The Hirayama Ikuo Volunteer Center (WAVOC) , Waseda University早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

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ボランティアの先輩に体験談を聞いてみた!Part3「ハートタッチ ~すごいからじゃなくて、楽しいから~」

ボランティアの先輩に体験談を聞いてみた!Part3
「ハートタッチ ~すごいからじゃなくて、楽しいから~」

視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つ人たちのことを「盲ろう者」といいます。学生と盲ろう者が交流できる場を作りたいという思いで2022年に活動を開始したのが、今回インタビューさせていただいた「ハートタッチ」です。ハートタッチは、学生と盲ろう者が様々な場面で共に活動して色々なことを感じて、そこでの出会い、気づき、違和感、楽しさなどを元に思考していきたいという思いで活動している団体です。活動ではコミュニケーションの練習だけでなく、一緒に楽しさを共有しながらお互いの理解を深めていくことを目指しているそうです。

今回インタビューさせていただいたのは、ハートタッチの福谷さんと高佐さん。ハートタッチの活動を続けていく中で、自分たちの活動への思いと周囲の人が活動をどう思うかにギャップがあることに気づいたそうです。お二人に普段の活動の様子や、活動を通して考えたことについてインタビューしました。

ハートタッチ
高佐 なな(こうさ・なな)さん (写真左・人間科学部3年)
福谷 優子(ふくたに・ゆうこ)さん (写真右・人間科学部3年)

――ハートタッチの活動が始まったきっかけはなんですか?また普段どのような活動をされていますか?

福谷さん:ハートタッチは学生10人と盲ろう者5人で活動しています。もともと盲ろう者について研究をしていた先輩がいて、その先輩が盲ろう者の支援機器を作っている方と知り合い、学生と盲ろうの方々との交流会を開きました。そこに私達も集まり、それがきっかけでハートタッチの活動が始まりました。

高佐さん:具体的な活動としては毎月1回くらい、いろいろなところにお出かけをして活動しています。2月は浅草で食べ歩きをしたり6月はショッピングモールに遊びに行ったりしました。ほかにも、場所を借りてクッキーづくりを行ったりなど、月ごとに考えてさまざまなことをやっています。

――お二人が活動するうえで心がけていることは何ですか?

福谷さん:サークルの理念でもあるのですが、盲ろうの方々と楽しさを共有するということを心がけています。関わるときには、相手が持っている世界観や、自分が持っている情報と相手が持っている情報の違いなどを想像して、ひとりよがりなコミュニケーションにならないように気をつけています。

高佐さん:楽しさを共有するというのは私も考えていて、そのために私は自分から積極的にコミュニケーションを取りに行くように心がけています。盲ろうの方とのコミュニケーションの方法は、話し手が手話を表し聞き手がその手に触れて伝える触手話や、指を点字タイプライターに見立て左右の人差し指から薬指までの6指に直接打つ指点字、聴覚活用が可能な方には音声など、さまざまなものがあります。それらのコミュニケーション方法について私はまだ練習中で、正直にいってうまくコミュニケーションをとることに自信がありません。以前はその不安から、自分から話しかけにいくことができませんでした。しかし、自分からコミュニケーションをとっていきたいという思いを持って伝えることで、盲ろうの方もそれを受け止めて話を聞いてくださったり話してくださったりします。なので、自信がないからと思わずに積極的にコミュニケーションをとるように心がけています。

――お二人がハートタッチの活動に感じている魅力は何ですか?

高佐さん:私は盲ろうの方と何気ない雑談のような会話をしている時が楽しいので魅力だと感じています。仲良くなって冗談を言い合ったり、趣味の話で盛り上がったり、いろんなお話をする中で関係性を深められていくのがいいところだと思っています

福谷さん:自分でもあまりどこに魅力を感じているかわかっていないんですが、感覚としてずっと楽しいなというのはあります。それを言語化するのに悩み続けているんですが…

今自分が感じているのは、抽象的になってしまうのですが、触手話や指点字では相手と触れ合いながらコミュニケーションをとることになります。また、私がコミュニケーション方法を上手くできないときは、握手をして挨拶させてもらうこともあります。それは私にとって非日常なことだし、 触っていることで気持ちが通じ合う経験がとても面白くて、そういったコミュニケーションの在り方が魅力だなと感じています。

――以前ボラコンの発表の中で、自分たちのハートタッチの活動がほかの人に「すごい」「偉い」というふうにとらえられることに違和感があるとおっしゃっていました。さらにメンバー間でもその違和感に対しての向き合い方に違いがあるとのことでしたがお二人の考えをお聞かせください。

福谷さん:向き合い方の違いというのが、高佐さんは「偉い」とか「すごい」といって距離を置いている人たちに対して、もう一歩踏み込んでほしいと思っているそうです。私としては、踏み込まなくてもいいから、「偉い」とか「すごい」とか、そういう目では見ないでほしいと思っています。本当に少しのズレなんですが、活動を振り返る中で見つかりました。

「偉い」「すごい」と言われるのは、私たちの活動が支援だと思われることから生まれるのかなと思います。でも実際は、楽しさを共有することや、既存の枠組みから抜け出した生身の個人として出会うことを目指しています。私たちが目指しているものと、周りから見たときの反応にズレがあると、少しモヤモヤしてしまいます。活動に興味をもってもらえなくてもいいから、私たちの目指している関係性や純粋に楽しんで活動をしていることを知ってもらえたらいいなと思います。

