【ウクライナボランティアレポート】
第4弾「国境なきウクライナ支援の輪」
学生スタッフ 4年 内田雅子
2月に始まったロシアのウクライナへの侵攻は、今月で開始から10ヶ月が経ちました。ウクライナ本土では、緊張状態が続く中、冬を迎えるなど、状況は厳しさを増しています。また、1500万人以上*が、安全を求めて国境を越えて国外へ避難しています。
※2022年11月現在。国連UNHCR協会による。
その様なウクライナの人々へ人道支援をしたいという思いで、ボランティアをしている早大生がいます。この「ウクライナボランティアレポート」では、早大生とウクライナに関するボランティアをテーマに、数回にわたって記事をお届けします。早大生が現場で見たもの、感じたことをお伝えしていきます。ぜひ最終回までご覧ください!
第4弾では、ウクライナ近隣国でのボランティア活動の中でも、忘れられない出来事を、参加学生に語ってもらいました!
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- ライター:早稲田大学 社会科学部2年 池田紳太郎
WAVOCと協力協定を結んでいる日本財団ボランティアセンター(https://vokatsu.jp/)の学生ボランティア派遣事業「The Volunteer Program for Ukraine」のグループ3に参加させて頂き、2022年8月に2週間、ポーランドとオーストリアにて活動しました。
なぜ、ウクライナ避難民支援ボランティアに参加しようと思ったのですか。
私がウクライナ避難民支援に携わりたいと思ったのは、以前に移民や難民に関して学んだことがきっかけでした。様々な資料や文献にあたり、過去から現在に至るまでの移民や難民の歴史や現状を知ることになりました。
当たり前ですがこのような研究に取り組むことができるのは、何らかの影響により移動せざるを得ない人々が存在しているからこそです。ただ知識を身に着けておくだけでは、彼らに対して知的搾取をしている意識を持ったこと、そして彼らの状況を黙認しているように感じたことから、今回ウクライナ避難民支援活動に参加したいと思いました。
行く前と後で、どの様なギャップがありましたか?
現地で活動する前は、今回のウクライナ侵攻について主にメディアの報道でしか見聞きする機会がありませんでした。そのため、ロシア対ウクライナといった単純な構図でしかとらえていませんでしたが実際にはそうではありませんでした。
多くの避難民が利用する駅では、アメリカやイギリス、フランスをはじめ様々な国からボランティアとして参加していました。中にはロシアやベラルーシからもボランティアとして参加していました。彼らの出身国はバラバラであり、国家間同士では複雑な利害関係が絡んでいます。しかし、ボランティア全体がウクライナを支援しようという連帯意識を感じることができました。一致団結して多様なバックグラウンドを持つ人々がウクライナ支援という共通の目標を掲げ活動している様子に感銘を受け、渡航前のイメージは良い意味で裏切られました。
忘れられない出来事があれば教えてください
駅で活動した際、ウクライナ避難民を対象にしたドイツのフランクフルト、そしてハノーヴァー行きのフリートレインと呼ばれる無料の列車が運行していました。無料かつ2日に1本しか運行していないため、乗車を希望する人々で辺りは溢れかえっていました。列は成していますが列車のドアが開くと我先にとたくさんの人々が詰めかけてきました。もちろん列車の定員があるため、毎回希望者全員を乗せることはできません。子供がいる家族、また高齢者がいる家族など優先順位を決めながら順番に列車に乗せていきます。許可を得た人しか乗せてはならないため必死に懇願してくることもありましたが、感情を無にして活動せざるを得ませんでした。
連日そのような活動をするうえで気づくことがありました。それはいつも列車に乗れずに取り残されているのはロマの人々だということです。ロマとは少数民族であり、歴史的に差別されてきました。人種差別がタブー視されている現代において、だれの目にも明らかなほどに差別されている光景を目の当たりにし、ショックを受けました。その場を取り仕切っているポーランドの軍人やボランティアなどに罵声を浴びせられており、なすすべもなくその場を立ち去る姿が印象的でした。個人的にあからさまな人種差別を始めて目にして衝撃を受けたので、どこかであたかも他人事のようにとらえていたのだろうと思います。しかし、現実には依然として根強く差別が残っています。このことを問題意識としてこれからも考え続けなくてはならないトピックであると感じました。
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第4弾は以上になります。最後までご覧くださり、ありがとうございました。
【バックナンバー】
第1弾 「早大生が見た、ウクライナ近隣諸国で見た避難民ボランティアの現場」