「個人として世界で戦える選手の育成を目指す」
競走部の新駅伝監督として花田勝彦氏(1994年・人間科学部卒業)が6月1日付けで就任しました。相楽豊前駅伝監督は引き続きチーム戦略アドバイザーとして、花田駅伝監督と共に部員の指導に当たります。
2日、花田・相楽両氏は早稲田キャンパス・大隈会館で就任記者会見に臨み、花田駅伝監督は「母校の駅伝監督を拝命し、光栄に思っております。多くの早稲田ファンの期待に応えられるようなチーム作りをしていきたいと思っております」、相楽チーム戦略アドバイザーは「コーチ時代から含めて17年間、チームを見てきました。花田駅伝監督と共に、令和版の強くて魅力がある早稲田大学競走部というものを作っていきたい」と、それぞれ抱負を語りました。
GMOインターネットグループ・アスリーツ監督を退任した後、競走部OBの瀬古利彦氏(日本陸連副会長、1980年・教育学部卒)から声を掛けられて、一緒に競走部の練習を見に行ったことがきかっけとなって就任したという花田駅伝監督。相楽チーム戦略アドバイザーが学生の時から交流があり、お互いが指導者となった後も「一緒にチームを盛り上げていく機会が将来的にあればいいな」と語り合っていたという仲でした。
「駅伝でチームを強くしていく以上に、個人として世界で戦える選手を育成したい。文武両道の早稲田らしい、競技者としてだけでなく社会人としても通用する選手の育成を目指します」と、共に誓った花田・相楽新旧両監督。「タスキを受け取る“交代”ではなく、一緒に持って共に取り組んでいく」ということを強調した新コンビが、「強い早稲田」を再び見せてくれることを期待しています。
フルマラソンもトライさせたい 花田駅伝監督
「メディアでは『花田さん予選会は得意』などと言われることがありましたが、上武大学で12年間、箱根駅伝を目指してチーム作りをしてきましたので、そのノウハウはあるかなと思っています。そこは生かしつつも、やはり駅伝は非常に高速化していますので、いろいろなものをミックスしながら、予選会を確実に通るようなチーム作りをしていきたいなと思っています。GMOに限らず、上武大学での12年間というのは能力が高いとはいえない選手、いわゆる早稲田で言う一般入試組のような選手をコツコツ育てていって、下から上に上げていくという指導ができました。逆にGMOではトップレベルの選手をさらにトップに引き上げるという指導を求められていました。早稲田はその真ん中ぐらいでしょうか ? GMOと上武大学で、いい意味で上と下の両方の指導ができましたので、私自身は本当にいい経験を積めたと思います。早稲田ではもちろん駅伝、そしてトラックやハーフマラソンの強化が中心になると思うのですが、本当に学生にやる気があって、チャンスがあれば、ぜひフルマラソンにもトライさせたいと思っています」
プロフィール
生年月日:1971年6月12日(京都府京都市生まれ、滋賀県出身)
専門種目:長距離、駅伝、マラソン
所属:滋賀県立彦根東高等学校→早稲田大学(1994年卒)→エスビー食品株式会社→上武大学→GMOインターネット株式会社
略歴:
2004年-2016年上武大学ビジネス情報学部准教授/駅伝部監督
2010年-2015年都道府県対抗男子駅伝群馬県チーム監督
2014年-2016年日立物流陸上部外部コーチ
2016年-2022年GMOインターネットグループ・アスリーツ監督
2022年-早稲田大学競走部駅伝監督
戦歴:
〈自己記録〉
5000m13分23秒49
10000m27分45秒13
ハーフマラソン1時間1分44秒
マラソン2時間10分02秒
〈主な成績〉
1993年:箱根駅伝4区区間賞(区間新記録)*早大は総合優勝
1994年:日本選手権5000m優勝
1994年:広島アジア大会5000m日本代表
1996年:アトランタ五輪10000m日本代表
1997年:アテネ世界陸上マラソン日本代表
2000年:シドニー五輪5000m・10000m日本代表(10000m予選通過/決勝15位)
2001年:大阪東アジア大会10000m金メダル
監督7年間の思い出 相楽豊チーム戦略アドバイザー
