本講座は、一般財団法人化学物質評価研究機構(CERI)からのご寄附に基づき運営される学外連携プログラムです。以下のとおり、2016年度の受講生を募集します。
対象・受講料・受付期間・受講手続方法
生活の安全を科学する 講義概要
- 1.担当教員
- コーディネーター・竹山 春子(早稲田大学 理工学術院教授)
講師・高月 峰夫(早稲田大学 ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所 研究院客員教授) - 2.教室
- 早稲田大学 早稲田キャンパス内教室(予定・受講決定者に通知します)
- 3.概要
- 本プログラムは生活の安全・安心について、なぜ身の周りに安全をおびやかす問題が起こるのか、その検査検出方法や問題のありかを科学的にひもときながら、社会や生活のなかにどのように安全を担保していくのかを考える。テーマごとにそれぞれの専門家の講義を受けつつ、他の学生や社会人受講生と議論し、学生自ら考えながら授業を進める。
学生と社会人がともに学び、ともに議論を交わすことにより、異なるジェネレーションや経験から得る新たな発見や考え方、多様な人々とのコミュニケーション等を体験しながら体得していくこともめざしている。
文化系を専攻する学生にも、ぜひ楽しく学んでほしい。 - 4.到達目標
- 本プログラムは生活の安全・安心について、なぜ問題が起こるのか、その検査・検出方法や問題のありかを科学的に考え、社会や生活のなかにどのように安全を担保していくのかを、さまざまな材料から自分自身で判断できる力を養うことを目的とする。
- 5.講義計画(予定)
講義回・タイトル | 日時 | 講師・ゲスト | 内容 |
---|---|---|---|
第1回 オリエンテーション |
10月1日(土) 13:00~14:30 |
高月 峰夫 | 本講座の目的、意味づけ、講義概要を説明します。また社会人と学生のアイスブレーキングを実施します。 |
第2回 毒と薬の歴史 |
10月1日(土) 14:45~16:15 |
高月 峰夫 | 一流シェフが料理するフランス料理のメニューにも有害な化学物質たくさん含まれていますが、私たちは安心して食べて楽しんでいます。一方で、人工的な化学物質がつくられたのはここ200年のことですが、その数は優に数十万種類に及び、一般の人からは非常に恐れられています。その原因を考えるために、毒と薬がどう同じでどう違うのか、その歴史を紐解きながら解説します。 |
第3回 化学物質と暮らしの安全学 |
10月8日(土) 13:00~14:30 |
北野 大 (淑徳大学 教授) |
工業化学物質の事前審査制度である「化学物質審査規制法」について、その制定の背景と目的、法の仕組み及びどのようなデータをもとに審査をし、審査の結果どのような規制がかかってくるのかについて講義します。 |
第4回 地球を巡る化学物質 |
10月8日(土) 14:45~16:15 |
茅島 孝和 (化学物質評価研究機構 化学物質安全センター 営業企画第一課課長) |
CASに登録されている化学物質は11億種を超えており、その適切な利用により、私達は快適な生活環境を手に入れています。本講義では、現在、直面 している化学物質よる環境問題、国内(化審法)における化学物質の管理制度やそれに必要とされる試験方法等について紹介します。 |
第5回 生態系に影響を与える化学物質 |
10月15日(土) 13:00~14:30 |
関 雅範 (化学物質評価研究機構 久留米事業所 試験第四課課長) |
環境中の生物は、それぞれが生態系を構成する重要な存在です。本講義では、生態系を構成する生物に対して化学物質がどのような影響を及ぼすのかを紹介し、それらの影響を評価するための方法や考え方について解説します。 |
第6回 人の健康への影響をどのように評価するのか |
10月15日(土) 14:45~16:15 |
中井 誠 (化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所 研究第一部長) |
化学物質は我々の豊かな日常生活に欠かすことができませんが、一方で、人の健康に悪影響を及ぼした事例も多く存在します。本講義では、化学物質が人の健康へ及ぼす影響を評価する試験について紹介します。また、このような試験で得られたデータの信頼性を確保するための制度や動物愛護についても解説します。 |
