実験経営学研究所【活動終了】
Center for Experimental Management
【終了】2007~2008年度
研究テーマ
不確実性が高い21世紀においては、仮説を検証して事業を推進する方法論の普及が必要になっているが、その方法論の体系化が確立されていない。体系化の推進は、物理学における実験物理学の果たしている役割と同じように経営学に実験経営学の位置づけをすることにより、実験経営学の確立に挑戦する。
研究概要
不確実性の高い21世紀における経営手法の開発とその応用に取り組んでいく。 超競争社会の出現は、プロダクトライフサイクルの短縮、新規事業の成功確率の低下、不確実性の高さ、など諸問題を引き起している。本研究の成果をこれらの問題の解決方法として提案する。そのために、第一に、実験系自然科学で取り入れられている実験科学の仮説検証の方法論をモデルにして、実験経営学体系の確立に取り組んでいく。 第二に、新規事業における初期仮説の精度の低さから仮説をマネジメントする方法を実際のマネジメントに取り組んでいく。第三に、実際の経営において、直感が大きな役割を占めているが、いまだにその役割は不明確である。直感をいかに仮説に結びつけるかなどを体系化していく。 第四に、新規事業用に開発されている色々な方法論が、不確実性の高い経営環境において既存事業の方法論として利用できる可能性が出てきているので、新規事業と既存事業の方法論が一つの体系に利用できるようにする。
研究報告
2007年度
研究報告1.不確実性下における研究開発プロジェクトの評価方法について、以前に開発したSTAR法をより簡易化することに研究会を京都で月一回のベースで開催しました。 ハイテク企業5社の開発プロジェクトを簡易版と従来版とで評価して、比較検討しました。それ結果、250ある質問数を半分近くにしてもあまり問題がないのではないかということがわかりました。いかに少ない質問で開発プロジェクトの事業化の可能性を正確に捉えることができるかどうか、まだ結論が出ていません。3月からハイテク2社に依頼して、開発プロジェクトを簡易版でさらに評価してもらっています。
2.不確実性のレベルの問題で、不確実性を2種類に分類し、理解不確実性(自分たちが理解していないため)と絶対不確実性(誰も理解していない)し、さらに絶対不確実性を4つのレベルに分類しています。どのような結果が出るかまったくわからないレベル(レベル4)、ある方向はわかるレベル(レベル3)、数種類の結果がわかるレベル(シナリオ分析ができるレベル2)、触れ幅がわかるレベル(レベル1)と4つのレベルに分けています。いま、開発プロジェクトの不確実性のレベルを限定する質問紙が出来上がり、ハイテク2社に依頼して、プロジェクトの絶対不確実性の評価をしてもらっています。STAR法の不確実性の回答(主に研究者が回答している)と絶対不確実性の回答(主に経営企画や研究企画者が回答している)の違いをどのように解釈するかまだ解明できていない。
3.不確実性下にビジネスモデルをどのように構築していくかについて、数字だけをベースに作り上げていくような方法ではなく、もっと直感に基づくDesign Thinking の方法を取り上げていこうとしています。7月からビジネスデザインというような呼び方で、技術シードを事業化するプロセスを教えるようなプログラムを企画しています。10月には京都で今日と高度技術研究所を共同して、Design Thinking のセミナーが開けるか現在進行中です。STAR法を利用して、商品デザインに利用している九州大学の教授との会議を5月に開く計画をしています。
所長
大江 建[おおえ たける](商学学術院教授)
メンバー
研究員
大江 建(商学学術院教授)
並木 秀男(教育・総合科学学術院教授)
松本 充司(大学院国際情報通信研究科教授)
永井 猛(商学学術院教授)
客員研究員
駒林 正士(三菱マテリアル?開発部門開発企画室副室長)
更田 誠((財)京都高度技術研究所)
Vilcovsky, Salvador Nissi(Advanced Projects Ltd.CEO)
連絡先
19号館821号室大江研究室
大江 建
E-mail:[email protected]