Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

【資格】早稲田で取得できる! 教職・トレーナー・学芸員・心理師

左から、髙橋さん、松井さん、倉川さん、松浦さん

早稲田大学では、必要な科目の履修で、さまざまな資格や受験資格を取得できることを知っていますか? 所定の単位を修得するだけで取得できる資格や、取得要件の一部を満たせる資格、修得の上国家試験に合格する必要がある資格、実務経験が必要となる資格などがあり、日々多くの学生が学んでいます。今回は、教育職員免許状(教職課程)をはじめアスレティックトレーナー、博物館学芸員、公認心理師を目指す学生を取材。資格取得を目指したきっかけや、どんな学びをしているのかを聞きました。

※ 各学部・研究科によって取得できる資格や受験資格は異なるので、詳しくはWebサイトで確認してください

INDEX
▼教職課程 髙橋さんの場合
▼アスレティックトレーナー 松井さんの場合
▼博物館学芸員 倉川さんの場合
▼公認心理師 松浦さんの場合

教職課程 髙橋さんの場合

文学部 4年 髙橋 慶(たかはし・けい)

戸山キャンパスにて

目指すのは高校の恩師のような、生徒が主体的に学べるように指導できる教員

――教職課程の資格取得を目指す理由を教えてください。

早稲田祭運営スタッフの総務局副局長を務めた「早稲田祭2025」で活動する髙橋さん

小・中学生の頃から人に頼られる場面が多く、教えることが楽しいと感じたのがはじまりです。高校では、恩師と呼べる日本史の先生に出会ったのがきっかけとなりました。

暗記するだけになりがちな日本史を、その先生は地元・福島県会津市についてのさまざまなエピソードを交えて教えてくれたんです。生徒が主体的に学べるように工夫している授業がすごく面白くて、自分もこんな先生になりたいと思いました。

――教職課程ではどんなことを学んでいますか?

中学校の社会科と、高校の地理・歴史、公民の教員免許取得を目指していて、専門的な内容はもちろん、教育史、生徒指導や子どもの心理学など、教育に必要な知識や指導法などを学んでいます。

履修した授業では、小野寺正己先生の「生徒指導・進路指導論(中・高)」(教育学部設置科目)が面白かったです。グループ活動の中で、生徒がどのように良い人間関係を築いていけるのかを、講義やミニゲームなどを通じて学びました。普段のサークル活動でも、人間関係を円滑に活動するために実際に役に立っていると思います。

授業で印象に残っているのが、「共感と共有」という先生の言葉です。人の気持ちをくみ取り、伝え合う人間関係は、教育だけではなくどんな場面でも必要で、教員という立場ではなおさら重要だと感じました。

地理歴史科教育法2」で板書をした時の一枚。早稲田キャンパス 16号館にて

――科目登録の際、工夫した点はありますか? また、課題や教員採用試験対策はどのように進めていますか?

卒業までに必要な単位数が多く、毎学期30単位近く取っているので、チェックシートで履修漏れのないように自身で管理しています。必修の授業とかぶってしまうこともあるので、前もってできるものは低学年のうちに履修することを心掛けていました。

赤いコマが教職課程の必修科目。学部設置科目の「仏教概論」「健康・医療心理学」「地誌1」は、教職の単位にも換算できるそう。※クリックして拡大

教職課程だけでなく、他の授業でもレポート課題などがあるので、時間を決めて取り組みました。専門の日本史では文献がとても重要になるので、図書館でしっかり調べています。

授業に必要な教科書や参考書、作成した資料など

教員採用試験対策としては、1次試験では学力や専門知識が問われるので、自分でしっかりと勉強を続けています。また、2次試験の面接対策として、教員就職指導室(早稲田キャンパス14号館2階)で、本学卒業生であり、管理職としての勤務経験もある“教員就職アドバイザー”に個別相談や面接指導をしていただいています。

――教育実習をしてみて、どんな感想を持ちましたか?

