健康医科学研究所【活動終了】
Health Medical Science Institute
【終了】2004~2007年度
研究テーマ
「健康」、「Well-Being」および「QOL(生活の質)」をキーワードとする総合的な健康医科学の創成
研究概要
近年の疾患構造は急性疾患から生活習慣病をはじめとする慢性疾患へと移行しており、先端医療と同時にライフスタイルの変容という行動科学的対処の両面が重要である。したがって、本研究所では基礎医学と臨床医学および行動科学の連携による総合的な健康医科学の創成を目的とする。
研究報告
2007年度
研究報告1.研究活動
実験は2006年度で終了したため、2007年度は研究成果を国際学会やシンポジウムで発表した。
2.成果発表
・Experimental Biology 2007
(2007年4月28日〜5月2日、Washington Convention Center, Washington, DC)
・第15回日本運動生理学会大会
(2007年7月25日〜27日、弘前市ホテルニューキャッスル)
2006年度
研究報告1.研究活動
成人男性を被験者とし、無作為にプラセボ群と高濃度茶カテキン群に割り付けた。被験者は自転車エルゴメータを用いて最大酸素摂取量の60%強度、1回60分、週3回、10週間の持久性トレーニングを行った。この期間中、被験者は各試験飲料(プラセボ群:0 mg 茶カテキン/340 ml;高濃度茶カテキン群:584 mg 茶カテキン/340 ml)を毎日1本摂取した。また、持久性トレーニングの前後において、自転車エルゴメータを用いて90分間の運動試験を行い、運動中の代謝応答および血中ホルモン動態について評価した。
その結果、高濃度茶カテキンの摂取は、運動時の主要なエネルギー源の一つである糖質の利用を著しく低下させた。一方、高濃度茶カテキンの摂取は、運動時の脂肪分解反応、最大酸素摂取量、および換気閾値の変化に影響を及ぼさなかった。
以上の結果から、持久性トレーニング期間中の高濃度茶カテキンの摂取は体内に貯蔵されている糖質(筋および肝グリコーゲン)の枯渇を遅らせる点で、長時間運動時のパフォーマンスの改善に貢献する可能性が示唆された。
2.成果発表
・文部科学省学術フロンティア研究プロジェクト
「ライフステージに応じた健康増進と多様性維持プロジェクト」第1回研究会
(2006年12月27日〜28日、早稲田大学国際会議場)
・第84回日本生理学会大会
(2007年3月20日〜22日、大阪国際交流センター)
2005年度
研究報告1.研究活動
某企業からの委託により、茶カテキン摂取によるヒトの脂質代謝および運動機能に及ぼす影響、および肥満、糖尿病などの生活習慣病の予防効果について、以下の2つの研究を行っている。
(1)運動トレーニングと茶カテキン摂取を組み合わせた場合の持久性運動能の変化についてのヒトを対象にした検討。運動トレーニングのみの場合と比較して、運動トレーニングと並行して茶カテキンを摂取すると、脂肪分解反応の亢進によってエネルギー基質としての遊離脂肪酸の動員がさらに促進し、持久性運動能が著しく改善されることが期待される。
(2)標識脂質を用いた脂質動態解析手法の確立。運動時のエネルギー源として重要な脂肪酸の体内動態を、標識脂質を用いて解析することを目的としている。
心筋や運動負荷時の骨格筋は、脂肪酸のβ酸化によるATP産生に大きく依存している。茶カテキンのヒトにおけるβ酸化の増加効果を確認できることが期待される。
2.講演・普及活動
・第12回日本行動医学会学術総会
(2006年3月18・19日、於早稲田大学国際会議場)の共催
所長
野村 忍[のむら しのぶ](人間科学学術院教授)
メンバー
研究員
野村 忍(人間科学学術院教授)
今泉 和彦(人間科学学術院教授)
辻内 琢也(人間科学学術院准教授)
鈴木 克彦(人間科学学術院専任講師)
客員研究員
清水 弘行(群馬大学講師)
小暮 敏明(群馬大学医学部教授)
和泉 孝志(群馬大学大学院教授)
連絡先
早稲田大学人間科学部 野村 忍 研究室
Email: [email protected]