
シン・ジョンス
SHIN,JungSu
PROFILE
大韓民国 ソウル出身。現在政治経済学部3年。日本のODA事情を学びたいと早稲田大学へ留学。1年次は必修科目に専念したが、2年次から学際的な科目や課外活動にも取り組む。現在はボランティア活動の傍ら政治哲学と平和構築のダブルゼミで国際政治を学ぶ。大学院進学も視野に入れているが来年から休学し2年間兵役に就く予定。
参加したWAVOCの科目・プロジェクト
- ボランティア論―入門と基礎理論―・―体験の言語化-
- 国際開発援助 理論と実践
- 環境とボランティア
- 学生NPO農楽塾
- エコミュニティ・タンザニア
- ケニア社会林業プロジェクト
1.彼女にふられ、アフリカへ。ゴキブリとハエからモテる
国際協力に貢献したいという強い信念をもち学業に専念していた矢先、大学入学前からずっと一緒にいた彼女にふられてしまいました。一人ではどこに行くのも寂しいという気持ちも抱えつつ、現場をみてみたいという好奇心を大切に、WAVOC「学生NPO農楽塾」に参加し、農村での農作業に取り組みます。初めて訪れた日本の田舎に、都市との違いや韓国の地方の村との共通点を覚え、もっと様々な土地に飛び込んでみたいと思うようになり、「ケニア社会林業プロジェクト」に参加します。
訪れたキベラスラムやマサイ族の村の現状はというと、下水処理施設が無い、学校施設も十分ではない、ゴキブリやハエに囲まれながらのベッドルーム。劣悪な環境だ、何とかしなくては!と思う一方で、そこには幸せそうなコミュニティーや、きちんと自分の夢をもち、その夢に向かって頑張る学生達、若者の存在がありました。
2.全力で生きることを考え、行動する
スラムで出逢った中学生の一人からは、両親の死について聞きました。兄が工事現場で働き学費を稼いでくれているので、一生懸命学業に励んでいるとのこと。淡々と語る彼のことばから、死を受け入れ、生きることに全力で向き合っていた彼に尊敬の念を覚えました。私も自分自身を見つめ直し、今できること、やるべきだと思うことを行動に移す必要があると考え、学習計画を立てました。主専攻ではダブルゼミを視野に入れ、副専攻は関連する「平和学」「国際協力」を登録し学び、日本でのボランティアやNPOのユースチームに参加し実践力も養いたいと努めました。まだまだ頑張れる。自分自身の探究が自信につながっていきますが、同時にケニアでは受け身でしかなかったことに気づき、アフリカ大陸でも学生のうちに実践をしてみたい、学んでおきたいという気持ちが大きくなっていきます。そこで、人間と動物の共生に貢献するWAVOC「エコミュニティ・タンザニア」プロジェクトに参加したのです。
3.再度アフリカ大陸へ、人間と動物の共生を考える
活動地ロバンダ村では、自然保護のため狩猟を禁じられている反面、ゾウなどの野生動物に畑を荒らされる被害が続いています。食糧が不足することもあるし、畑の見回りをした村人が襲われて命を落とすことも少なくないそうです。私はその被害調査や対策を事前に勉強し、改善に向けて貢献するために意気込んで現地へ行ったのですが、”人間は動物に対して、常に加害者である”という先入観を心のどこかにもっていました。それを見抜いた村のおばさんにつよく叱られてしまいました。村のようすをこの目でみてお話を伺うまで、共生の難しさと被害の深刻さに気付くことができませんでした。それでは、本質的な課題の解決に貢献ができません。自分がいかに社会との関わりにおいて、”知った”気分になっているかを感じ、深く反省しました。
4.どこへ行っても、全力で探究する
帰国後は、WAVOC「ボランティア論-体験の言語化-」を履修しました。これまでさまざまな活動に飛び込んできた自分自身を深く考察し、より社会に貢献できる自分になれるよう、学び行動する価値軸を紡いでいきたいと考えています。世界・社会には学ぶことが多すぎます。でも、だからこそ勉強や、将来へのモチベーションになっています。現時点の人生をかけた夢は、世界中の人と人とが、国籍や人種の壁をこえ、心と心で付き合える世にしたいというものです。来年より兵役に就き、2年間180度違う行動をすることになるので、これまで学び、体験したことがどう意味づけられるのか、不安もありますが、それでもいろんな世界を見て、全力で生きていきたいと考えています。