とにかくあっという間でしたね。入念に準備しましたが、それでも予想外な出来事の連続でした。同じ内容でも理解度や反応はクラスによって差があり、目の前の生徒に合わせて授業を組み立てるのが難しかったです。「授業は生き物」という言葉がありますが、まさに実感する日々でした。一方で、指導教諭の助言を基に「次こそは!」と毎時間試行錯誤を繰り返しました。それが楽しく、夢中にさせてくれたのだと思います。

――今後について教えてください。

地元に戻って教員になることを希望しています。故郷に誇りを持ち、主体的に活動できる生徒を育てたいです。教員という仕事は、生徒の成長を見守ることができる、他にはなかなかない仕事です。教員に対してはマイナスなイメージも広がっている今日ですが、自分に合っている仕事だと思うので、これからも頑張っていきたいと思います。

【教育職員免許状】(教職課程)
教育職員免許状(以下、教員免許状)には、専修免許状・一種免許状・二種免許状があります。本学では、学部で「一種免許状」、大学院で「専修免許状」を取得することができます。教員免許状を取得するためには、基礎資格(一種免許状は学士の学位、専修免許状は修士の学位を有すること)を満たすとともに、教育職員免許法に定められた科目の単位(教育実習などを含む)を修得する必要があります。

取得できる教員免許状の校種・教科は、所属する学部・学科・専攻・専修・コースや研究科・専攻によって異なります。詳細は、最新の『教職課程履修の手引き』(掲載ページはこちら)で確認してください。

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アスレティックトレーナー 松井さんの場合

スポーツ科学部 4年 松井 義樹(まつい・よしき)

東伏見キャンパス アメリカンフットボール場にて

けがでプレーができないスポーツ選手をなくしたい

――アスレティックトレーナー(以下、トレーナー)を目指しているのはなぜですか?

中高生の頃サッカーをやっていたのですが、骨折などのけがが多くて。高校2年生の時に、チームにいたトレーナーの方に、けがをしないようにするにはどうしたら良いか、トレーニングメニューなどのアドバイスをいただいたことがきっかけです。その後、進路を考えた時に、トレーナーを目指すことを決めました。

――早稲田大学米式蹴球部で学生トレーナーとして活動していると聞きました。

はい。トレーナーを目指す上では実際に経験を積むことが必要なので、この資格取得を目指す学生の多くは体育各部に所属しています。

当初は、経験のあるサッカーで、と考えていたのですが、全身を使い、けがやコンディショニングの対応も多岐にわたるアメフトやラグビーで経験した方が良いという話を先輩から聞き、米式蹴球部で経験を積むことを選びました。部員は130人以上いて、トレーナーは学生が中心になって活動しています。現在、学生トレーナーは6人いて、1年生のうちは、傷害予防や救急対応、テーピング、回復などについて、学部の授業とともに1年間かけて習得。部内のテストに合格すると、2年生から担当制で選手を実際に見ることになります。

米式蹴球部で、練習前選手にテーピングをしているところ

米式蹴球部に入った1年生の時、今も社会人トレーナーとして部に在籍している小林和音さん(2026年スポーツ科学研究科卒)がいて、在学時から既に「何かあれば小林さんに任せれば安心」と周りから頼られていたんです。その方への憧れも資格取得を目指す目標になっていましたね。

2025年11月、米式蹴球部リーグ戦優勝時。選手と学生スタッフ全員での記念写真

――学部ではどのように学んでいますか?

まずはスポーツ科学の基礎を座学で勉強し応用に進むのですが、一度単位を落としてしまうと再履修するのが難しくなるので、1年生から計画的に履修を進めました。資格取得にはテストに加えて実技もあるので、しっかりと学びを続けていくことがポイントです。

写真左:2024年、「リコンディショニング実習」(スポーツ科学部設置科目)で実技を学ぶ様子
写真右:2025年秋学期に受講した、「スポーツ解剖学(下肢)」(スポーツ科学部設置科目)での授業のノート

平日は夕方からほぼ毎日部活があるため、アルバイトは朝の時間帯に行っています。月曜日は部活がオフなので授業を集中的に配置し、勉強は空き時間を活用して効率よく進めるよう心掛けています。

赤いコマがトレーナーの必修科目。※クリックして拡大

――面白かった授業はありますか?