第7回 食品安全に関するリスクアナリシス |
10月29日 13:00~14:30 |
吉岡 修 (農林水産省 消費安全政策課長) |
食品の安全性を向上させるためには、農場から食卓までをカバーして、科学に基づいて未然防止することが大事です。その基本的な枠組みであるリスクアナリシスについて、わかりやすく説明します。 |
第8回 化学物質の資源リサイクル |
10月29日 14:45~16:15 |
大竹 久夫 (早稲田大学リンアトラス研究所 客員教授) |
肥料としてよく知られ、安価に供給されるリン。私たちの口に入る食品やバイオマスはリンに支えられており、自動車や電子部品などの工業製品の製造もリンを 必要とします。さらに私たちの体内でも欠かせない命を支える元素でもあります。リンを100%輸入に頼る日本では、リン資源の使い捨てをやめ、リサイクル の方法を確立する必要があります。本講義では、リンの持続的利用のあり方について考えます。 |
第9回 農薬の安全性確保 |
11月12日 13:00~14:30 |
本山 直樹 (千葉大学 名誉教授) |
農薬は農作物を有害生物(病害虫・雑草)から保護して高品質・高収量の収穫を可能にする植物薬ですが、医薬と異なり野外で大面積に使われるというこっと、収穫物は食品として人の口に入るということから、環境に対する安全性、散布作業者に対する安全性、消費者への安全性を確保する必要があります。実験動物を用いた急性・慢性毒性試験や作物残留試験から得られた情報に基づいて、農薬の安全性がどのように確保されているか議論します。 |
第10回 食品の機能性 |
11月12日 14:45~16:15 |
矢澤 一良 (早稲田大学研究院 教授) |
「食品は無意味に摂取することはなく、食品になんら機能を持たないものは皆無です。食品の安全性と機能性を科学的に解明し、国民の「健康維持・美容・疾病リスク低減」を食に求めることができる食品の機能性を科学的に解明します。 |
第11回・第12回 体内時計と健康安全学 |
11月19日 13:00~14:30 14:45~16:15 |
柴田 重信 (早稲田大学 教授) |
薬はいつ飲めば一番効果がでて、副作用を軽減できるかなど、薬を飲む一番適切なタイミングを調べる学問「時間薬理学」のほか、体内時計の仕組みを解明する ことで、発達障害、時差ぼけ、躁うつ病、痴呆症、睡眠障害などの精神疾患の解明・治療薬について解説、生体リズムを整えるのに適した食事や栄養の摂取方法 を明らかにし、生活習慣病の発症原因も探ります。 |
第13回 化学物質の生態系とヒトの健康への影響を評価する |
11月26日 13:00~14:30 |
石井 聡子 (化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所 研究第四課長) |
身の回りで使われている化学物質の中には生態系やヒトの健康に対し有害影響を与えるものが少なからずあることから、化学物質のリスクを理解し、そのリスク を適切に管理していくことが重要です。本講義では、化学物質及び化学物質を含む製品のリスク評価の実例を紹介しながら、評価方法の概要を解説します。 |
第14回 ガン細胞と化学発がん |
11月26日 14:45~16:15 |
樋野 興夫 (順天堂大学 教授) |
細胞とは何か、化学発がんとは何かを理解します。化学発がんの創始国である日本が、21世紀には「がんを遅らせる」研究で再び、世界へ貢献するときです。 「がん」を未然に防ぎ、日本のみならすアジアの人々が安全に安心して健康な生活を送ることのできる社会の構築について議論します。 |
第15回 パネルディスカッション |
12月3日 13:00~14:30 |
高月 峰夫、石井 聡子、吉岡 修 | これまでの講義をもとに、講師陣によるパネルディスカッションを実施します。 |
第16回 総括討論 |
12月3日 14:45~16:15 |
金子 怜司((株)早稲田大学アカデミックソリューション コンサルタント) | 受講生と講師陣による質疑や討論を実施し、さらに理解や問題意識を深めます。 |