Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

先史考古学研究所【第Ⅰ期】
Institute of Prehistoric Archaeology

【終了】2001~2006年度
過去の研究所活動はこちら

研究テーマ

日本を中心として、世界各地の先史時代の文化と社会を研究し、文化・社会の生成、発展と変遷について、人類史的視点から考究する。

研究概要

世界の旧石器時代、新石器時代の文化・社会を研究し、特に狩猟採集や農耕・牧畜と言った経済的指標に加えて、社会的発展の様相について研究することを目的としている。従来見落とされてきた「社会」を考古学的方法により明らかにするためには、人類史的社会発展モデルの中で正当に位置付ける学問的操作が必要とされる。そのためには、現代に残る自然社会の民族誌との比較研究を重要視している。
 社会とは人と人、人と集団、集団と集団が取り結ぶ諸関係を包括したものであり、人間が自ら作り出した制度や組織であり人為的環境に他ならない。縄文時代の社会は、現在進行形の状態で観察できるものではない。数千年前に過ぎ去った過去の社会であり、それを遺構や遺物に形を変えた行動や活動の痕跡から読み解く必要がある。縄文社会と、遺跡から窺える事実関係とを架橋するために、理論的研究が必要である。考古学ではこれをミドルレンジセオリーと呼ぶが、原生の民族誌を参照し、それとの理論的比較作業を通じて先史社会を明らかにする計画である。

研究報告

※先史考古学研究所
2006年12月01日〜2011年09月30日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=U7&kbn=0&KikoId=01

2005年度
研究報告2005年度は、本研究所が重点をおく日本先史時代の社会について、さらに研究活動を拡拡充した。本年度の主な研究活動は以下の3点である。
(1) 縄文時代の土器生産・流通システムを研究する上で必要な情報を得るために、8月13日から同20日にかけて、パプア・ニューギニアの東端部にあるミルン・ベイ地方のヤバム島において土器生産に関する民族誌調査を実施した。土器型式がどのように形成されるのか、またそれがどのように流通・分布するのかについて調査研究した。
(2) 縄文時代、弥生時代の社会の複雑化、階層化に関する理論的研究を推進する上で必要な民族誌、考古学上のデータを得るために、8月1日から同10日までの間、米国でも最も典型的な「首長国」として定義されるミシシッピ文化遺跡を実地に訪れ、文化や社会のあり方、威信財と階層化の程度について調査し、理論的根拠と考古学上の具体的は表出形態について検討した。
(3) 11月12日(土)、13日(日)の2日間に渡り、早稲田大学において、「縄文社会をめぐるシンポジウム?」を、東京大学考古学研究室の安斎正人博士と共同で開催した。今回のテーマは「縄文中・後期の物質文化―その社会的意味―」であった。2日間で計9名の研究者が研究発表をし、のべ200名強の参加者を得た。
2004年度
研究報告2004年度は、研究の柱として縄文社会の複雑化、階層化過程についての研究を推進することに主眼をおいて、主に以下の3つの調査活動を行った。
(1)民族史調査
縄文社会の性格と複雑化・階層化の様相について理論的に研究するために、同程度の文化発展段階にあると目される北米北西海岸部のネイティブ・ インディアンの民族誌を調査した。カナダのクイーン・シャーロット島にはかつてハイダ族の居住した集落跡が多数残り、 200年ほど前の廃屋やトーテムポールが残されている。8月2日〜10日の日程で、同島に残されたニンスティンツ遺跡やスケダン遺跡、 タヌー遺跡等を巡検してこれらの遺跡景観、集落構成と家屋規模、家屋構造などについて調査し、自然資源に立脚しながらも親族組織を 基盤にして首長を戴く階層化社会を達成した文化・社会の様相について研究した。 その成果は同じく狩猟採集活動に基づく獲得経済段階にとどまった縄文社会の複雑化、階層化を考える上で大変重要な情報を提供してくれた。
(2)縄文社会の複雑化と階層化に関するシンポジウムの開催
 2004年10月2日、3日、早稲田大学文学部において『縄文社会をめぐるシンポジウム?』を、東京大学安斎正人氏と開催した。 また2004年12月4日に、シルクロード研究所、比較考古学研究所と先史考古学研究所が合同で『考古学からみた社会の複雑化』というテーマで シンポジウムを開催した。ここでは社会の複雑化過程を考古学ではどのように扱うかについて広い視野から検討し、高橋 はパプア・ニューギニアでの調査研究の成果をもとに、未開社会の生業と社会構造について研究発表した。さらに客員研究員の小林圭一、佐々木由香、細谷葵、金子昭彦、鈴木正博はそれぞれの専門分野から 研究発表を行った。 研究成果は同成社から『社会考古学の試み』(2005年3月)として刊行された。
(3)千葉県戸ノ内貝塚の発掘調査
社会階層化の理論的研究を実際の遺跡例で検証するために、 千葉県印旛村に所在する戸ノ内貝塚を発掘調査した。

所長

高橋 龍三郎[たかはし りゅうざぶろう](文学学術院教授)

メンバー

研究員
高橋 龍三郎(文学学術院教授)
菊池 徹夫(文学学術院教授)
岡内 三眞(文学学術院教授)
近藤 二郎(文学学術院教授)
寺崎 秀一郎(文学学術院助教授)

客員研究員
金子 昭彦(岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター文化財調査員)
小林 圭一(山形県埋蔵文化財センター主任調査研究員)
鈴木 正博(自由業)
中沢 道彦(長野県長野地方事務所主任)
細谷 葵(早稲田大学オープン教育センター非常勤講師)
佐々木 由香(株式会社パレオ・ラボ)

連絡先

早稲田大学文学学術院
高橋龍三郎研究室
Email:[email protected]

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