公開対談 日仏文芸翻訳の歩み―古典から現代文学、Mangaまで 10月17日、23日開催
小西財団日仏翻訳文学賞30回を記念して、9月29日から11月3日まで早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)と公益財団法人小西国際交流財団の共催で、「日仏文芸翻訳の歩み―古典、現代文学からMangaまで」と題した展示を開催します。
※展示の詳細はこちら
この一環として、10月17日には、吉川一義さん(京都大学名誉教授)と関大聡さん(日本学術振興会特別研究員)の対談を、10月23日には、堀江敏幸さん(早稲田大学教授)と福島亮さん(富山大学講師)の対談を行います。翻訳ってなんだろう?フランス文学はムツカシイ?翻訳者はどんなことを考えながら仕事をしているの?翻訳をしていると自分自身の言語も変化していくの?……日仏文芸翻訳の面白さ、奥深さ、そして不思議さをたっぷりと語り合います。
吉川一義×関大聡
マルセル・プルーストの万華鏡―日本語に移す、映す【10月17日(金)開催】
フランス文学の世界で、マルセル・プルーストは「聖典」のような立場にあります。原稿用紙10,000枚にも及ぶ長大な小説で、挫折者も少なくありませんが、人を惹きつける謎と魅惑に満ちあふれ、それを日本語に移したいという欲望も絶えません。
吉川一義さんが岩波文庫で刊行された『失われた時を求めて』(2010-2019年)は、個人全訳としては日本で三度目の試みです。ただ、プルーストの翻訳自体は1920年代にはすでに始まり、今日に至るまで多くの文学者たちに影響を与えてきました。それぞれの時代を映す翻訳は、どのような思いで訳され、読まれてきたのでしょうか。そして吉川訳プルーストに秘められた翻訳の醍醐味とは?訳者である吉川一義さんとフランス文学研究者である関大聡さんとともに、プルーストの森をゆっくりと散策してみませんか。
堀江敏幸×福島亮
一歩手前で、たゆたうように―翻訳と創作、あるいは《声の肖像》について【10月23日(木)開催】
日仏文芸翻訳の歩みをたどっていくと、日本語による創作の歩みがそれと同期する瞬間にめぐりあうことがあります。この対談では、創作活動における「翻訳」の位置について語りあいます。
作家・批評家として著名な堀江敏幸さんは、多くの翻訳を手掛けてきた翻訳者でもあります。モディアノ、ギベール、ユルスナール……そして紀貫之まで、言葉から言葉へと河を渡るように、あるいはむしろ、渡りきる一歩手前で、言葉と言葉のあわいをたゆたうようにして堀江さんが取り組んできた「翻訳」は、自身の創作活動において、どのような位置を占めているのでしょうか。フランス語圏文学研究者である福島亮さんとの対話を通して、翻訳と創作の関係とその奥深さをさぐります。
詳細 ※10月17日(金)、10月23日(木)共通
- 開催時間:15:30〜16:30 ※開場15:00
- 開催場所:国際文学館(村上春樹ライブラリー)2階ラボ
- 使用言語:日本語
- 参 加:無料・予約不要
- 共 催:早稲田大学国際文学館、公益財団法人小西国際交流財団
※講演後には、来場者の方とのQ&Aも予定しております。奮ってご参加ください。
講演者(10月17日)
吉川 一義(よしかわ・かずよし)
京都大学名誉教授。1948年、大阪府生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。パリ・ソルボンヌ大学博士。著書に、Proust et l’art pictural(バルベック=カブール・プルースト文学サークル文学賞、日本学士院賞・恩賜賞)ほか。翻訳に、岩波文庫版プルースト『失われた時を求めて』全14巻(日仏翻訳文学賞特別賞)ほか。近著に、『「失われた時を求めて」の謎―隠された構造を探る』がある。
関 大聡(せき・ひろあき)
日本学術振興会特別研究員PD。1988年、愛媛県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。パリ・ソルボンヌ大学博士。論文に“Idées de la littérature chez Jean-Paul Sartre : des tensions sans système ?”(博士論文)ほか。共訳書にトリスタン・ガルシア『〈私たち〉とは何か―一人称複数の哲学』、ミシェル・ウエルベック『ウエルベック発言集』ほか。小西財団日仏翻訳文学賞第30回記念事業組織委員。
講演者(10月23日)
堀江 敏幸(ほりえ・としゆき)
小説家、批評家、早稲田大学文学学術院教授。1964年、岐阜県生まれ。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年『河岸忘日抄』、2010年『正弦曲線』で読売文学賞、2012年『なずな』で伊藤整文学賞、2016年『その姿の消し方』で野間文芸賞、ほか受賞多数。著書に、『郊外へ』『書かれる手』『いつか王子駅で』『曇天記』『定形外郵便』『中継地にて (回送電車 6)』ほか。翻訳にエルヴェ・ギベール『赤い帽子の男』ジャック・レダ『パリの廃墟』マルグリット・ユルスナール『なにが? 永遠が 世界の迷路III』紀貫之『土左日記』ほか。小西財団日仏翻訳文学賞選考委員。
福島 亮(ふくしま・りょう)

Photo : Georges A. Bertrand
富山大学学術研究部人文科学系講師。1991年、群馬県生まれ。共著書に『クレオールの想像力―ネグリチュードから群島的思考へ』『異邦人のフランス語圏文学―立花英裕と「世界−文学」の想像力』ほか。共訳書にアラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界–文学へ』トリスタン・ガルシア『〈私たち〉とは何か―一人称複数の哲学』ほか。小西財団日仏翻訳文学賞第30回記念事業組織委員。
注意事項
座席数を超えた場合は、立ち見でご覧いただく、または入場を制限させていただく可能性がございますので、あらかじめご了承ください。
イベントの様子を撮影、録画することはご遠慮ください。
開催者側で撮影または録画することがあり、収録した画像または動画を後日、国際文学館または開催に協力をした第三者のウェブサイトを通じて公開する場合があります。予めご了承ください。
当イベントに関するお問い合わせ
- 早稲田大学国際文学館
email:wihl-info★list.waseda.jp(★部分を@に変更してください。)