LSでのさまざまな人との交流と、そこで得られる情報を就活にも活かそう!

- 2005年
- 国際基督教大学教養学部社会科学科卒業
- 2009年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]
- 2012年
- 法務研究科修了/司法試験合格/新66期司法修習生
- 現在
- 弁護士登録/旬報法律事務所に勤務
ご自身の就職活動を振り返り、その流れについて教えてください。
自分が年齢的に決して若くなく、就職活動は厳しいものになると予想されたため、1年次の夏頃から就職活動を意識していました。
知り合いの先輩方に依頼して、就職活動や勤務先の事務所の情報を教えてもらいましたが、就職活動は予想以上に厳しく、司法試験の受験が終わった後すぐに企業法務を扱っている複数の事務所に応募しましたが、書類選考で落ちる日々が続きました。
その後、自分がロースクールに入学する前から労働問題に関心があったため、労働者側で労働問題に取り組める良い事務所を教えていただけないかと労働法の教授に相談したところ、2つの事務所を紹介していただきました。そのうちの1つが現在勤務している事務所です。教授の紹介はありましたが、選考は通常通り行われ、集団面接が1回、個人面接が1回、懇親会が1回行われ、1月中旬に内定をいただきました。
就職情報はどうやって収集されていましたか。
就職情報を収集するためにジュリナビに登録してはいましたが、結果的にはほとんど利用していませんでした。
今振り返れば、就職活動において最も重要な情報源はロースクールの先輩や教授でした。在学中からそういう方々と積極的に交流をもつことによって、実際に就職活動にのぞむ際に、法律事務所の評判や求人といった情報を入手したり、履歴書の内容の確認を依頼したりすることができました。
就職のために、在学中に取り組んだことはありますか。
また、その取り組みが就職活動や現在の仕事にどう影響しましたか。
将来の就職を見据えて、2年次の夏には、ロースクールが提供するプログラムとしてのエクスターンシップを履修し、また、自己開拓した法律事務所において自主的なエクスターンシップも行いました。
プログラムで行ったエクスターンシップ先の事務所は、企業法務だけでなく一般民事や家事事件など幅広い分野を取り扱う事務所でしたが、他方、自己開拓で行ったエクスターンシップ先の事務所は、刑事事件というひとつの分野を専門とする事務所でした。
このような、さまざまなタイプの事務所でエクスターンを行い、さまざまな事件や弁護士業務に触れた経験は、面接の中でアピールできるもののひとつでした。
他にも、就職活動を見据えて、TOEICを受験したり、長期休暇には日弁連でアルバイトをしたりしていました。
現在の仕事においては、労働問題が7割ほど、その他に家事事件や刑事事件、一般民事も担当しています。どのような事件に取り組むにしても、弁護士として重要なのは、実践的な力と基礎的な知識であると思います。
実践的な力とは、依頼者の話を聴く力のことです。具体的には、依頼者の話に耳を傾け、依頼者から必要な情報を聞き出し、さらに、依頼者の中にある要望や疑問点をあぶり出す力が必要です。こうした力は実際に依頼者と接して経験を重ねることで培われていくものであると考えられるため、法務研究科で家事クリニックやエクスターンシップを履修したことは非常に大きな意味があったと感じています。
また、基礎的な知識とは、条文や判例に関する基本的な知識のことです。弁護士になってからも、まずは基礎的な知識に立ち返り、そこから事案について考えていくということが多く、民法や刑法といった実体法の授業、民事訴訟法や刑事訴訟法といった手続法の授業、いずれも非常に重要であったと感じています。
後輩へのアドバイスをお願いいたします。
私の場合、労働問題という現在の就職先が最も力を入れている分野に強い関心があったことや、外国人向けの法律相談など新しい分野にも強い関心があったことが、現在の就職先に決まった大きな理由だと思います。専門とする分野がある事務所への就職を希望するのであれば、やはりその分野について知識や関心があることをアピールすることが重要です。
他方で、弁護士の受任件数の低下が問題となっている今、新しい分野を開拓し、仕事につなげていくという積極的な姿勢をもっていることをアピールすることも重要であり、そのような人を弁護士事務所も求めているのではないかと思います。
また、弁護士事務所の就職活動を実際に経験して、率直な意見として、年齢と性別は大きな障害であったと言わざるをえません。しかし、そうした形式的な面でふるいにかける事務所ばかりではなく、最後はその人自身がどういう人なのか、事務所と合うのかどうか、そういうところをきちんと見極めて判断してくれる事務所もあります。
就職活動において、同じような厳しい立場にある方々には、あきらめずに、自分がここで弁護士として働けるようになって本当によかったと感じられる場所を見つけていってもらいたいです。そのためにも、ロースクールでの学修や受験勉強で大変だとは思いますが、積極的に外に出て、いろんな人と交流し、情報を収集し、アンテナを広げていってみて下さい。みなさんの就職活動を心から応援しています。