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特集

トラブルになる前に コロナ禍の今、見直したいSNSとの向き合い方

コロナ禍で、人との接し方が変化した今。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、以前にも増して大事なコミュニケーションツールとなっています。不安なときにSNSで誰かとつながることは、心が落ち着きますが、その一方で、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷が原因とみられる事件も起こっています。そこで、医師で教育・総合科学学術院教授の堀正士保健センター所長に、あらためて確認しておきたいSNSの特徴と上手な向き合い方について、また、大学に付設された弁護士法人「早稲田大学リーガル・クリニック」の小島秀一弁護士に、気を付けたいSNSのトラブルについて、話を伺いました。

※インタビューはオンラインで行いました。

sns_堀先生MG_7356保健センター所長
教育・総合科学学術院 教授 堀 正士(ほり・まさし)

筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学博士(医学)。医療法人社団有朋会栗田病院医局長、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授などを経て、2010年4月より現職。専門は臨床精神医学(青年期精神医学、気分障害、睡眠障害)、学生のメンタルヘルス、職場のメンタルヘルス(特に教職員のメンタルヘルス)、アスリートのメンタルヘルスなど。

外出自粛で利用時間が増えたSNS 利点と注意点を再確認して上手に活用しよう

TwitterやInstagram、LINE、Facebookなど、今は、人によっては複数のアカウントを使い分ける時代です。また、現役早大生の中には、小中学生のころからLINEなどを使っている人もいて、ある程度SNSに関するリテラシーがあるのではないかと感じています。しかし、SNSの利点は欠点と表裏一体の関係です。外出自粛で対面でのコミュニケーションができないと、PCやスマートフォンでのやり取りがいつも以上に気になるものです。SNSの利用時間も増えているのではないでしょうか。こういうときこそ、あらためてSNSの特徴を理解して、うまく活用することが大事です。

【1】手軽に「承認欲求」を得られる――自己満足にならないように、受け手へ配慮しましょう

自分の好きなタイミングで文章や写真を投稿することができ、数十秒後には仲間たちからリアクションを得られるのがSNSです。「仲間に認められたい」「他人に褒められたい」など、他者からの評価を得たいという欲求のことを「自己承認欲求」と言いますが、精神的な満足感を手軽に得ることができるため、SNSはメンタルヘルスを保つ上で、十分メリットがあると考えられています。しかし一方で、SNSではフォロワー数や「いいね」の数を増やすなど、他者からより多くの共感を得たいがために、短く、インパクトのある言葉を使い、表現が大げさになったり、過激な文章になってしまうこともあります。単なる自己満足にならないよう、常に受け手への配慮を考えながら使用することが大切です。

【2】即時性が高く、距離的・時間的な制約がない――「自分ルール」を決めましょう

SNSは即時性が高いため、スムーズにコミュニケーションを取ることができるという利点があります。それゆえ、すぐに反応しないと、相手に不快な感情を抱かせることにもなりかねず、「早く返信しなければ」とせきたてられるように感じる人もいるかもしれません。用件の重要度や相手にもよりますが、即答や気の利いた返信ができないときは、返信に時間をおいた方が良いこともあります。「夜12時以降は返信しなくてもOK」といったお互いのルールを作る、あるいは自分のルールを理解してもらうなどして、SNSに振り回されない生活を送りましょう

【3】匿名性がある――情報の真意を調べましょう

SNSは、気が合えば知らない人とでもつながることができる便利なツールです。また、SNSは匿名で使用できるものも多く、いつもの自分とは違うキャラクターを演じたり、心にため込んだ感情を吐き出したりできるなど、ストレス解消にはもってこいですが、「その文章を誰が読んでいるか」ということを忘れてはいけません。「匿名性」という特徴からデマが流れることも多いため、仲間内であっても全て鵜呑みにするのではなく、情報の真偽を自分で調べることもとても重要です。

【4】嫌になったらやめられる――「SNS疲れ」を感じたら距離を取りましょう

最近よく聞かれるのが「SNS疲れ」です。他者の過激な発言に疲弊してしまったら、そのアカウントをブロックしたり、フォローを解除したりできるなど「嫌になったら自らやめられる」のもSNSの特徴です。対人コミュニケーションでは、簡単に関係を絶つことはできませんが、自分にはSNSは向いていないと思えば、使う頻度を減らしたり、アカウントを削除したりもできるのです。疲れたときは自ら距離を取りましょう。SNSはそれぞれに合った付き合い方をすればいいのです。

読者モニターの体験談から、身近な事例と対処法を学ぼう

早稲田ウィークリーの読者モニターから寄せられた体験をもとに、堀教授に捉え方や心の持ちよう、対処法などアドバイスいただきました。参考にしてください。

【ケース1】サークルの業務連絡用のLINEグループで、一部の人の間で日常会話のチャットが始まってしまい、メンバーの間でトラブルになりました。

LINEグループで個人的な会話が繰り広げられてしまうケースですが、私もメーリングリスト上で似たような経験をしたことがあります。本来の目的を逸脱する個人的な内容だったので、「明確なルールを定めよう」と提案したことがあります。仲間内の場合、暗黙のルールで成立することもあるでしょうが、中には「やりとりは部内の連絡事項だけにする」など、ルールを定めなければ成り立たないグループもあるでしょう。特に大勢のグループの場合、「なぜそのグループを立ち上げたのか」ということに立ち返り、メンバー全員で目的について繰り返し確認することが大事です。

