スポーツ文化研究所【活動終了】
The Research Institute for Sport Culture
【終了】2004~2008年度
研究テーマ
体育・スポーツ科学(スポーツの人文社会科学研究)
研究概要
スポーツ文化という言葉が近年、学会においてのみならず、新聞やテレビなどメディアにおいて好んで使用されるようになった。これは、スポーツを単に競技ととらえるのではなく、競技を在らしめている経済、政治、教育、倫理など、むしろ文化・社会諸環境に対し、まなざしと関心が注がれるようになったことを示している。さらに、競技にとどまらずsportの語源上の原義である遊びにまで意味を拡大してスポーツを理解しようとする動きも認められるようになった。
こうした傾向はこれまでのスポーツ研究に変更を迫るものである。本研究所は、新しく出現しつつあるスポーツ状況に対応するため、スポーツの本質理解にかかわる研究を、哲学、歴史、社会学、文化人類学、教育学、倫理学、舞踊学など人文・社会科学の諸方法論によって多様に展開し、同時にその社会還元の実現につとめようとするものである。
研究報告
2008年度
研究報告 本年度、本研究所はジェンダーをテーマとするシンポジウムを開催した。
シンポジウムは2009年3月15日に早稲田大学小野梓記念講堂において「性とスポーツ、パフォーマンス」と題して4人のシンポジストを招き、各シンポジストが次の小テーマで報告を行った後、全体討論に進んだ。司会は研究所長の寒川恒夫が務めた。シンポジストの岡田桂氏(関東学院大学講師)は「サッカー選手のキスとホモソーシャリティー」、花柳栄輔氏(舞踊家)は「男が女になるとき」、袴田麻祐子氏(東京芸術大学・早稲田大学演劇研究センターGCOE特別研究員)は「舞台の上の少女の意味-戦前期宝塚・松竹・浅草レビュー」、杉山千鶴氏(本学スポーツ科学学術院教授)は「浅草オペラの新舞踊と股上げ踊り」の内容で問題提起をし、そのうちフロアーを交えて活発な議論が展開された。
2007年度
研究報告 本年度、本研究所は「日本人の身体」を共通テーマに、一つの研究会と一つのシンポジウムを開催した。
研究会は2007年7月6日に高田牧舎2階の早稲田大学人間総合研究センター分室で行ったもので、寒川恒夫早稲田大学教授の発表「嘉納治五郎の柔道にみる近代の身体」、七木田文彦埼玉大学准教授による発表「学校における身体管理の変遷」の後、佐々木浩雄龍谷大学専任講師司会による両発表者のディスカッション「近代日本人の身体」が行われた。
シンポジウムは2008年3月19日に早稲田大学小野梓記念講堂において、早稲田大学創立125周年記念行事として行ったものであった。「身体を考える―舞台空間における変身―」と題したシンポジウムは、日本の伝統芸能の身体性を論じることを目的とした為、シンポジストに東京大学教授で歌舞伎研究者の古井戸秀夫氏、落語家の林家さん喬氏、それにアジア民族造形文化研究所教授でアジアの民族舞踊に造詣の深い宮尾慈良氏を迎え、本研究所所長の寒川恒夫教授が司会を務め、活発な討論が展開した。林家さん喬氏の落語講演もあり、多くの聴衆で賑わった。
2006年度
研究報告 スポーツ文化研究所は、本年度、2回の研究会を西早稲田キャンパス(於人間総合研究センター分室)において開催した。
