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【開催報告】第5回 日中韓カーボンニュートラル目標フォーラム

【開催報告】第5回 日中韓カーボンニュートラル目標フォーラム
Posted
Tue, 19 May 2026

 2026年5月13日、第5回日中韓カーボンニュートラル目標に向けてのフォーラムが早稲田大学・小野記念講堂で開催された。本フォーラムは、日中韓三国協力事務局(TCS)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、早稲田大学先端社会科学研究所の共催により実施された。「人口構造の変化とカーボンニュートラル」をテーマに、専門家や活動家が一堂に会し、政策立案および草の根レベルにおける気候変動対策の事例を共有した。

 開会挨拶において、TCS事務局長の李熙燮(LEE Hee-sup)氏は、中国、日本、韓国が世界の高齢者人口の約30%を占めており、高齢者は気候変動の影響をとくに受けやすい存在であることを指摘した。そのうえで、気候政策はこうした特有のニーズに対して、より包摂的かつ的確に対応する必要があると強調した。また、第9回日中韓サミットで示された現在の取り組みについて紹介した。さらに、本フォーラムのテーマは、4月に開催されたESCAP第82回総会の直後に位置づけられるものであり、同総会においてTCSがUNESCAPと覚書(MOU)を締結したことからも、時宜を得たものであると述べた。

 早稲田大学社会科学総合学術院長の佐藤洋一教授は、開会挨拶において、環境、経済、福祉など、現代的課題の複雑性を示した。そのうえで、本フォーラムは、研究、政策、実践が交差する双方向的なプラットフォームであり、学術的知見が単なる理論にとどまるのではなく、社会へと共有される一例であると説明した。早稲田大学におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、2021年の「WASEDA Carbon Net Zero Challenge」および2022年の「早稲田大学カーボンニュートラル社会研究教育センター」の設立について紹介した。

 UNESCAP事務局長のアルミダ・サルシア・アリスジャバナ(Armida Salsiah Alisjahbana)氏は、オンラインで開会挨拶を行い、気候変動が高齢化する人口および持続可能な開発戦略にどのような影響を及ぼすのかについて、統合的な理解を深める必要性を強調した。また、日中韓三国協力は、これら二つの課題に関する連携を主導し、持続可能な開発を公正かつ社会的責任あるものとするうえで、戦略的な役割を果たす機会を有していると述べた。

 開会挨拶に続き、国連事務総長気候行動担当特別顧問兼気候行動チーム事務次長補のセルウィン・チャールズ・ハート(Selwin Charles Hart)氏による基調講演の録画が上映された。ハート氏は、東アジアにおけるカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーへの移行を加速させる必要があると訴えた。中国、日本、韓国が産業分野においてクリーンエネルギーの導入を進めてきた成果を評価する一方で、エネルギー転換が一部の国に集中している現状を踏まえ、三カ国は他国を支援し、協力していく必要があると強調した。

 フォーラムは2つのセッションに分けて実施された。セッション1では、学術界の政策専門家が、人口高齢化とカーボンニュートラルの接点に関する最新の研究成果を共有し、気候危機が高齢者の健康、貧困、人権に及ぼす影響について分析した。さらに、各国のNDCs(国が決定する貢献)が、さまざまな年齢層のニーズをより適切に反映するためにはどのような対応が求められるかについて、それぞれの見解を示した。

 セッション2では、NGOや研究機関の関係者を招き、高齢化社会におけるカーボンニュートラルの実現に向けた包摂的な解決策について、それぞれの取り組みが共有された。登壇者は、年齢にやさしいコミュニティの促進や、気候変動対策に向けた世代を超えた連帯の形成に関する各団体の活動を紹介した。

 討論では、登壇者が参加者と意見を交わし、特に高齢化と脱炭素化に対応するうえでの、分野横断的および国境を越えた協力のあり方について活発な議論が行われた。