「監督7年間の思い出を挙げるときりがないのですが、直近でインパクトがあった出来事は今年5月にあった日本選手権の1万メートルです。駅伝3冠を達成した後、日本選手権(※日本陸上競技選手権大会)に長距離の選手が1人も出られない年がありました。日本一を目指すチームの中で、日本のトップを争う日本選手権に出る選手がいないというのは早稲田らしくないと感じました。駅伝で勝つことも重要ですが、やはり強い“個”を考えた時、日本選手権で活躍する選手を育成したいと思いました。1万メートルには、現役の井川龍人(スポーツ科学部4年)と卒業生4人(太田智樹選手、清水歓太選手、武田凜太郎選手、中村信一郎選手)の選手が出場しました。現役と卒業生が肩を並べて競うという姿を見た時が、日本のトップを目指ざす道というものが、現役部員時代から卒業したあとまで繋がっているなと感じられた出来事であり、一番印象に残っています」
※)大学生のみが出場する「インカレ」ではない、実業団所属選手が出場する、学生・社会人を含めた真の日本一を決める国内最高峰の陸上競技大会。
プロフィール
生年月日:1980年5月2日(福島県郡山市出身)
専門種目:長距離、駅伝、マラソン
所属:福島県立安積高等学校→早稲田大学(2003年卒業)→競走部コーチ→同部駅伝監督
略歴:
2005年‐2015年 早稲田大学競走部コーチ ※2010年~2011年コーチとして大学駅伝三冠を達成
2015年‐2022年 早稲田大学競走部駅伝監督
主な指導選手:
大迫傑(東京オリンピック男子マラソン6位 ※コーチとして指導)、清水歓太(SUBARU、1万m日本歴代7位 27:31.27=2022年3月)、太田智樹(トヨタ自動車、1万m日本歴代8位 27:33.13=2021年11月)、中谷雄飛(SGホールディングス、1万m 27:54.06=2020年12月)、太田直希(ヤクルト、1万m 27:55.59=2020年12月)、井川龍人(スポーツ科学部4年、1万m 27:59:74=2021年4月)
その他トピックス:
・進学校出身(鹿児島・鶴丸)で指定校推薦組の山口賢助を28:20:40ランナーに育成
・2021年度、1万m27分台のランナーが同一大学に3名在籍したのは史上初
戦歴:
◆現役学生の日本選手権・中長距離種目出場者
2015年度:日本選手権1名出場 5000m(平和真)
2016年度:日本選手権2名出場 1500m(齋藤雅英・飯島陸斗)
2018年度:日本選手権1名出場 1500m(半澤黎斗)
2019年度:日本選手権2名出場 1500m(飯島陸斗)、3000mSC(吉田匠)
2020年度:日本選手権3名出場 5000m(小指卓也)、10000m(中谷雄飛・太田直希)
2021年度:日本選手権6名出場 1500m(石塚陽士)、5000m(千明龍之佑・伊藤大志)、3000mSC(菖蒲敦司・諸冨湧)、10000m(井川龍人)
2022年度:日本選手権1名出場 10000m(井川龍人)
◆大学三大駅伝
選手時代:
2000年:箱根駅伝 5区11位(総合6位)、2002年: 6区8位(総合3位)
駅伝監督:
2015年度:高田康暉・駅伝主将(出雲6位、全日本4位、箱根4位)
2016年度:平和真・駅伝主将(出雲8位、全日本2位、箱根3位)
2017年度:安井雄一・駅伝主将(出雲9位、全日本7位、箱根3位)
2018年度:清水歓太・駅伝主将(出雲10位、全日本15位、箱根12位)
2019年度:太田智樹・駅伝主将(出雲出場なし、全日本6位、箱根7位)
2020年度:吉田匠・駅伝主将(出雲中止、全日本5位、箱根6位)
2021年度:千明龍之佑・駅伝主将(出雲6位、全日本6位、箱根13位)
会見詳報は以下、早稲田スポーツ新聞会の記事をご覧ください。
早稲田大学競走部 花田勝彦新駅伝監督就任記者会見 6月2日 早稲田大学大隈会館
花田新駅伝監督就任 相楽前駅伝監督はチーム戦略アドバイザーに
【2022.06.02早稲田スポーツ】記事 及川知世、加藤志保 写真 芦沢拓海
6月1日付けで競走部の駅伝監督に就任した花田勝彦氏(平6人卒=滋賀・彦根東)。その就任会見が2日、早稲田大学大隈会館にて行われた。会見には、花田新駅伝監督と相楽豊前駅伝監督(平15人卒=福島・安積)が登壇。順に就任の経緯や、今後担う役目などを説明した。→続きを読む