佐々部孝紀先生の「アスレティックコンディショニング実習」(スポーツ科学部設置科目)です。実際にプロバスケットボールチームのアルバルク東京でストレングス&コンディショニングコーチをされている先生のお話を聞くことができ、トレーニングについて座学だけでなく実習、そして実際の現場の様子も学べました。

――今後の目標を教えてください。

スポーツ選手がけがでプレーできない状況をなくしたい、という大きな夢があります。また、大学院進学を目指しており、トレーニングについての研究にも力を入れつつ、選手と身近でいられるトレーナーを目指したいです。

【アスレティックトレーナー】
公益財団法人日本スポーツ協会が認定する資格です。スポーツドクターおよびコーチとの緊密な協力の下、競技者の健康管理、傷害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーションおよびトレーニング、コンディショニングなどにあたります。スポーツ科学部でのトレーナー取得について、詳しくはこちらから。

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博物館学芸員 倉川さんの場合

文学部 3年 倉川 美樹 エリザベート(くらかわ・みき・えりざべーと)

戸山キャンパス 戸山の丘にて

自分の「好き」なことだから無理なく目指せる

――どんなきっかけで博物館学芸員(以下、学芸員)の資格取得を目指していますか?

小学5年生の頃、ルーブル美術館へ行った時の写真

もともと絵を描くのが好きで、子どもの頃から美術館や博物館によく連れて行ってもらっていました。実は、1年生の履修登録で教職課程を取るか迷ったのですが、こうはいナビで相談したら、学芸員資格は他と比べてそれほど大きな負担なく取れそうなことと、絵が好きな自分に向いていると思ったんです。

――履修登録の際に工夫した点はありますか? また、どのようなことを学んでいますか?

学芸員の授業は、学期ごとに2コマずつ取ろうと計画しました。春と秋両方に開講されている授業もあるので、必修と重なったときには次の学期で履修するなど、漏れのないようにしています。

赤いコマが学芸員の必修科目。※クリックして拡大

授業では博物館の基本といえる博物館概論から、経営、資料・保存、展示、情報・メディア論、教育論から実際の企画・実習など幅広く学んでいます。例えば資料・保存の授業では、資料に害を及ぼす虫がいることから、どの資料がどのくらいの温度や湿度が向いているのかなどを学ぶんです。

――面白かった授業はありますか?

藤澤まどか先生の「博物館教育論」(教育学部設置科目)です。実際の博物館の一室を想定した展示企画とプレゼンテーションをするのですが、私はバロック・ロココ時代の洋服の変遷について企画しました。ドレスや美術品はどこから借りるのかを検討したり、コルセットや洋服の模型をどのように展示すると良いかを考えたりするのが楽しかったです。他にも、歌舞伎の展示を企画した人がいて、歌舞伎の隈取をイラストに描いてみるワークショップまで考えていたことが高評価を得ていました。いろいろな人の企画を見て、聞いて、とても良い刺激になったと思っています。

現在、早稲田大学 會津八一記念博物館の学芸員の方が講師をする実習を受けています。法学部のある早稲田キャンパス8号館の地下に美術品を収納する倉庫があり、普段入ることができない貴重な場所を見学させていただきました。今後は、展示を仮定した企画を立てていくグループワークがあるので楽しみです。

會津八一記念博物館の実習にて。額装を学ぶ授業中、作品にどんな額が合うか考えているところ。(左)作品とマット(台紙)の位置調整を練習したもの。(右)実習を履修するときは、通年で時間を確保する必要があるそう

――授業以外に自分で資格取得のために行っていることはありますか?

実際に博物館や美術館に行っています。授業でも言われている「自分で足を運ぶことが大事」を実践しているんです。授業を受けるようになってから、「ただ行って見る」という受け身で訪れていた博物館が、当たり前にあるものではないことに気付き、展示の一つ一つにありがたみを感じるようになりました。見やすい高さ、光の当たり方、解説の読みやすさなど、学芸員がさまざまに考えて展示がつくられているんだな、と再認識しています。

【博物館学芸員】
博物館学芸員は、博物館法に基づく国家資格です。博物館・美術館・資料館などにおいて、博物館資料の収集・保管・展示および調査研究などの専門的事項をつかさどります。早稲田大学では、教育学部に「博物館学芸員関連科目」を設置しており、必要単位を修得し、学士の学位を取得すれば、「博物館学芸員資格」を取得することができます。詳しくはこちらから。

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公認心理師 松浦さんの場合

文学研究科 修士1年 松浦 聡次郎(まつうら・そうじろう)

戸山キャンパス 戸山の丘にて

自分自身を見つめ直し続け、成長していきたい

――公認心理師とはどのような資格ですか?

