第6回 突撃!タバジビエキッチンカー
ー実習演習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2024年度秋学期ー
杉村奏(国際教養学部4年)
この記事をご覧の皆さん、不意に「ジビエが食いてえな〜!」という衝動に駆られた経験はおありですか?そんな既にジビエに魅せられた方でも、ジビエ未経験の方にも、是非おすすめしたい「タバジビエキッチンカー」をご紹介します!山梨県丹波山村(たばやまむら)で獲れたお肉を用いた、猟師による本格ジビエ料理を都心で気軽に楽しめるタバジビエキッチンカーは、唯一無二と言っても過言ではないでしょう。
今回は筆者が突撃取材をして、メニュー紹介と忖度なしの食レポ、そしてタバジビエキッチンカーのオーナー保坂さんによる生の声と今後の展望をお届けします!(取材日2024年12月22日)
タバジビエキッチンカーの出没情報は、以下のサイトからご確認いただけます。https://www.instagram.com/tabagibier/
寒風吹き荒ぶ冬晴れの12月、青山は国連大学前にて定期的に開催されているイベント「青山ファーマーズマーケット」にやってまいりました。
取材当日は通常ブースに加えてオーガニックワインフェスティバルも開催されており、ワイングラス片手に買い物を楽しむ多くの人で賑わっていました。
ブースを進むと、タバジビエキッチンカーを発見!
黒を基調とした車体に、ウッディな装飾、店頭には鹿の角も飾られています。
タバジビエキッチンカーのオーナーであり、丹波山村の村おこしに従事している保坂さんにお話を伺いながら、キッチンカーのメニューを試食させていただくことに。
まず最初にいただいたのが、タバジビエキッチンカーの目玉商品である「猟師の鹿バーガー(1500円)」。注文が入ると、目の前の鉄板で調理が始まります。
今回は特別に、車内の様子も撮影させていただきました。
お肉が焼ける香ばしい匂いが食欲をそそります!
待ちわびた鹿バーガー。
カリッと焼いたバンズに、とろけるチーズが絡んだ鹿肉パテが挟まっています!
早速いただきます。
…これは!これまで人並み以上にバーガーを食べた経験がある筆者にとって、人生三本指に間違いなくランクインするおいしさです!粗めの挽き肉の存在感により、肉肉しい食べ応えが抜群!にもかかわらず、牛豚のパテに特徴的な脂っこさが無く、全くもたれる気配がありません。チーズと炒めた玉ねぎのほのかな甘みのコラボも絶妙。鹿ならではの風味が強すぎるわけでもなく、ジビエ初体験の方であってもおいしく食べ進められること間違いありません。つけ合わせの一本ピクルスの酸味が食欲を一層駆り立て、あっという間に完食してしまいました。
保坂さんに、鹿バーガーにこめたこだわりを取材しました。
バンズには、お肉のうまさを引き立てるために、あえて主張のない「普通の」給食などにも用いられるパンを使用しているそうです。
バーガーの主役である鹿肉のパテには、食べ応えとジューシーさを確保するために牛ミンチと豚背脂を一定の比率で混ぜているそうです。これは脂肪の少ない赤身肉が特徴の鹿肉の長所を維持しつつ、パサパサにならないようにされた工夫だそうです!また、パテの50%は手作業で刻んだ粗い鹿のもも肉だそうです。さらに16%強はもも肉以外の鹿肉ミンチを使用しているそうで、これらの工夫が肉肉しさの秘訣だったのですね。丹波山村で獲れた鹿肉を卸すことはしていないそうで、鹿バーガーなどの加工品にして全ての部位を使い切っているそうです。
さて、続いてサイドメニューのレポートに移ります。
左から順に、「鹿竜田揚げ(600円)」「鹿ゴロッケ(400円)」「鹿ソーセージ(600円)」です。
まずは鹿竜田揚げを実食。
鹿肉独特の風味と生姜ニンニクの調和が、鹿赤身肉の良さを最大限引き立てています!外はカリッと、中は柔らかくジューシーで、まさに揚げ物界の優等生。
保坂さん曰く、火入れの仕方次第では肉が硬くなりやすい鹿肉用に、二度揚げと余熱による調理方法を編み出して生まれた自信作だそうです。
続いて鹿ゴロッケ。
サクッとした衣、鹿風味とトマト系の香りが鼻に抜け、食べ応えもある逸品です!
このコロッケは鹿ミンチを使用し、トマトとワインを加えてラグーにした後、ホワイトソースとじゃがいもを混ぜて揚げるそうです。
最後は鹿ソーセージ。
プリっと噛み付くとジューシーな脂が飛び出してきます!
鹿肉のミンチと豚ミンチを一対一で配合したそうで、鹿肉と豚肉のいいとこ取りがなされています。
サイドメニューはどれもお酒のお供にもうってつけな顔ぶれでした。
タバジビエキッチンカーでは、鹿肉に良く合うビールとワインの販売もしているそうです。
ビール「WILD CAUGHT 2024」は丹波山村の隣村にある醸造所「ファーイーストブリューイング」で樽熟成されたサワーレッドエール。
毎年味が変わるそうで、ジビエも同様に年毎に味が変化することを意識したそうです!
保坂さんがブレンディングにも立ち会い、エールということでしっかりした味わいと旨みを楽しめるとか。
また、赤ワイン「ぶち」は、その名が「鉄砲打ち(=猟師)」を意味する丹波山村の方言「ぶち」に由来します。
南アルプス市のワイナリーに委託し、赤身肉とのペアリングというインスピレーションのもと完成されました。
ジビエ独特の風味に負けない、濃く重たく酸味が強い仕上がりだそうです。
最後に、タバジビエキッチンカーのオーナーである保坂さんに、キッチンカー運営において大変なことと目的、今後の展開をズバリ尋ねました。
(筆者=筆、保坂さん=保)
筆「キッチンカーを出店する上で大変なことを教えてください。」
保「とにかく遠いことと、自然との闘いでもある点です。冬は特に寒さで水道管が凍結して破裂してしまう危険もあります。路面が凍結してしまったり、雪が降ったりすると都心に出ることも叶わないので、天候に不安がある場合は前日の夜から東京に移動しています。四輪駆動車であることは必須ですし笑。」
筆「キッチンカーを続ける目的や、やりがいを教えてください。」
保「現状、東京に住むほとんどの人たちにとって、丹波山に来てもらうという「選択肢」がないことが課題です。キッチンカーを都心に出店することで、まずは丹波山村の認知度を高め、将来的に交流人口や定住者を増やして村おこしに貢献できればと考えています。
対面だと、お客様の声が直接聞ける点は嬉しいですよね。口コミも広がっている感触があります。」
筆「では最後に、可能な範囲でキッチンカーの展望を教えてください!」
保「ええ、じゃあ言っちゃおうかな笑。実は、2〜3年以内を目標に、東京で丹波山のジビエをお出しするレストランの出店を計画しているんです。物件など条件を水面下で調整していて。店舗があれば、より多くの方にお越しいただいて、よりバラエティ豊富なメニューも用意できます。丹波山村で出店するのでは、丹波山の認知度を上げる、という目標の達成は難しいと考えているので、都内での開業を目指しています!」
どうやら数年以内に、都内に丹波山村のジビエを扱うレストランが計画されているそうです!
この記事も、大学の授業というご縁でお世話になった丹波山村の認知度向上に貢献できれば、という狙いのもと執筆しました。
タバジビエキッチンカーはもちろん、都心から2時間足らずでアクセス可能な大自然と里山、丹波山村にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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