Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

水稲文化研究所
Research Institute of Paddy Culture

【終了】2000~2016年度
過去の研究所活動はこちら

研究テーマ

東アジアにおける水稲文化全般の研究

研究概要

東アジアの歴史において水稲耕作は、きわめて重要な意味を持つ。水稲耕作の普及が、社会形成の上で、大きな役割を果たしたことは、日本を例にとっても、弥生時代の開始、水田およびそこから収納される米を行政の基盤としたその後の国家の歴史から明らかである。この研究所においては、 ?水田形成の歴史と、 ?水稲が育んできた文化、に焦点をあて研究するものである。

まず、?であるが、大別して 沖積平野におけるものと、 山間地域におけるものがある。前者においては大河川の氾濫原に位置するもので、インダス川やメコン川や長江などをあげることができるであろう。これらの地域では古来、国家的な治水事業とともに水田の維持が図られてきたが、現代においても国家的なプロジェクトとして開発計画が立てられている。これに対して後者の山間地域に属するものは、地域の農民の長年にわたる努力によって切り開かれたもので、棚田と呼ばれる景観を呈している。近年、環境的な視点から棚田の見直しが図られ、フィリピンのイフガオ地方では、世界遺産として登録されるに至っている。以上のように沖積平野においても山間地域においても 水田の歴史は社会状況と密接に関わっているが、その形成については多くの謎があり、それらの解明は人類史および人類が生き残りを図る上での大きな課題である。

次に、? であるが、広義には水稲耕作が普及して以降のその地域におけるすべての文化を含むものであろう。しかし、それはあまりに広大であり、ここでは、 水稲耕作周辺の民俗行事に限定しておきたい。日本では、「田遊び」、「御田植え祭り」等の行事が該当するが、アジア一帯に広く同様な祭礼が存在する。また、収穫祭に関連して、神事として新米による酒造りが行われるところもあり、十分な調査を行う必要があろう。

以上のような水田景観およびそこで培われた文化は、近年の全アジア的な農村の疲弊によって危機に瀕しているといっても過言ではない。その保存をどのようになすべきかも大きな課題となる。

研究報告

※水稲文化研究所
2007年04月01日〜2012年03月31日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=W7&kbn=0&KikoId=01

2006年度
研究報告 本年度も科学研究費基盤A「東アジア村落における水稲文化の儀礼と景観」(研究代表者海老澤、2004年度より継続)の共同研究を進めるとともに、21世紀COEプログラム「アジア地域エンハンシング研究センター」の一翼として活動し、充実した成果を得ることができた。3月20日に刊行した『講座水稲文化研究? ジャポニカの起源と伝播/伊予国弓削島荘の調査』(A4判、255頁)にその成果が示されている。内容は、?2005年度に行ったシンポジウム「ジャポニカの起源と伝播」の各報告を論文化したもの、?2006年度に実施したカンボジア調査、?愛媛県上島町に所在した東寺領弓削島荘の調査、の以上三つを含んでいる。?は2005年10月29日に開催したもので、この年の3月に実施した先島諸島の調査成果を踏まえたものであり、?は2006年8月に実施したカンボジア調査に関するものである。?の東寺領弓削島荘は、「塩の荘園」として著名であり、海運と非農業生産が注目され、既に多くの研究が積み重ねられてきたが、鎌倉時代初頭から存在が確認される水田については、今まで十分には論じられてこなかった。今回、資料の新発見と図化作業のデジタル化が進展したことにより、新たな成果を生み出すことができた。
2004年度
研究報告 本年度から4カ年計画で科学研究費基盤研究A2「東アジア村落における水稲文化の儀礼と景観」の調査を進めている。今年度選んだフィールドは、主に弓削島とバリ島(インドネシア)であった。東寺領荘園である伊予国弓削島荘については、詳細な地図作製の前段階的な作業を行い得た。現地景観を確認し、地形図に盛り込むべき文献資料の詳細な検討を行った。バリ島については、東部バサンアラス村の灌漑組織(スバック)に関する報告書の翻訳を行い、また、村の儀礼についての現地調査を行った。デンパサールにある国立ウダヤナ大学との提携により新たに13冊のスバック報告書を入手することができ、その中からアユン川の灌漑に関わる「モノグラフィ・スバックテマガ」を基軸にして今後調査を行うべく、準備を進めることができた。11月にシンポジウム「古代・中世仏教寺院の水田開発と水稲文化」を開催し、その成果をまとめて『講座水稲文化研究? 古代・中世仏教寺院の水田開発と水稲文化』を刊行した。また、紀ノ川流域研究会との共同調査により、『紀伊国相賀荘地域総合調査』をまとめることができた。

所長

海老澤 衷[えびさわ ただし](文学学術院教授)

メンバー

研究員
海老澤 衷(文学学術院教授)
堀口 健治(政治経済学術院教授)
新川 登亀男(文学学術院教授)
深谷 克己(文学学術院教授)
岡内 三眞(文学学術院教授)
西村 正雄(文学学術院教授)
紙屋 敦之(文学学術院教授)
高橋 龍三郎(文学学術院教授)
久保 健一郎(文学学術院助教授)
鶴見 太郎(文学学術院助教授)
和田 修(文学学術院助教授)

客員教員(非常勤)
河合 徳枝(客員教授/国際科学振興財団主任研究員)

客員研究員
服部 英雄(九州大学大学院比較社会文化研究科教授)
八木 玲子(国立精神・神経センター神経研究所流動研究員)

連絡先

早稲田大学文学部
海老澤研究室
〒162-8644
東京都新宿区戸山1−24−1
Email: [email protected]

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