公認心理師法という法律が定めている国家資格です。保健医療、福祉、教育、司法、産業の五領域において、主に四つの仕事があります。「支援を要する人の心理状態の観察と分析」「心理的支援を要する人の心理に関する支援」「その支援者の関係者への支援」「心の健康に関する知識を普及のための教育や情報提供・啓蒙を行う」ことです。例えば心理カウンセラーや、発達障がいを抱えている児童の学習支援に当たる仕事などがあります。

――資格取得を目指すきっかけは何でしたか?

子どもの頃から漠然と人の相談に乗ることや、人の役に立つことが好きだったんです。感情というものに対して興味もあったのですが、誰かをサポートしたり、自分の中にあるホスピタリティーを仕事にしたりしたいと思っていました。

――資格取得までの道のりを教えてください。

学部4年間での決められた単位の修得と実習、その後大学院へ進学して2年間での必要単位の履修と実習があります。その上で国家試験に合格すると、資格が取得できます。取得までにかなり多くの単位を取らないといけないですし、要する期間も長いです。

赤いコマが公認心理師の必修科目。※クリックして拡大

まず学部では座学から始まり、演習・実習を行います。実習は、学部では80時間、大学院では2年間で450時間あり、医療実習が必ず含まれているのが特徴です。また、このうちケースといって、1人のケース(クライアント)を担当する時間が200時間ほどあります。修士1年の今は福祉領域での実習もあって、保育園へ実習にも行っています。

まだ勉強中の身ではありますが、実習では実際に何らかの課題を抱える方と向き合うことになります。例えば、私の経験した教育領域の実習では、知的な問題を抱えている児童に対して知能検査を行い、分析しました。それを踏まえて学習方法を検討し、教材を作成して実際に取り組んでもらい、分かりやすいと思ってもらえるのかなどを検証します。実習をしてみると、実際の公認心理師の働き方に近いことをやっているのかな、という実感を得られています。

――興味深い授業はありましたか?

2026年3月の学部卒業式に、所属研究室の越川先生と。「公認心理師は、さまざまな先生や実習を受け入れる施設など、多大な負担をしていただき維持しているプログラムのため、実際に働くつもりのない人が目指すのは勧めない」と話す

越川房子先生(文学学術院教授)の「心理学演習」では、認知に働き掛けて、患者の気持ちを楽にする療法の一種である認知行動療法を学んだり、学生同士で演習を行ったりすることができました。

また、本田恵子先生(教育・総合科学学術院教授)の「公認心理師心理演習」では、教育・発達心理学的アプローチを踏まえつつ、知能検査や投影法、カウンセリング技法など、演習を含めて学べました。どちらかを履修すれば良いのですが、興味があったので両方履修したんです。

――授業以外の勉強はどのように進めていますか?

国家試験の勉強はテキストを読み込むなど、地道に行っています。心理状態を測る方法一つとっても多岐にわたるため、授業や実習で行う検査法は、あらかじめ友人や先輩とやってみて予習することで、理解を深めているんです。また資格取得後についても、日々新たな知見や心理療法が開発されているので、個々のケースについての学びや専門性を維持するためにも、常に勉強しなくてはいけないと考えています。

写真左:学部4年の秋、学習支援の実習で作文をした時、児童が列挙する内容を、“はじめ・なか・おわり”に分類した際に使用したメモ
写真右:学習支援の実習で使った指人形。対象をカテゴライズして仲間分けをするトレーニングや、他者視点を獲得するためのトレーニングなどに利用するという

――今後の進路はどのように考えていますか?

今は、保健医療と司法の領域に興味があります。病院などで働く心理カウンセラーや、非行や犯罪の原因を心理学で専門的に分析し改善指導プログラムを作成する法務技官(心理)、裁判所職員の少年事件などで問題の原因や背景を調査し、子どもの未来をより良いものにしようとする家庭裁判所調査官に興味があります。これから先、学ぶ中で変わることもあるかもしれませんが、何ができる人間なのか、自分と向き合っていかないといけないと思っています。

【公認心理師】
公認心理師は、公認心理師法に基づく日本の国家資格です。公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用い、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識および技術を持ち、心理に関する支援を行います。詳しくは、厚生労働省のWebサイトを確認してください。早稲田大学では、人間科学部・人間科学研究科文学部・文学研究科教育学部・教育研究科で資格取得を目指すことができます。

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【次回フォーカス予告】6月22日(月)公開「ライティングセンター、MSC・情報対面指導室特集」

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