メコン地域開発とアジア・ダイナミズム(終了済)
ASEAN後発国発展の政治経済学的研究
概要
メコン河流域経済圏(The Greater Mekong Sub-region (GMS): カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ及び中国南部各省)の多くの国・地域は1980年代までは戦争、紛争が絶えずアジアの経済発展から取り残された地域であったが、1990年代に入り地域的和平が劇的に進むと経済発展の期待が生まれてきた。アジア開発銀行(ADB)などの国際機関や日本を中心にした諸国がこの地域の開発に関与してきており、2011年からのミャンマーの民主化の進展でさらなる注目を集めている。この地域の経済発展はASEAN域内での国際分業、あるいは東アジア域内での国際分業と密接につながっており、ASEAN経済共同体や東アジア共同体といった、地域としての経済発展構想にも大きな役割を果たすものと期待される。
これまでの研究成果を見ると、メコン地域における各国の開発状況あるいは道路・港湾などの物流・インフラ整備に関する分析はなされているが、経済特区などの生産拠点の分析、地域の生産の担い手となる外国企業・地場企業の戦略と発展の分析、人的資本の形成と労働移動の分析を踏まえた複合的研究はなされていない。本プロジェクトでは、メコン河流域経済圏(GMS)における後発国と先発国の格差是正の課題と方策をGMS及び東アジアの経済ダイナミズムを踏まえて、学際的・包括的に分析することを目的とする。
本プロジェクトにおいては、①東アジア・ダイナミズムの視点からのメコン地域開発課題の探索、およびキャッチアップ条件の分析枠組の構築、に加えて②経済区・工業団地、③交通インフラ整備、④企業戦略・発展、⑤人的資本形成・労働移動の各ファクターに焦点を当てて、経済的・政治的側面から上記課題を分析する。
構成メンバー
- 代表者:トラン・ヴァン・トウ
- 兼任研究所員:山田満、苅込俊二
- リサーチアシスタント:阿部和美(社会科学研究科博士課程)
設置期間
2016年3月1日~2018年3月31日