【ケース2】LINEやTwitterなどのやりとりで、自分の意図した意味と違った解釈をされ、怒られたり、仲が悪くなったりしたことがあります。

SNS上のコミュニケーションでは、受け手の感情の問題でやりとりに齟齬(そご)が生じてしまうことがあり得ます。心理学用語で「投影」と言いますが、相手の言動に自分の感情を乗せ、「相手は自分をこう思っているのだろう」と勝手に想像してしまうことがあります。投影は情報量が少ないときに起きやすいので、SNSは特に注意が必要です。また、SNSは楽しい内容より、怒りの感情を含んだ内容の方が波及しやすいと言われています。誹謗中傷も内容は怒りですよね。

自分が発信する際は、誤解を生みそうな内容には、できれば詳しい説明を付け加えましょう。反対に、他者の発言には真面目に受け止め過ぎないことも大事です。

万が一、SNSで誤解やトラブルが生じたら、決してSNS上で解決しようと考えないでください。本来は会って話をするのがいいのですが、現状ではそうもいきません。そんなときは、電話やオンライン通話を利用して、それぞれの思いを伝え、解決することをお勧めします。相手のことも自分のことも大事に。円滑なコミュニケーションのためにSNSを活用していきましょう。

学内にあるさまざまな相談場所。悩んだり困ったりしたら、すぐに相談を!

所属学部・研究科事務所

SNSを介しての誹謗中傷やなりすましなどで困ったら、すぐに所属学部・研究科事務所に相談しましょう。

学生生活110番

学生生活におけるあらゆる悩みの相談に応じています。学生生活全般、トラブルなどで悩みを抱えたら、どんなささいなことでも構いませんので相談してください。

■戸山キャンパス 学生会館1階 学生部学生生活課
E-mail:[email protected]

(平時の場合)月~土曜9:00~17:00(土曜日は12:30~13:30閉室) TEL: 03-3202-0706 夜間・日曜・祝日 TEL: 03-3203-4300(早稲田キャンパス通用門受付)

【保健センター 学生相談室

学生生活のことなら何でも相談できます。プライバシーもきちんと守られますので安心してください。
・心理専門相談員(臨床心理士)がお話を伺います(予約優先・無料)。
・弁護士による法律相談は月に2回。予約制・無料です。

■早稲田キャンパス 25-2号館 保健センター6階 学生相談室
平日9:00~12:00、13:00~17:00 / 土曜9:00~13:00 TEL:03-3203-4449

※現在、土曜日は閉室。相談体制の詳細は、保健センターWebサイトをご確認ください。

早大生世代によくあるSNSトラブルは? 訴訟に発展してしまう前にできること

早稲田大学リーガル・クリニック 
小島 秀一(おじま・しゅういち)弁護士

早稲田大学大学院法務研究科修了。早稲田大学大学院法務研究科アカデミック・アドバイザー、 国会議員政策担当秘書などを経て、2013年に早稲田大学リーガル・クリニック入所。2018年より早稲田大学大学院法務研究科非常勤講師。評論家の荻上チキ氏が代表理事を務めるNPO法人「ストップいじめ!ナビ」の理事。

――SNS関連でどういった相談が寄せられているのでしょうか?

SNSで「誹謗中傷」をされたり、昔の交際相手に「周りに知られたくないプライベートな情報を暴露された」といった相談が多いですね。「自分が写っている写真を勝手に投稿された」などの相談もあります。

そうした相談を受けたときは、SNSにはそれぞれ削除依頼フォームが用意されているので、まず自身でサイト管理会社や管理人に削除申請をしてもらうことを促しています。その際、書き込みや写真の画面を事前にスクリーンショットなどで保存することをお勧めしています。

――誹謗中傷や相手を傷付ける投稿をしてしまった側から相談を受けることもありますか?

本人に自覚がないまま、投稿された側の弁護士から連絡が来たことに驚いて、慌てて駆け込んでくる方はいますね。法的な名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害に対して、一般の方は認識が甘いことが多いと思います。Twitterなどは、全世界の人に発信されているということを今一度考えて、投稿する前にできれば相手のことを自分に置き換えてみてほしいですね。

――SNSの被害者・加害者を生まないために、普段から注意すべきことを教えてください。

一度ネット上に発信されてしまった発言や写真は、例え後から元の投稿を削除したとしても、既にシェアされていたり、誰かに保存されていたりすれば拡散を止めることはできません。つまり「完全にこの世から消す」ことは非常に難しいのです。事態が悪化して、被害者が加害者に対して訴訟を起こし、刑事罰が与えられても、被害者の心の傷が癒えることはありません。大事な相手であればなおさら、そのことを忘れないでいただきたいです。

また、写真は故意でなくても、保存されたものが誤って投稿されてしまうといったケースもあります。人を傷付ける恐れがあるものは「撮らない」「撮らせない」ことを徹底しましょう。Twitterのリツイートも要注意です。投稿内容に同意し、拡散の補助をしたことになるので、名誉毀損などにあたる場合があります。一つ一つの投稿に責任を持って、SNSを有効活用してほしいと思います。

【弁護士法人 「早稲田大学リーガル・クリニック」とは】

法律版「大学付属病院」を目指してつくられた法律事務所。良質の法サービス実現を心がけながら、学生が学ぶ場を提供しようとする新しい仕組みで、所属弁護士の多くは早稲田大学大学院法務研究科の学生への教育に関与している。なお、早稲田大学の関係者・学生・その家族の法律相談は無料。
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目1番7号 早稲田大学28号館4階 TEL:03-5272-8156

※現在、法律相談は電話、Skype、Zoomで実施しています。

 

取材・文:原航平

【次回フォーカス予告】7月13日(月)公開「学術情報検索特集」

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