【開催レポート】気仙沼・陸前高田スタディツアー/震災の記憶に学び、地域との関わりを考える2日間
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)では、2026年4月4日(土)から5日(日)にかけて、宮城県気仙沼市および岩手県陸前高田市でスタディツアーを実施しました。今回のツアーには、筒井久美子講師(平山郁夫記念ボランティアセンター)およびWAVOC職員が引率し、学生6名が参加しました。
本ツアーは、現地に立ち、まちの姿や人々の語りに触れながら、東日本大震災からの歩みや、地域と関わることの意味を考える機会として実施したものです。
学生たちは、震災遺構の見学、語り部の方による講話、地域行事である「第42回 河北新報 気仙沼つばきマラソン」での運営ボランティアを通して、震災の記憶と教訓、そして地域と継続して関わることについて考える2日間を過ごしました。
陸前高田で、震災の記憶とまちの歩みに向き合う
1日目は、岩手県陸前高田市を訪れました。はじめに、東日本大震災津波伝承館および高田松原津波復興祈念公園周辺を歩き、震災後に大きく姿を変えたまちの現在と、防災・減災のために整備されてきた空間について学びました。
学生たちは、筒井講師の説明を受けながら、東日本大震災発生時に多くの方が避難した本丸公園や、震災当時の状況を今に伝える米沢商会ビルなどを見学しました。まちを歩くことで、地図や写真だけでは捉えきれない土地の広がりや、現在も続く地域の歩みについて理解を深めました。
その後、高田松原津波復興祈念公園に移動し、語り部の方のお話を伺いながら、震災遺構「タピック45(旧道の駅高田松原)」や「奇跡の一本松」などを見学しました。
震災遺構を前にしながら語りに耳を傾けることで、学生たちは、震災を過去の出来事として知るだけでなく、そこで暮らしてきた方々の経験や思いに向き合うことの重みを感じていました。
夜の振り返りでは、
「15年が経過した今も、利用されていない土地が多く残されていることが印象に残った」
「高校生の頃の震災学習では『悲しい出来事』として受け止めていたが、その背景まで考えることの大切さを感じた」
など、それぞれが現地で受け止めたことを言葉にしました。
気仙沼市大島で、地域行事を支える
2日目は、宮城県気仙沼市大島で開催された「第42回 河北新報 気仙沼つばきマラソン」に、運営ボランティアとして参加しました。
大会では、会場案内やごみ回収などの活動に取り組みました。学生たちは、地域の方々や参加者の皆さんと接する中で、地域に根差した行事を支えることの意味や、継続して地域と関わることの大切さを実感しました。
活動中には、地域の方々から学生たちにもあたたかい声をかけていただく場面がありました。学生たちは、運営を支える一員としての役割を意識しながら、地域行事を支える人々の心配りや、会場全体のあたたかな雰囲気に触れることができました。
気仙沼で、震災の教訓を自分の行動につなげる
マラソンでの活動後、学生たちは「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」を訪問しました。同館は、震災の記憶と教訓を将来にわたり伝え、気仙沼市が目指す「津波死ゼロのまちづくり」に寄与することを目的として整備された施設です。
館内では、震災遺構として保存されている旧気仙沼向洋高校の校舎を見学しました。津波により大きな被害を受けた校舎の痕跡を前に、学生たちは津波の脅威と、日頃から備え、自ら判断し行動することの重要性について学びました。
語り部の方からは、ご自身の経験とともに、災害時には既存の情報をそのまま受け取るだけでなく、自分で考え、判断し、行動することの大切さについてお話がありました。その言葉は、1日目に陸前高田で伺った語りとも重なり、参加者にとって、震災の記憶をどのように受け止め、次へつないでいくかを改めて考える機会となりました。
参加した学生の声
参加した学生からは、次のような感想が寄せられました。
震災について断片的な知識は持っていたが、実際に自分の目で見て、現地で話を聞くことで初めて気づくことが多くあると感じた。語り部の方の言葉に触れ、震災を一つの見方だけで捉えるのではなく、多様な視点から考えることの大切さを学んだ。
現地を歩き、利用されていない土地が多く残されていることに驚いた。一方で、防災・減災のための工夫や、地域の方々が歩みを続けている姿にも触れた。今回の経験を、自分自身の備えや周囲への伝え方につなげていきたい。
つばきマラソンのボランティアでは、地域の方々や参加者の皆さんにあたたかく接していただいた。震災の記憶を学ぶだけでなく、現在の地域の営みに関わることができたことは、大きな学びになった。
震災の記憶を受け止め、これからの行動を考える
震災から15年が経過し、今回参加した学生たちは、当時まだ幼少期であり、震災を直接には多く記憶していない世代でもあります。そのような世代が現地を訪れ、地域の方々の語りを聴き、現在のまちの姿を自分の目で見ることには、大きな意味があります。
今回のスタディツアーを通して、学生たちは、震災を「知識」として学ぶだけでなく、自分自身の防災・減災の行動や、地域との関わり方につなげて考えることの大切さを学びました。現地で見た景色、伺った言葉、地域行事での交流は、それぞれの学生にとって、今後も考え続けていくための大切な経験となりました。
最後に、本スタディツアーの実施にあたり、陸前高田市および気仙沼市で受け入れてくださった皆様、語り部として貴重なお話を聞かせてくださった皆様、気仙沼つばきマラソンの関係者の皆様、そして活動中に学生へあたたかく接してくださった地域の皆様に、心より御礼申し上げます。