高佐さん:私は「偉い」や「すごい」といった言葉を家族など身近な人から受け取りました。盲ろう者と関わっている自分がいて、でもその自分が関わっているほかの人たちにはこんなにもハートタッチの活動は遠い世界の話のようにとらえられてしまうのかな、と感じました。盲ろうの方々と自分は関わっているけど、私の周りの人たちと盲ろうの人との間にはまだ大きな壁があるんだな、全然違う世界になっちゃうんだなと思っています。

ここで福谷さんと違ってもうちょっと踏み込んで考えてほしいなと思ったのは、そう思う出来事があったからです。盲ろう者とショッピングモールにお出かけしている時なのですが、盲ろう者に通訳などで情報をしっかりと伝える情報保障のためにレジでのやりとりに時間がかかることもあるので、店員さんや後ろの並んでいる人がちょっと怒っていたり、イライラしているのかな?と感じる場面があったんです。

そういったことをなくすためにも、やはり実際に盲ろうの方と関わったり、もっと踏み込んでもらう必要はあるんじゃないかなと何となく感じているんです。「盲ろう者という方達がいるんだな」と一歩引いた立場で終わるだけだとこの認識の違いを変えられないのではないかなと思います。盲ろうの方と実際にたくさん関わって、「サークルの仲間」「友人」といった身近な存在になっていけば、少しずつお互いへの理解が深まって、みんなが生きやすい社会につながることもあるのかなと思います。

――お話を聞いていて気になったのが、お二人はご自身の活動のことを「ボランティアだ!」というふうには捉えていないのではないかと思うのですがいかがですか?

福谷さん:そうなんです、自分たちがやっていることってボランティアなのかというのはボラコンの発表資料を作るうえでたくさん話し合ったところなんです。ボランティアなのか、社会貢献なのか、そもそもそれってなんだろう…と悩みました。私たちの理念として「楽しさを共有する」というものがあるので、その理念ともボランティアは少し違うような気がしていたり、支援関係を目指しているわけでもないので。

じゃあ私たちの活動はいったい何なのかと悩みました。まだ具体的に答えが出ているわけではありませんが、私たちの活動がどのように社会に役立っているか考えてみると、学生に盲ろうの世界を知ってもらい、視野を広げる点で役立っているのかもしれないと思い至りました。

今、盲ろう者と交流したことがある人や、そもそも盲ろうという存在を知っている人は少ないと思います。私もこの活動に関わるようになって初めて知りました。盲ろうの方々と直接お話ししたり、盲ろうの方々のコミュニティにお邪魔してそれを体験することは、私自身の世界観や想像力を広げてくれました。そのような機会は、きっとこれから社会に出ていく他の学生にとっても、すごく意味のあることだろうと感じます。

高佐さん:私は最初ボランティアをやっているという認識はありませんでした。ですが、『ボランティアってなんだっけ?』という本を読んだ際に考えが変わりました。その本の中では、そもそも自分が思っていたボランティアの範囲よりも広くボランティアを考えていたんです。以前の私はボランティアというと「困難な状況にある人を支援する」など一方的な何かしてあげるという認識で、それは私たちの活動とは違うと思っていました。ですがこの本ではボランティアを相互に利する関係ととらえていました。そういうふうに考えると盲ろうの方々はおそらく私たちの活動を楽しんでくれていて、私自身も盲ろうの方々とお話したり、手話を教えてもらったり、指点字を教えてもらったりとお互いに与えあっているので、私たちの活動は広い考え方でのボランティアには該当するのかなと思っています。

――これからハートタッチの活動がどのようにとらえられるようになったら良いなと思いますか?

福谷さん:「楽しそう」と思ってもらえるようになったらいいなと思います。ハートタッチには、個性豊かな盲ろうの方々や学生が所属しています。それぞれ違うところもあるけど、そんなところも含めてみんなで一緒に楽しめるように考えながら毎月企画を行なっているので、ぜひ、「楽しそう!」という気持ちで遊びに来てくれたら嬉しいです。

高佐さん:私も「楽しそう」と思ってほしいなと考えています。偉いから・すごいからではなくて、支援しよう!ではなくて、盲ろうの方とお話しするの楽しそうだな、一緒に何か楽しみたいな、という気持ちで、活動に参加してみてほしいなと思います。

――最後にボランティアを始めようとしている読者に対してメッセージをお願いします。

高佐さん:私はボランティアの定義って思っているより広いかもというのを伝えたいです。私も普段、「今ボランティアしているな」と感じながら活動していることはあまりないです。また、私はまだ、自分たちがやっていることはボランティアなのかという問いに答えが出せていません。でも、活動をしていて「楽しさを共有できたな」「お互いにいい影響を与えられたかもな」と感じることはあります。そういう嬉しさを大切にしながら、これからもこのサークルの意味やボランティアの意味を、自分に問い続けて行動していきたいです。皆さんも「社会貢献しなくちゃ!」と固く考えず、いろんなことを感じて、考えながら活動すれば、世界が広がるのかなと思います。

福谷さん:私がボランティアをする中で一番いいなと思っていることは、たくさんの出会いがあることです。今まで私は、サークルに関するボランティア活動を通して、様々な場所に行って、様々な生き方をしている人に出会うことができました。また、そこにあるそれぞれのコミュニティに独特の時間の流れのようなものを体感することができました。それは、私にとってとても大切な経験になっていて、それがボランティアの魅力なのかなと感じています。

取材・文:南部耀之介(WAVOC学生スタッフ

ハートタッチのボランティアプレゼンコンテストの発表の様子はYouTubeに公開しております。
https://www.youtube.com/watch?v=QwLfLhnQSRE
ハートタッチの活動はこちらから確認できます。
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