本年度の年度共通テーマ「身体の文化」を「近代日本を形成した身体」に特化して、研究発表と討論が展開された。第1回は、2006年7月7日で、本研究所研究員の佐々木浩雄氏が明治に流行した呼吸健康法について、同じく研究員の小坂美保氏が西欧式近代庭園たる日比谷公園が近代日本人の行動変容に与えた影響について発表した。第2回は12月22日で、埼玉大学教授の大保木輝夫氏を招き、剣道の身心技法について、また本研究所研究員の志々田文明氏からは柔術・合気道の身体技法について発表を得、客員研究員の岡田桂氏(関東学院大学専任講師)を含め、石井昌幸研究員を司会として、近世から近代への過渡期における日本人の近代身体の形成について討論された。学内外から多々の参加者を得て、盛会であった。本年度の研究成果は最終年度の報告書としてまとめることが予定されている。
2005年度
研究報告スポーツ文化研究所は、本年度、定例の研究会のほか、中国福健省厦門の集美大学と共同主催して国際シンポジウムを開催した。
開催は昨年度より準備がなされたもので、2005年9月2日〜6日の間、集美大学キャンパスにおいて実施された。テーマは「21世紀の民族スポーツ」であり、日本からは教員・院生・学生を合わせて15名が参加し、台湾から教員8名、中国から教員35名が参加した。招待講演と個別研究発表につづき、「21世紀における民族スポーツの現状と展望」と題する討論会が円卓形式でもたれ、活発な議論が展開された。シンポジウムの成果は報告書としてまとめられ、2006年度中に配付されることになっている。
シンポジウムを通して、1)民族スポーツの文字記録化と映像記録化、2)研究者の育成、3)研究者の相互交流と組織化の必要性が説かれ、その解決のため、当面は東アジアについて同様のシンポジウムを継続していくべきことが確認された。
2004年度
研究報告 スポーツ文化研究所は本年度、定例研究集会を3度、本部キャンパスと所沢キャンパスとにおいて実施した。第1回は7月24日、14号館516教室にて、岡田桂助手が性文化とスポーツについて問題提起を行った。第2回は10月27日、100号館302教室にて、志志田文明教授が武道の礼法にみる日米文化差について講演した。第3回は11月24日、100号館302教室にて、渡辺昌史助手が日本の植民地政策とスポーツの問題を台湾について論じた。それぞれ大学内外の多数の参加者を得て、盛会であった。
このほか、次年度(2005年度)の活動として中国福建省アモイ市の集美大学と共同シンポジウムを開催することとなり、そのための打ち合わせのため、研究所長の寒川恒夫教授が12月に訪中した。打ち合わせの結果、当研究所と集美大学との共同主催によって、「21世紀におけるアジアの民族スポーツを展望する」のテーマのもと、2005年9月2日?6日の間、集美大学国際会議場にてシンポジウムを開催すること、開催に関わる準備は集美大学側が主体となっておこなうこと、日本と中国以外に韓国、台湾、ドイツ、ロシア、アメリカ等の研究者に講演依頼の招待状を発送すること等が取り決められた。
所長
寒川 恒夫[そうがわ つねお](スポーツ科学学術院教授)
メンバー
研究員
寒川 恒夫(スポーツ科学学術院教授)
志々田 文明(スポーツ科学学術院教授)
友添 秀則(スポーツ科学学術院教授)
トンプソン リー A.(スポーツ科学学術院教授)
杉山 千鶴(スポーツ科学学術院教授)
石井 昌幸(スポーツ科学学術院准教授)
吉永 武史(スポーツ科学学術院専任講師)
高橋 京子(オープン教育センター助教)
高井 昌吏(スポーツ科学学術院助手)
客員研究員
田里 千代(天理大学)
岡田 桂(関東学院大学文学部講師)
瀬戸 邦弘(サイバー大学世界遺産学部助教、早稲田大学人間科学部通信課程教育コーチ)
菱田 慶文(台東区立浅草中学校スクールパートナー(学校教育相談))
田井 健太郎(東京医科歯科大学教養部非常勤講師、電機通信大学電機通信学科非常勤講師)
鈴木 みづほ(早稲田大学人間科学部eスクール教育コーチ)
一階 千絵(福岡女子大学文学部助手)
連絡先
早稲田大学スポーツ科学部
寒川 恒夫研究室