マーケティング・コミュニケーション研究所【第Ⅰ期】
Research Institute of Marketing Communication
【終了】2004~2008年度
研究テーマ
マーケティング・コミュニケーション、インストア・マーケティング
研究概要
今日、市場にあふれている製品は機能や性能の面で大差なくなり、「製品のコモディティ化」が進行しつつある。自社製品にオリジナリティを持たせるため、多くの企業が製品そのものだけでなく、製品を取り巻くさまざまなコミュニケーション活動に工夫を凝らそうと腐心している。当研究所ではこのような状況に鑑みて、実務家と研究者とが互いに手を取り合いながら、効果的なマーケティング・コミュニケーションのあり方を探っていく。具体的には、次のようなコミュニケーションを研究対象とする。
1.ブランド・コミュニケーション
ブランドのネーム、スローガン、キャラクター、パッケージといった要素をどのようにマネジメントすればよいのか。消費者に対してブランドを広く深く知ってもらい、好ましいブランド・イメージを持ってもらう方法は何なのか。
2.広告コミュニケーション
テレビ、新聞、雑誌、ラジオといったマスメディアに加え、インターネットや携帯電話などのニューメディアを通して、広告はどのように展開されるべきなのか。有効な広告クリエイティブとは何なのか。また、消費者にとって広告はどのような効果をもたらすのか。
3.インストア・コミュニケーション
どのように陳列されると、商品は最も売れるのだろうか。クーポンや特売などの店頭プロモーションは、どのような効果を有しているのか。そして、店舗内のBGMや照明などを工夫することで、芳しい成果が得られるのかどうか。
上にあげた各コミュニケーションについて、当研究所では理論的かつ実証的なアプローチで研究を進めていく。研究成果は、論文やワーキングペーパーなどの形で広く公開する予定である。
研究報告
※マーケティング・コミュニケーション研究所
2009年04月01日〜2014年03月31日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=2H&kbn=0&KikoId=01
2008年度
研究報告 2008年度は、活動最終年度ということもあり、新たな研究テーマへの取り組みと平行して、これまでの研究成果の発表を進めた。新たに取り組まれた研究テーマには、「小売バイヤーの意識と行動に関する調査」「SKU数とタイムプレッシャーに関する実験」などがある。これらの研究によって得られた知見は、今後、学会等で発表していく予定である。また、前年度から継続的に取り組んでいる研究テーマとして「マーケティングにおける香りの効果」「手書きPOP広告」「パッケージ・デザインと消費者反応」などがある。これらの研究成果の一部は、「小売空間における香りの効果」「手書き風POP広告と訴求内容」「パッケージ制作における書字方向とレイアウト」などとして、日本消費者行動研究学会や商品開発・管理学会において発表されている。さらに、以前に実施した調査をベースにした「消費者のスイートスポットと購買プロセス満足度」を『流通研究』(日本商業学会誌)で発表することもできた。
2007年度
研究報告 2007年度は前年度に引き続き、ミツカンとの共同研究を中心に研究活動を進めた。年間を通じての共同研究テーマは、「低関与商品における消費者態度とPOP効果」であり、特に映像型POPを実施することによる消費者購買行動の変化について分析を試みた。このPOP調査については、日本消費者行動研究学会において発表することができた。朝日新聞との共同研究については、いくつかの成果が出てきており、「循環型の広告熟成効果モデル」の構築に成功した。ここでの一連の研究成果は、日本商業学会での報告、『流通研究』(日本商業学会誌)での論文などで発表している。他にも、コカ・コーラとの「購買アイテムの計画性とカテゴリー性」に関する共同研究も進めてきており、研究成果の一部分は日本商業学会関東部会で報告した。また、本研究所ではパッケージに関する研究を数年間進めてきたが、「パッケージ制作における消費者情報処理理論の応用性」「パッケージにおける言語的情報と非言語的情報の配置の効果」などの研究成果を生み出すことができた。これらの成果は商品開発・管理学会で発表した。
2006年度
研究報告本年度は2005年度に引き続き、小売業の協力を得て、店頭マーケティング研究を進めることができた。具体的なテーマとしては、「店頭ビデオ提示による売り上げ効果分析」「多箇所陳列による購入促進の効果分析」などである。また、新聞社との共同研究では「新聞広告とテレビ広告の効果比較」を実施し、その成果は学会で発表することができた。また、過去に実施された研究成果は、学会誌などでも発表され始めている。本年度の研究成果については、マーケティング・コミュニケーション研究所の年間研究活動成果として報告書にまとめている。
2005年度
研究報告 本年度は2004年度に引き続き、幾つかの店舗の協力を得て、店頭マーケティングの研究を進めた。具体的なテーマとしては、「タイムセールスが購買行動に及ぼすインパクト」「香りを漂わせることによる消費者感情変化の分析」などである。
また、「地域ブランドに対する消費者評価」や「ループ購買の実態調査」なども行った。これらの研究成果については、マーケティング・コミュニケーション研究所の年間研究活動成果として報告書にまとめられている。
2004年度
研究報告 マーケティング・コミュニケーション研究所は、2004年4月にスタートしました。この1年間を振り返ると、当研究所にとっては初年度の活動でしたが、大きな成果をあげることができたと感じています。
特に、首都圏に立地するあるスーパーの協力を得て、小売り店頭を30週間にわたりコントロールし、価格、フェイス数、ブランド力などの違いが、対象商品カテゴリーの売上高や粗利益に及ぼす影響を明らかすることができました。また店舗内環境変数としての「タイムセールス」と「香り」に注目して、これらの変数が購買行動に及ぼす影響について分析を試みました。活動成果の多くは、2冊の報告書としてまとめてあります。
また実務家たちとの数回に及ぶ研究会・合宿を実施し、研究者側の問題意識と実務家側の問題意識をぶつけ合い、実務的なインプリケーションのある研究活動に取り組む努力をしました。次年度も本年度の延長として、産学連携を強めながら研究成果をあげていくつもりです。
所長
恩藏 直人[おんぞう なおと](商学学術院教授)
メンバー
研究員
恩藏 直人(商学学術院教授)
亀井 昭宏(商学学術院教授)
武井 寿(商学学術院教授)
嶋村 和恵(商学学術院教授)
守口 剛(商学学術院教授)
石田 大典(商学学術院助手)
客員研究員
井上 淳子(立正大学経営学部講師)
須永 努(千葉商科大学商経学部専任講師)
研究補助員
安藤 和代
連絡先
早稲田大学商学部
恩藏 直人
Email: [email protected]