会
・ 地域で暮らす外国人支援(医療相談、等)
・ 健康サロンなでぃ(前橋市)
・ シニアパソコンネット(シニアの活性化)
2006年度
研究報告 介護関係者間の情報共有を支援する情報システム「ユビキタス・ケア・ノー ト」を試作し、実際に介護を行っている家庭、およびケア施設で試用実験を行っている。ふつうは要介護者の傍らにおいてある大学ノートの「介護手帳」の代わりに、携帯電話とPCの両方から介護関係の情報を書き込み、読み出しができるシステムである。介護に関係する情報項目を調べ、またその情報フローを分析する中から試作したものである。試用実験の評判は良いが、まだまだ使いやすさ、セキュリティの面で改良の必要があると評価される。今、ウェブの世界で新しく起こりつつあるメンバーがみんなで情報交換を行えるような仕組み(Web2.0)の考えに基づいて再構築を計画中である。
このほか、学内外の医療介護関係者・法曹関係者・情報通信関係者を中心とする学際的な研究会「ユビキタス健康福祉情報システム研究会」も毎月1回の定例会を開き、相互の啓発を行いつつ、進むべき道について模索をしている。
2005年度
研究報告ユビキタス健康福祉情報システム研究会を2004年度に引き続き毎月1回開催した。本研究会は、学外にも開かれた研究会で、毎回主として学外から講師を招き、講演をしてもらった後に、討論を行っている。詳細は、http://www.kanolab.jp/uhwis/ に掲載している。
また、毎年2回ユビキタスヘルスケアフォーラムを開催している。第1回は、2005年3月30日、早大国際会議場で、「グローバルな視点からヘルスケア(医療・介護福祉)を考える」と題して、日本、アメリカ、イギリス、中国からの講演者も加えて開催した。(参加者350名) 第2回は、「あしたの子育て地域とともに」と題して、2005年8月6日、早大本庄キャンパスで開催した。(参加者90名) 第3回は、「情報ネットワークが支援するヘルスケア」と題して、日本、イギリス、中国、フィンランド、スエーデンからの講演者、パネリストを招いて開催した。(参加者170名) http://www.kanolab.jp/sympo3/
2004年度
研究報告1.学外の機関との連携による研究成果
(1)ユビキタス情報社会における個人プロファイルの流通に関する社会学的分析調査(A社)
来るべきユビキタス情報社会におけるサービスについて、ヘルスリサーチの観点から医療・介護等への応用も考えて、ユビキタス情報社会の光の部分だけでなく、影の部分も考察した。
(2)ユビキタス・サービスのユーザーおよび社会の受容に関する研究(B社)
介護保険法下における福祉介護情報の流通構造を分析し、福祉介護用情報システムの基本設計に関する調査研究を行った。
(3)ユビキタス・ホームケアノートの研究(C研究会、D社)
これまで学外のC研究会で提案されたユビキタス・ホームケアノートについて、上記(2)の研究結果などをもとにシステム化を図り、展示会(CEATEC)に出展した。また世田谷区においてごく小規模な実証実験を行っている。
2.第1回ユビキタス・ヘルスケア・フォーラムの開催
ユビキタス・ヘルスリサーチ研究所が、電子情報通信学会老テク研究会と共催して、以下の要領で、第1回ユビキタスヘルスケアフォーラムを開催した。
日時: 2005年3月30日(水) 9:30 〜 17:00
場所: 早稲田大学国際会議場井深記念ホール
参加者: 350名
所長
加納 貞彦[かのう さだひこ](大学院国際情報通信研究科教授)
メンバー
加納 貞彦(大学院国際情報通信研究科教授)
三友 仁志(大学院国際情報通信研究科教授)
樋口 清秀(国際教養学術院教授)
河合 隆史(大学院国際情報通信研究科教授)
連絡先
早稲田大学大学院国際情報通信研究科
加納 貞彦研究室
Email: [email protected]